はじめに

はじめに (11.28.2003記)

小さい頃からアポロの活躍を本で読んだり、図鑑でロケットや宇宙飛行士の姿などを見てきましたが、アメリカのものばかりでソビエト(旧ソ連)の情報が極端に少ないこと、そしてそれが体制の違いにより公にされないことを、ある時何となく気づいたのを覚えています。

80年代後半、ゴルバチョフが書記長に就くと情報公開が進み、90年代には科学雑誌などに、断片的にですが旧ソ連の宇宙開発の裏側が記載されるようになりました。ただ、その時には「ふ〜ん」と、漠然と認識していただけでした。今考えると、「ソ連宇宙開発の父」と呼ばれるセルゲイ・コロリョフとその同僚らとの確執etcの話だったと思います。小説を途中から読んでいるようで、あまりおもしろみを感じなかったのです。ただ、宇宙の話は大好きなので、どこか頭に引っかかってはいました。


約1年ほど前の2002年10月、スプートニク2号のライカ犬の真実がニュースで流れており、それを見て、改めて旧ソ連の宇宙開発への興味が呼び起こされました。現在はインターネットもある時代です。調べてみると、出るわ出るわ。ロシア宇宙開発というと地味な印象ですが、長年謎めいていた分、人を惹きつける何かがあるのでしょう、私と同じような気持ちだった人も多かったのです。


今回、自身の知識の整理の意味も込め、ここにアウトラインをまとめていくことにしました。ただ、ご覧になる殆どの方は、初めてロシアの宇宙開発に触れられると思いますので、背景や関わった人物、プロジェクトの進行がわかるように記してみました。

従って個々の宇宙船やロケットのテクニカルなデータには突っ込んではいません。それ故、もっと専門的な事をご期待されました方には申し訳ありません。


とはいえ、全くないのも味気ないので、極力専門的すぎない範囲での記述は試みています。これをお読みになり、更に興味を持たれましたら、関連サイトや書籍を是非お読み頂ければと思います。英語での文献が多いのがちょっとネックですが…なお、注意事項といたしまして

・記述の正確さはできるだけ損なわないようにしていますが、一部には想像による埋め合わせもあります。

・ただ、通信内容、出来事の時系列、公式発言などは、正確さを期しています。

・内容の性質上、同じ出来事に関しても、参照資料によって異なる記述がある場合があります。

特に最後の点に関してですが、ソ連の宇宙開発、それ自体が既に歴史的遺産であることの象徴だと思います。ある意味、歴史家の研究対象としてはもってこいの素材です。冷戦崩壊から10年以上が経ちましたが、情報源もまだまだ限られていることでしょうから、未だ日の目を見ない資料もあるのではないかと思います。従って様々な資料に目を通すことで、自分流の解釈も可能というわけで、そのような楽しみ方もできるのではないかと考えています。