レッドチェイサー

ニュース・ログ 追加: 12.29. 2008

2007年1月からのニュース・ログです。元のページはこちらへ

<追加情報 12.29. 2008>

NASAの火星探査車「スピリット」および「オポチュニティ」が1月、火星での活動開始から丸5年を迎える。(下・今年10月22日にオポチュニティが取得した画像。ひたすら走り続けます…)

            

スピリットは2004年1月3日、オポチュニティは同24日、火星着陸に成功した。もともと90日間の活動予定で設計された車体であったが、実にその20倍の期間を稼働している。着陸当時、2009年に入るまで車が動くとは、誰も思っていなかった。

「アメリカの納税者は、3ヶ月がプライムミッションだと伝えられていたのです。しかし両車はその20倍もの活動をしている。これは昨今の予算編成の難しい時代には、投資に対する並外れたリターンと言えるでしょう。」と語るのは、NASA科学ミッション部門副理事のエド・ウェイラー氏。

両車は火星の環境を考察する上で重要な発見を遂げた。25万枚に達する画像を送り、走行距離は21kmに達した。山を登り、クレーターを下り、サンドトラップに足を救われ、砂嵐を乗り切り、車輪の停止などガタが目立ちながらも、果敢に走り抜けた。そして今、新たな目標地点へ向けて走り始めている。

「この2台の車は、毎日晒されている極限の環境下で、驚くほど快活なのです」と語るのはプロジェクトマネジャーのジョン・カラス氏。「探査車の主要部品はいつでも故障し得、それ故ミッションの終わりは突然やってくるものと認識しています。しかし一方では、プライムミッションの4倍に相当するあと1年、走り続けることができるのかも知れません。」

探査車は太陽電池により電力が供給されている。この太陽電池に砂が積もることで発電量が低下し活動不能になると考えられてもいたが、風によりしばしば砂が吹き払われることで、発電量の回復を繰り返してきた。

だがこのクリーニングは、確実性を期待できるものではない。スピリットについてはここ18ヶ月間、吹き払いを経験していない。スピリットの発電量は低下を続けているが、最大の山場は着陸以来3度目の冬を乗り切ることだった。

「この冬は、どうなるか全く先が見えませんでした」と、カラス氏は言う。ギリギリの電力量で、地球との交信も制限された中、しかし、乗り切ることに成功した。

スピリットのいる場所は現在春であり、夏にかけて太陽高度が高くなる。運用チームは現在の場所から南へ183メートルほどの場所へ移動することを検討している。その方面には調査候補対象が2つあり、ひとつは2006年の調査を裏付けるものがありそうな場所、そしてもうひとつは、“ゴダード”と呼んでいる小さなピットだ。

「ゴダードは衝突クレーターには見えません。それはひょっとしたら火口クレーターかも知れません」と語るのは、科学観測機器担当責任者のスティーブ・スクワイヤーズ氏。

一方オポチュニティの次なる目標は、「エンデバー」クレーターだ。このクレーターの直径は22kmと、オポチュニティが最近まで調査していた「ヴィクトリア」クレーターの20倍の大きさがある。現在の場所から12km離れたところにエンデバーはあり、この距離を走破すること自体がチャレンジである。

詳しくはこちらへ【NASA 12.29】

<追加情報 12.05. 2008>

火星探査車「スピリット」(MER−A)は先月上旬から中旬にかけて大規模な砂嵐に見舞われましたが、下はその際に軌道上から撮影された画像。

             

一連の画像は周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」(MRO)搭載の撮像センサー「MARCI」で取得されたもの。MARCIで撮影された画像は、火星天気予報にも力を発揮しています。

MARCI運用チームは先月上旬、スピリットの西に砂嵐が出現していることを確認、スピリット運用チームに通報しました(上の写真、砂嵐が画像左(西)から右(東)へ動いていきます)。スピリットチームはこれを受け、事態に備えることができたそうです。詳しくはこちらへ【NASA 11.20】

<追加情報 12.05. 2008>

火星の地表には周期性が明確な地層があり(下)、自転軸の傾きの長期的な変化に伴う気候変動によって形成された可能性があると、米カリフォルニア工科大などの研究チームが5日付の米科学誌サイエンスに発表した。米探査機マーズ・リコネサンス・オービターで撮影した立体的な画像を分析した成果で、地球の氷期・間氷期のようなサイクルがあったと考えられるという。

                  

研究チームは、火星の「アラビア大陸」と呼ばれる地域にある4クレーターの画像を分析。このうち1つでは、10層の細い地層で構成される大規模な地層がさらに10層以上重なっており、観測できた部分は全体として1200万年以上かかって形成されたと推定された。【時事 12.05】

…NASAのリリースはこちらへ。このような変動は地球でも確認されており、地球の場合は(火星の10層と異なり)5層といいます。成因には地軸の傾きや変動が指摘されていますが、明確な答はまだ見つかっていません。

来年の秋に打ち上げが予定されていた火星探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL)について、NASAは日本時間5日未明、打ち上げを2年遅らせ2011年秋とする決定を下した。(下・歴代探査車の模型。MSLは右端)

            

これは、ハードウェアなどの開発が間に合わないことが理由という。詳しくはこちらへ【NASA 12.04】

<追加情報 11.21. 2008>

火星の大気の薄い原因に迫るとされる新説が提唱された。これは、「マーズ・グローバル・サーベイヤー」による観測データの分析に基づくものである。

それによると、火星の大気層は風に砂が流されるがごとく穏やかに、全体的かつ継続的に減り続けているというより、むしろ、油汚れが剥がれていくように、ちょっとした規模の局所的な塊として剥がれていく傾向が強そうだという。

数十億年前、火星には大量の水があり、それはぶ厚い大気で守られていたと考えられている。研究者の中には、大気は地球のそれよりも厚かったのではないかと考えるものもいるほどだ。しかし今日、火星には希薄な大気しか存在しない。大気圧は地球の100分の1程しか無く、水は液体で存在することができない。

ではその大気はどこへいったのか?これには幾つかの説がある。例えば巨大小惑星の衝突のショックで吹き飛ばされたというものや、太陽風によりじわじわだが確実に剥がされてきたというものである。

カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・ブレイン氏はこのほど、その中間とも言えるメカニズムを提唱した。それは、大気がちょっとした塊の状態で剥がれていくというものである。

マーズ・グローバル・サーベイヤー(MGS)は1998年、火星の磁場が地球のようなダイポール磁場ではなく、局所的に点在するものであることを発見した。この磁場源は主に南半球に集中し、個々の磁気圏はまるで傘のように上空に向けて広がっており、大気上層部にまで達している。

これまで、この磁場傘が大気層を太陽風から守ってきたと考えられてきた。しかしMGSのデータを分析していたブレイン氏らは、全く逆の可能性があることに気づいた。つまり、磁場のある部分ほどより多くの大気が離脱しているというわけである。(下図・左から太陽風が火星に吹き付け、大気層をはぎ取っていく。その剥がれ方は一部、油汚れが飛んでいく様に似ている。また、局所磁場の存在する部分ではより活発な飛び散りが生じていると考えられる。)

            

もちろん、これはまだ仮説の段階であって、完全にプロセスが理解されたわけではない。NASAは2013年の火星探査ミッションに「MAVEN」を先日選定したが、これは大気層を精密に観測するというもの。このミッションでは大気層の剥がれ方を研究するためのデータを取得するのが主な目的となっており、その成果が待たれるところである。詳しくはこちらへ【NASA 11.21】

<追加情報 11.20. 2008>

来秋に打ち上げが予定されており、目下、名前募集中であるNASAの火星探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL)の着陸候補地が、4ヶ所に絞られた。この後更に検討が続き、来春の会議を経て、夏に正式決定されることになる。

MSLプロジェクトの責任者たちは今月、火星研究の専門家やローバー開発エンジニアらの意見を取り入れながら、着陸候補地を4ヶ所まで絞り込んだ。それらは「Eberswalde」(湖に流れ込む川のデルタ地帯)、「Gale」(粘土と硫酸塩を含んだ堆積層の山肌)、「Holden」(扇状地や洪水堆積を含み、恐らく湖底で粘土リッチなクレーター)、そして「Mawrth」(少なくとも2種類の粘土を含む露出層と見られる)である。(下・過去の着陸探査機と4ヶ所の候補地)

            

「4ヶ所とも火星の初期の環境の変遷を調べるのに非常に適した場所となるでしょう」と語るのは、MSLプロジェクト研究員のジョン・グロジンガー氏。候補地は火星周回機「マーズ・リコネッサンス・オービター」による高解像度画像や他の観測データを基に続けられた検討で、絞られてきた。

MSLは過去のどの探査機よりも着陸精度が高く、また環境の影響を受けない原子力発電で駆動する。このため過去の探査では着陸不可能だったような場所にも降りることができる。

火星に直接降りて探査することは、科学目的とエンジニアリングのバランス関係の上になりたってきた。例えば現在活動している探査車「スピリット」と「オポチュニティ」は、平原の上に、エアバッグで着陸した。エアバッグで確実に着陸するためには、候補地はなだらかな平原でなければならない。しかも大気圏突入から着陸までは一切制御がないため、誤差を見込んだ広い範囲が平原である必要がある。

ところが科学的に高い収穫が見込めそうな場所は、得てして断崖や山麓、河川の近くだったりする…技術的リスクをできるだけ抑えながらも、成果ができるだけ沢山得られる場所に近づくというのが、バランスである。

MSLは大気圏突入後、充分に減速した後、「スカイクレーン」と呼ばれる方法で着陸地点を目指す。これは飛行体がMSLを宙づりにした格好で大気層を降下し、最後はゆっくりと地面に“置く”というやり方である。このやり方そのものが初めての試みであり、エンジニアリングチャレンジでもあるが、着陸精度は非常に高い。それ故、これまでは狙えなかったリスキーな場所もOKということになる。

例えば今回選定された4地点のうち「Gale」は、かつて「スピリット」や「オポチュニティ」の活動候補地としても名前の挙がった場所である。しかしそれらの着陸にはリスクが高すぎるとして除外されたのであった。

下は、「スカイクレーン」とMSL車体との結合テストが行われた所。両者はかみ合わさるように設計されているが、それはあくまで紙の上での話。実機が製造され、両者がきちんと合わさることが確認されたのはこれが初めてである。

           

両者はもちろん、一旦離され、それぞれさらなる組立が行われていく。詳しくはこちらこちらへ【NASA 11.19】

<追加情報 11.18. 2008>

NASAは、来年打ち上げ予定の火星探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL)につける名前の募集を開始した。これにはウォルト・ディズニーも協賛している。(下・今年8月のMSL。車輪が取り付けられた直後とのこと)

            

応募対象は、5歳から18歳までの米国の学校に在籍する生徒及び学生となっている。応募に当たっては、その名に至ったエッセイを添えて提出しなければならない。2009年1月25日必着で、3月に9つのファイナリストがインターネットで公開され、一般人の投票が行われる。この投票は選考の一要素となる。

最終決定は4月に公表される見込みとのこと。詳しくはこちらへ。投稿サイトはこちら【NASA 11.18】

…そういえば「スピリット」と「オポチュニティ」も同様に決定されましたね^^

<追加情報 11.13. 2008>

NASAの火星探査車「スピリット」を管制する運用チームは、音沙汰無しの状態にあるスピリットに不安を募らせている。スピリットとの交信は11日以降現在まで回復していない。

スピリットは先週末より砂嵐に見舞われ、太陽電池発電量が低下。11日に、バッテリー温存のために13日まで地球にコンタクトを取らないよう仕向けるプログラムが組み込まれたばかり。そのためスピリットから何のシグナルもないということは、きちんと指示に従っていると考えられる。しかし、運用チームの不安は増している。

「心配する親の心境ですよ。」と語るのは、2台の火星探査車ミッションのプロジェクトマネジャー、ジョン・カラス氏。

チームは11日から12日にかけて夜通しスピリットのシグナルに聞き耳をたてた。もしスピリットがセーフモードに落ちれば、それを知らせる信号が送信されることになっているからだ。それ故なんの信号もないということは、11日に送信されたコマンドに従って行動を停止していることを意味していると言える。

一方、他の可能性として、探査車がセーフモードに入っている上に、バッテリー不足で通信回路が開かないという場合も想像できる。しかし実際どのような状況下にあるのか、現時点では判断つかない。

「はっきりしたことは13日にならないとわからないでしょう」とカラス氏は言う。ただ、ひとついいこととしては、火星を周回する「マーズ・リコネッサンス・オービター」の観測で砂嵐の終結が確認されたという。

ミッション総責任者のスティーブ・スクイヤーズ氏は、「辛抱強く待ち続けねばなりません。スピリットを信じ、最善を願うばかりです」と語る。詳しくはこちらこちらへ【NASA/Space.com 11.12】

<追加情報 11.12. 2008>

NASAの火星探査車「スピリット」が砂嵐のため太陽電池発電量が低下、ピンチを迎えている。

NASAは2004年より、2台の火星探査車「スピリット」と「オポチュニティ」を走らせている。年明け1月には丸5年を迎えるが、これは当初予定されていた3ヶ月を大幅に圧倒する期間。これは、北極域に降りた「フェニックス」と異なり、赤道近くを走り回っているため。

だが、オポチュニティと比べやや高緯度(南半球側)を走行するスピリットは季節の影響を受けやすく、最近は、これまで続いた冬を乗り切ることに成功していた(フェニックスが北極の白夜で活躍を続けている間、スピリットはじっと冬眠を続けていたわけですね@管理人)。現在は運用チームが「ホーム・プレート」と呼ぶ丘の斜面にあり、先月末からそこを上ろうと試みている。


(下は今月5日に取得された、リアハズカム(後部・デッキ下のハザードカメラ)の画像。スピリットは右前輪が既に壊れており、それを引きずる形で“バック”走行を続けている。この画像が進行方向ということですが…結構な斜面相手に難儀しているようです。)

               

しかしこのところ生じていた砂嵐に、スピリットはピンチを迎えている。太陽電池の上に降り積もった砂の影響もあり、発電量が大幅に低下、過去最低を迎えているという。

今月9日、スピリットは行動1725火星日を迎えたが、この日の発電量は89ワットであった。これは1日に要する電力量を遙かに下回り、2台の過去5年間の活動中、最低レベルを更新。当然バッテリー残量も低下を続けており、このままでは自動的にセーフモードへ入ってしまう。

これに対処するべく、運用チームは幾つかのヒーターを切るコマンドを送信した。また、バッテリー温存のため、13日(日本時14日)まで交信を行わない。ただ、低電力保護モードに落ちた際に発せられるシグナルへの注意は続けられるという。

ちなみにこのような砂嵐によるピンチはこれが初めてではない。昨年も大規模な砂嵐に見舞われ、オポチュニティの方が危機的な状態にあったが、どうにか乗り切ることに成功している。(下・昨年10月のスピリット。砂が積もり、地面と同化してしまっている。)

            

今回の砂嵐は既に、もしくは数日中に終息するものとの観測だが、漂う砂の降下は暫く続くと見られている。詳しくはこちらへ【NASA 11.10】

<追加情報 10.26. 2008>

下の画像は、火星探査車「オポチュニティ」が先月28日に取得した画像の一枚。

            

残されたわだち…車は荒野をひたすら走り回ります(大きいサイズ)。画像の右手には「ヴィクトリア・クレーター」が広がっています。オポチュニティは元気に活動を継続中です。【photo: NASA】

<追加情報 10.18. 2008>

欧州宇宙機構(ESA)が2013年の打ち上げを目指して開発を続けている火星探査車「ExoMars」の打ち上げが、2016年に延期となった。BBC放送が伝えた。

ExoMarsはESAのフラッグシップ級惑星探査ミッション。そもそも2011年の打ち上げが予定されていたが、設計の難しさのため2013年に延期されていた。だが今回、再度延期されたことになる。

欧州政府はESAに対し、16億ドルの予算を削減する方法を見つけるよう求めており、これにはロシアや米国に援助を求める道も含まれているという。詳しくはこちらへ【SpaceDaily 10.18】

<追加情報 10.16. 2008>

ロッキード・マーチン社は先頃、来年の打ち上げが予定されているNASAの火星探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL)に使用されるバックシェルをジェット推進研究所(JPL)に納品した。同社が公表した。

地球から火星までの飛行の間、探査車や着陸機を格納しているコンテナを「エアロシェル」というが、これは二枚貝構造になっており、その背中側を「バックシェル」という。それに対し、フロント側が「耐熱シールド」となる。

下は公開されたその全体像。作業員と比べてもその巨大さがはっきりするが、最大径は約4.5メートル。「スピリット」、「オポチュニティ」の時が約2.5メートルで、あのアポロ司令船でさえも約4メートル弱であった。

            

バックシェルはアルミハニカムをグラファイト・エポキシシートで挟んだ構造体で、その表面には耐熱材であるコルク・シリコン超軽量アブレーター(SLA561v)が貼り付けてある。この耐熱材は過去の火星ミッションでは耐熱シールドに用いられてきたが、バックシェルを覆うのは今回が初。その耐熱シールドの耐熱材にはPCIAと呼ばれる材料が用いられることになっている。

耐熱シールドは現在PCIAの貼り付け段階にあり、来年4月にJPLに搬入される予定とのこと(上で見える耐熱シールド部はダミーということですね@管理人)。

詳しくはこちらへ【Lockheed Martin 10.16】

<追加情報 10.13. 2008>

現在、火星上および周回軌道上では計6機の探査機が稼働しているが、その中で最古参の「2001 マーズ・オデッセイ」(下)が今月1日より3回目の延長ミッションに入っている。

                

マーズ・オデッセイはその名の通り、2001年から火星を周回、観測を続けてきた。地表の鉱物分布や水の痕跡調査が主たる目的であり、観測開始から間もなく、両極の地下に大量の水素の存在を確認、これは氷の存在を示唆するものと考えられている。

マーズ・オデッセイの当初ミッション期間は2年であったが、目立った故障はなく稼働を続けているため、ミッションが2年おきに延長されてきた。今回は3度目の延長となり、2010年までの継続が予定されている。

なお、この3度目の延長ミッションに関連して、周回軌道の変更が行われた。具体的には、通過する直下が午後の早い時間になるような軌道である。これは赤外線センサーがより高感度で対象物からの放射を検出できるよう、仕向けられたもの。これまでは直下が午後の遅い時間になるような軌道であったが、これはガンマ線センサーの感度との兼ね合いから定められたものだった。

軌道修正は9月30日に行われた。これは6分間のスラスター噴射によるものであったが、これは2002年のマニューバ以来の大きなものであった。

オデッセイは太陽と同期した軌道を巡っており、現在その直下は午後5時頃になるよう調整されている。今回の修正ですぐに変更されるわけではなく、今後1年ほどかけて、目的の軌道へと探査機が推移していく。来年末にあと1回のマニューバを経て、最終的な軌道へ投入される予定。この時、直下は午後2時から3時ぐらいになる。

なお、最終的に軌道が確定すると、ガンマ線センサーは運用停止される。このセンサーは熱に弱く、直下が(照り返しの弱い)午後遅い時間でないと運用できないものであるからである。

オデッセイの軌道修正用燃料はまだ充分な量がのこっており、少なくとも2015年まではもつものと考えられている。詳しくはこちらへ【NASA 10.09】

<追加情報 10.10. 2008>

大幅な予算超過が問題となっているNASAの「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL)ミッションに関して10日検討会議が行われ、予定されている2009年10月の打ち上げを目指し、計画をこのまま実行する決定が下された。

MSLは探査車で火星面を走り回り、土壌や岩石の分析や気象観測などを行うというミッション。現在稼働している探査車「オポチュニティ」および「スピリット」よりも一回り大きく、原子力電池で稼働する。電力を太陽電池に依存しないため砂や季節の影響を受けることなく、また移動スピードも早いため、かつてない広範囲を調査することができるものと期待されている(下・コンセプトスケッチ)。

            

(MSLはエアバッグで着陸するには巨大過ぎ、フェニックスのように逆噴射エンジンを搭載するに相応しい構造体でもないため、“宙づり”で地表に置かれる。下はそのコンセプトで、“スカイクレーン”と呼ばれる。)

            

しかし車体が大型化する上に新機軸の盛り合わせで、そのせいもあって開発が難航。開発費も当初の見込みを3割近く超過した状態にある。

MSLの当初予算は17億ドル。昨年6月、詳細設計審査(CDR)を通過したが、その際7500万ドルの予算オーバーが確認され、これを克服するための方針変更も決定している。ただ、搭載予定の科学機器は全て搭載され、タイムラインにも変更がなかったことにチームは安堵していたところだった。

しかし現在では予算に3億ドルの超過が必要となっており、もはやミッションそのものの成立に影響を及ぼすまでになっている。

NASAの火星探査プログラムディレクターであるダグ・マッキション氏は、2009年10月の打ち上げに間に合わせるためには1.9億ドル以上の資金がいる、さもないと次のロンチウィンドウである2011年に遅れることになる、としている。しかし追加予算の取得にはホワイトハウスと議会の承認が必要となる。

火星部門の幹部はこの件で来年1月にNASAグリフィン長官と話し合うことになっている。その時までにキーとなるハードウェアやソフトウェアを目の前に準備できる段階まで進めておく必要があると、マッキション氏は語る。

詳しくはこちらへ【Space.com 10.10】

<追加情報 09.23. 2008>

火星の南北極に広がる極冠のうち、南極冠は夏場、その中心が南極点よりも大きくずれて分布している。普通に考えれば極点を中心に広がるはずであり、長年の謎であったが、このほどそのメカニズムに関して新説が提案された。

(下・南極点を中心に見た、夏季における南極冠。西半球側(向かって左側)に極冠が集中している。)

              

イタリア・惑星空間物理研究所(IFSI)のマルコ・ジュランナ氏率いる研究チームは、欧州宇宙機構(ESA)の火星周回探査機「マーズ・エクスプレス」で取得された高度50kmまでの温度分布データを詳しく分析、最も妥当と考えられるモデルを構築した。

彼らは火星の時間で秋から冬にかけての、南極におけるドライアイスの成長を追った。その結果、2種類の局所的気候が関わっていることが明らかになったという。

これら局所的気候は中緯度における大気循環を特徴づける強い西風から派生するものである。その風は、火星最大の「ヘラス盆地」(直径2300km、深さ7km)に吹き入り、風下側の急勾配なクレーター壁にぶつかり、地球で言うところの「ロスビー波」を形成しているという。

この流れは高高度へと向かい、南極点における気象システムに影響を与える。南極点付近の西半球側ではこのシステムが低圧部を形成し、逆に東半球側では高圧部を形成する。

研究チームによると、低圧部の気温が二酸化炭素の凝固点以下にしばしば達し、この結果ドライアイスの雪が降り、同時に地表ではドライアイスの霜が成長するという。一方、高圧部ではそのような温度に達しないため雪は降らず、地表での霜の成長のみが起こると考えられるという。

そしてその“雪”が被った場所は、夏季でも昇華が起きない。というのも、霜が覆った場所に比べ太陽光がより多く反射される上、霜の粒子が雪の粒子より大きく太陽光をより多く受けるため、昇華が促されるからである。

以上をまとめると、南極冠の西側は大量のドライアイスがあることに加え昇華のスピードが遅いため夏場でも残るのに対し、東側は夏場は完全に消え去るため、非対称な南極冠を見ることになると考えられる。

詳しくはこちらへ【ESA 09.22】

先日、「ヴィクトリア・クレーター」の調査を終えて中からはい出すことに成功したNASAの火星探査車「オポチュニティ」の次なる目標に、南東へ約12kmの場所にあるクレーター「エンデバー」が選定された。

このエンデバー・クレーターはヴィクトリア・クレーターの約20倍のサイズがある。また、12kmもの距離は、オポチュニティが2004年1月に走行を開始して以来走り続けてきた距離に匹敵する。(下は火星周回探査機「マーズ・オデッセイ」が撮影したエンデバー・クレーターの周辺。オポチュニティは左上のクレーター「エンデュランス」の近くに着陸し、走行を続けてきた。)

            

「そこにはたどり着けないかも知れませんが、科学的には正しい方角なのです」と語るのは、火星探査車ミッションの責任者であるスティーブ・スクワイヤーズ氏。そのクレーターの直径は約22kmで、これまでに運用チームが見たどのクレーターよりも大きい。そこにはヴィクトリアで見られたものよりも深い岩石層が存在すると期待されている。また、その方角に進むにつれて時代の新しい堆積層が広がっていると考えられている。

詳しくはこちらへ【NASA 09.22】

<追加情報 08.27. 2008>

下は、火星を周回する探査機「マーズ・エクスプレス」の「ビジュアル・モニタリング・カメラ」(VMC)が今年6月1日に撮影した火星。太陽光が縁のところできらめき、低解像度であるがスペクタクルな一枚。

              

VMCは科学観測用のカメラではない。マーズ・エクスプレスに相乗りしていた着陸探査機「ビーグル2」の分離を視覚的に確認するための低解像度カメラで、そのような場所に設置されているもの。しかし火星が視野に入ることも頻繁にあり、運用チームはさながら“マーズ・ウェブカム”として取得された画像をリリースしている。

下はVMCの設置場所と、分離直後のビーグル2。ビーグルは2003年12月末に切り離され着陸を目指したが、大気圏突入後に交信が開通することは無かった。着陸地点も未だ定かではなく、大気圏で燃え尽きた可能性も指摘された。右下はそのビーグルの、最後の姿である。

            

VMC“マーズ・ウェブカム”のサイトはこちらへ【ESA 08.27】

火星の「ヴィクトリア・クレーター」の内側で活動を続けてきたNASAの火星探査車「オポチュニティ」はこのほど、一連の調査を終え、クレーターの外にはい出すことに成功した。

「我々はできうること全て、そしてそれ以上を成し遂げました」と語るのは、JPLの火星探査車研究員の一人であるブルース・バナート氏。オポチュニティは目下、その周辺に転がるこぶし大の岩石の調査を行う準備に入っているという。これらは、古代の隕石衝突の際に吹き飛ばされてきたものと考えられている。

オポチュニティはヴィクトリア・クレーターに昨年9月11日に進入を開始し、ほぼ一年、その内側で活動を続けてきた。砂地が多く車輪を取られることもあったが、岩石の露頭などで分析を続け、ついには「ケープ・ベルデ」と名付けられている岬の根元まで走り進んだ。この岬は高さが6メートルである。

(下はSol 1382〜1607における軌跡。Sol 1632=約8月27日であるので、約3週間前までの走行ルートである。向こうに見える岬がケープ・ベルデ。岬にもっと近づいて調査する予定であったが、後述するように、左前輪に異常の兆候が認められたため引き返すことが決定された。)

            

(下・昨年からの走行マップ。スピリットはクレーター縁の内側をソロリソロリと降りていきながら露頭の分析などを続けていました。ある時は砂地に足を取られ、脱出に時間を要したりしています。)
            

オポチュニティは昨年9月に進入した場所から出るように走行している。ところで先月、左前輪モーターの電流にスパイクが生じるようになり、これはその後の走行プランに大きな影響を与えたようである。オポチュニティ(と姉妹車「スピリット」)は6輪であるが、「もしオポチュニティが5輪走行を余儀なくされていたら、恐らくヴィクトリア・クレーターから抜け出すことはできなかったでしょう」と、ミッションマネジャーのビル・ネルソン氏は語る。

同様の現象は2006年、「スピリット」の右前輪で発生し、間もなくこのモーターは停止した。以後スピリットは5輪で、この右前輪を引きずりながら後退する格好で走行を続けている。なお、オポチュニティの左前輪は今のところ正常である。

なお、南半球で“越冬”を続けてきたスピリットは無事に乗り切り、行動を再開した。手始めに周辺のカラーパノラマの撮影などを行っている(下・大きいサイズと詳細はこちらへ)。

            

詳しくはこちらへ【NASA 08.26】

<追加情報 08.01. 2008>

2008年7月30日、中国新聞網によれば、ロシアのフォボス・ソイル(グルント)火星探査機が中国の小型衛星を搭載して打ち上げられると、ロシア現地メディアが報じた。

中国から国家航天(宇宙)局の孫来燕(スン・ライイエン)局長を団長とする訪問団が、ロシアのモスクワ郊外のヒムキ市にあるラーヴォチキン学術生産合同企業を訪問したと、ロシアニュース.CNが29日、モスクワから伝えた。また、ロシア航空宇宙局ウェブサイトによれば、訪問期間中、中ロ両国の宇宙開発における今後の協力や計画について話し合われたという。その中で、協力の鍵となるのは火星と火星衛星の研究で、ラーヴォチキン社の制作したフォボス・ソイル探査機が中国の小型衛星を搭載して打ち上げられる計画だという。

ラーヴォチキン学術生産合同企業の責任者は、フォボス・ソイル火星探査プロジェクトにとって中国の参与は重要な意味を持っていると指摘しており、中ロ双方がフォボス・ソイルへの衛星搭載に注目しているという。【Record China 08.01】

<追加情報 07.30. 2008>

欧州宇宙機構(ESA)の火星周回探査機「マーズ・エクスプレス」は23日、衛星「フォボス」へ93kmまで近づき、かつてない高解像度画像を取得することに成功した。

            

詳しくはこちらへ【ESA 07.30】

<追加情報 07.17. 2008>

欧州宇宙機構(ESA)の火星周回探査機「マーズ・エクスプレス」が今月から来月始めにかけて、同惑星の衛星「フォボス」に数度のフライバイを行う。特に今月23日には100km弱の距離まで接近し、かつて無い高解像度画像などが取得されるものと期待されている。

このフライバイは今月12日から来月3日の間にかけて行われる。具体的な日程と接近距離は次の通り;

7月12日 563km
7月17日 273km
7月23日  97km
7月28日 361km
8月 3日 664km
(23日の接近は、フォボス2号の接近(’89)より更に近いですね@管理人)

また一連のフライバイでは、ロシアの火星探査ミッション「フォボス・グラント」で飛ばされる探査機の着陸予定地点の高解像度画像も取得される見込みとのこと。フォボス・グラントはフォボスに着陸し、土を地球に持ち帰るサンプルリターンミッションで、2009年の打ち上げを目指している。

(エクスプレスは過去にもフォボスに接近している。下は昨年1月22日のフライバイで取得された画像。火星上空にぽっかりと浮かんだ姿、そして陰影が神秘的です。)

                      

フライバイではその他にも、搭載されている各種センサーでフォボスの地表組成や温度分布などを調査する予定。詳しくはこちらへ【ESA 07.16】

<追加情報 05.24. 2008>

NASAゴダード宇宙センターからリリースされているフリーソフト“Mars24”(「火星24時」)がアップデートされた。バージョンは6.0.1。

            

このソフトは火星の昼夜をグラフィックで示してくれる便利なもの。他にも地球と火星の軌道ポジションを表示したりすることができる。スピリットやオポチュニティ、さらにフェニックスの場所も表示される。ダウンロードなど詳しい情報はこちらへ【NASA 05.22】

…上の画像は管理人のディスプレーをハードコピーしたものです。メイン画面に地球時と火星時を表示する窓、コマンドを操作する窓を重ねてあります。メインに表示される火星は各種図法が選べ、全球表示も可能。これまでに着陸した、もしくは着陸を試みた失敗探査機の場所も表示することができます(「マルス」も入っていますw)。とても面白く、便利なソフトです。

<追加情報 04.24. 2008>

NASAの火星探査車「オポチュニティ」は10日ほど前より、前部に取り付けられているロボットアームを動かせない状態が続いている。NASAが発表した。

オポチュニティはスピリットと同型の探査車で、2004年1月より現在まで、4年以上の長きにわたり活動を続けている。現在は「ヴィクトリア・クレーター」の内部に踏み込み、砂地に足を取られながらも露頭の調査活動を続けているところである。

探査車にはロボットアームが取り付けられており、その先端には研磨ドリルや顕微カメラが搭載されている。今月14日、それを動かす5個のモーターのうちの1個が動かなくなったという。そもそも2005年よりこのモーターの動きは悪くなっており、これまでやや高めの電圧を加えることで駆動されていた。

このモーターはアーム全体を動かす“肩”の部分に設置されているもの。しかも当時、アームは車体下部に格納された状態にあり、モーターが動かなければこのまま使用不能という結末に至る可能性もある。オポチュニティは最近、“Stow/Go/Unstow”(しまう/走行/伸ばす)走行法を実施していた。これは夜間の冷え込みが原因でモーターが故障した場合を考え、その日の走行が終わった際にはアームを外へ延ばしておき、格納状態で稼働不能に陥るのを避ける戦術である。

(下は、今月13日にフロントハズカムで取得された画像。手前に、横向きに引っ込められたアームが見えている。パンカムのマストの影が印象的。また、車輪のめりこみ具合から、かなり深い砂地であることもわかる。大きいサイズはこちらへ)

            

「最悪のシナリオの場合でも、オポチュニティのアームはなおも科学的調査を実行することはできます。」と語るのは、プロジェクトマネジャーのジョン・カラス氏。

最近のモーターの特性には、抵抗値の増加が認められていた。これは機械的な障害によるものではなく、ワイヤーの劣化に起因するものだという。現在も運用チームは分析を続けており、モーターの使用可否の判断と今後の対策を検討しているという。詳しくはこちらへ【NASA 04.23】

<追加情報 04.20. 2008>

下は、欧州宇宙機構(ESA)の運用する火星周回探査機「マーズ・エクスプレス」に搭載されている地下探査レーダー「MARSIS」により取得された南極冠の地下断面構造。

一番上の画像は地表画像であり、細い黄色線が探査レーダーが走査した部分。中段に示されているのがその「MARSIS」レーダーにより取得された断面構造で、地下3.7kmに堆積底が見えている。一方、下段はNASAの火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」に搭載された地下探査レーダー「SHARAD」による走査であるが、堆積底が見えていない。

             

「MARSIS」レーダーは、地下を探査するという火星探査においては初の試みとなる野心的な装置。地下の地質学的構造から、過去の大地の動きを探ろうというものである。右の画像で、両サイドに伸びる長いダイポールアンテナ(片方25m)と、下に飛び出したモノポールアンテナ(7m)がレーダーを構成する。

このレーダー観測は地味なものであるが、かつてない成果が得られつつある。例えば、直径130〜470kmに達するクレーターが北半球の低地に多く埋もれていることが明らかとなった。200kmを超えるインパクトクレーターの存在する部分は、Noachian前期(40億年ほど前)に遡る非常に古い箇所であり、Noachian前期には、太陽系全域において、惑星に多くのクレーターが降り注いだと考えられている。

また、同種のレーダーがマーズ・リコネッサンス・オービターにも搭載されており、「SHARAD」と呼ばれている。両者は使用周波数帯が異なり、マーズ・エクスプレスは1.3〜5.5MHz帯を、リコネッサンス・オービターは15〜25MHz帯を使用。周波数が低いほど波長が長いため、使用アンテナも長くなっている(リコネッサンス・オービターのは片側10m)。

またこの周波数の違いは深度の違いにも現れ、エクスプレスの方がリコネッサンス・オービターよりも深い。そのため上の比較画像では堆積底が見えていないのだが、ただし解像度はリコネッサンス・オービターの方が上。両者のデータを上手に分析することで、詳しい地下構造が明らかになっていく。

詳しくはこちらへ【ESA 04.17】

<追加情報 02.29. 2008>

アリゾナ大学の研究チームが、火星の“ガリー”が水の流れによってできたとする主張と対立する分析結果を発表した。

ガリーとは、液体らしきものの流痕のことを指し、1999年、火星周回探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」の観測で初めて見つかった。以降、同様の地形が無数見つかっているが、形成要因についても意見が分かれ、水が流れたものというほかに、液体二酸化炭素や単なる岩石風化に伴う崩落痕とする見方などがある。

「純水の流れは除外されます」と語るのは、論文筆頭著者であるジョン・D.ペルティエ氏。彼の研究チームは、2006年12月に発表された「ガリーは水の流れで形成された」とする説に異論を唱えた。06年の発表は、流体痕のできる前後を比較し、それが水の噴出によって生じたものと結論づけている。

(下は06年の発表でリリースされたもので、ガリー形成のビフォーアフターがはっきり示されている。グローバル・サーベイヤーは約10年間の活動で、このような形成前後の現場をいくつも見つけた。その他の画像はこちら

            

ペルティエ氏の研究チームは火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」で取得された撮像データと、火星環境下における水の流れを計算したものとを比較し、ガリーを水の流れた跡とするのは無理があると結論づけた。

リコネッサンス・オービターは、グローバル・サーベイヤーより遙かに高い解像度を有しており、ガリーの形状を詳細に知ることができる。彼らは計算の結果、砂礫のような乾いた細かい粒子の流れとしたほうが合っていることを見出した。「乾いた粒子が妥当だったのですが、これには驚きましたよ。私も当初、液体水であることを証明しようとしていたのですから」と、ペルティエ氏は語る。

(右は、リコネッサンス・オービターで取得された画像と、それを再現するシミュレーション結果。右2つがシミュレーションであるが、液体水とした場合(中央)に比べ、乾燥砂礫としたもの(右端)のようが実際の形状に近い特徴を持っている。)

ただ、流出物が沈殿物を50ないし60%含んだ厚い泥である可能性もあるとしている。詳しくはこちらへ【Uiv. of Arizona 02.29】

<追加情報 02.29. 2008>

NASAが2009年打ち上げを目指して開発を続けている「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」に関し、その耐熱シールドの開発が難航、追加予算が必要であることが明らかとなった。先月12日、NASAのグリフィン長官が議会公聴会で表明した。

マーズ・サイエンス・ラボラトリーはフラッグシップ級ミッションに位置づけられている大型の火星探査プロジェクト。現在火星を走行中の探査車よりも一回り大きいもので、化学実験機器を搭載し、原子力電池で駆動する。このミッションは着陸フェーズにも“スカイクレーン”と呼ばれる新手法を用いるなど、新機軸が盛り込まれている。(下・活動するサイエンス・ラボラトリーの想像図)

            

グリフィン長官は公聴会で、大気圏突入時に使用する耐熱シールドが想定される高熱に耐えられないものであることを公表、デザインのやり直しに資金が必要であることを認めた。追加資金は2000万〜3000万ドルに達するという。ミッション全体の予算は18億ドルであるが、これは既に1億6500万ドル超過している。

また、打ち上げの遅れも懸念されている。NASAは今のところ来年の打ち上げを目標としているが、場合によっては2010年ないし2011年が検討されているという。詳しくはこちらへ【Space.com 02.29】

<追加情報 01.25. 2008>

今月25日(世界時)、火星探査車「オポチュニティ」が火星着陸4周年を迎えた。それを記念して、現在活動しているエリアのパノラマ画像が公開された。

            

オポチュニティは2004年1月25日、先発の同型車「スピリット」に遅れること22日、エアバッグで火星に着陸した。着陸地点はメリディアニ平原。何度かのバウンスの後、極めて小さなクレーターに転がり込むという“究極のホールイン・ワン”であったことが思い起こされる。

オポチュニティは昨年秋よりヴィクトリア・クレーターの西側の「ダック・ベイ」(Duck Bay)と呼ばれている一角を調査している。ここにはクレーター内部に向かってちょっとした露頭が広がっており、管制チームは慎重に操りながら急傾斜の走行と分析を続けている。

上のパノラマは昨年10月23日(Sol1332)から12月11日(Sol1379)にかけてパンカムで取得されたモザイクを合成して作成された。特徴的な“岬”が2つ見えているが、左側は「ケープ・ヴェルデ」(Cape Verde)、右奥に見えるそれは「カーボ・フリオ」(Cabo Frio)と命名されており、それぞれ高さ6メートルと15メートルである(下・拡大図)。足下には露頭が広がっている。

           

(下は「マーズ・リコネッサンス・オービター」の画像にオポチュニティの軌跡を合成したもの。広範囲サイズはこちらへ)

           

詳しくはこちらへ【NASA 01.24】

<追加情報 01.24. 2008>

ワイドショーなどでも取り上げられ話題の、火星の人魚↓

            

しっかし、よく探してきますね〜〜それにしても出来過ぎでは…偽造?(笑)以前は人頭骨に似た岩もありましたっけ。。詳しくはこちらへ【SPace.com 01.24】

<追加情報 01.17. 2008>

火星で、その大気に浮かぶ雲が地表に落とす影が撮影された。欧州宇宙機構(ESA)が発表した。

これまで火星大気に雲が生じることはよく知られてきたが、それは希薄なものと考えられていた。だが実際には、影を投げかけるほどの密度を持ったものが生じることが明らかになったのである。

この成果は、ESAが運用中の火星周回探査機「マーズ・エクスプレス」の「可視及び赤外線鉱物マッピングスペクトロメーター」(OMEGA)によって取得されたデータより得られたもの。

火星の大気で生じる雲には、水氷からなるものや、ドライアイスからなるものがある。火星大気の成分は二酸化炭素が主であり、また充分に低温であるので、ドライアイス性の雲が生じるのは不思議ではない。しかし、地表に影を投影するに充分な密度のそれが確認されたのは初めてのことである。

「ドライアイスの雲を真上から確認したのは初めてです。このことは、単に雲の形を判断するだけでなく、そのサイズや密度を知ることができる点で重要です。」と語るのは、論文筆頭著者のFranck Montmessin氏。論文は「ジャーナル・オブ・ジオフィジカル・リサーチ」誌に記載される。

これまでは、同探査機に搭載の「紫外および赤外線大気スペクトロメーター」(SPICAM)による観測データから、間接的に雲の特性を推し量るしかなかった。この方法では大気や地表からの放射を分離するのが難しかったのである。

SPICAMの観測結果より、雲はさほど厚いものではなく、また、細粒子でできていると考えられていた。だがOMEGAでの観測によると全く逆で、雲は高度80kmという高高度に出現している上、数百キロの幅を持っており、その上かなりの厚みを持っていたのである。

それは地球で見る、上昇気流で形成される積雲に似たものだという。

更に驚くべきことに、粒子のサイズは予想よりかなり大きかったのである。それは1ミクロン(1/1000ミリ)以上で、太陽光を減光させるに充分な密度になる。このサイズの粒子は通常、それほどの高層大気では生じないと考えられてきた。

下は、2004年6月12日にOMEGAで撮影されたドライアイス雲。雲の高度は80km。4枚はそれぞれ異なる波長で撮影されており、左から3枚目の波長4.26ミクロンで撮影されたそれは最もはっきり雲を捉えている。興味深いことに、雲自体がはっきり写っているのは波長0.5および4.26ミクロン画像のみだが、影は全ての波長で見えている。影の落ちる場所は、雲の直下から南西側に約100kmの地点。

             

「OMEGAによって撮影された雲は、40%に達する遮光率です。このことは非常に濃い影を落とし、その周辺温度に大きな影響を与えているものと考えられます。影は周辺より10℃近く温度を下げ、結果として風などの状況を変化させるでしょう。」とMontmessin氏は語る。

このドライアイス雲は殆ど赤道付近に集中しているため、赤道付近で生じる昼夜の極端な温度差が成因に絡んでいるのではないかと研究チームは考えている。「夜間の冷え込みと日中の温度上昇が大気に日周変動を起こし、それが巨視的対流を生み、上昇した二酸化炭素は上空で冷却を受けドライアイスへ変化する。しかもこの時解放される潜熱で更に大気塊は上昇する」というシナリオが考えられるという。

しかし、不明な点もある。地球では凝結核としてチリや塩分の微粒子などが考えられるが、火星ではまだ断定できないという。可能性としては高層まで巻き上げられた砂などが推定されている。

詳しくはこちらへ【ESA 01.16】

<追加情報 01.03. 2008>

NASAの火星探査車「スピリット」が3日、火星着陸から丸4年を迎えた。下はそれを記念して公開されたパノラマ画像で、昨年11月6日から9日にかけて撮影されたモザイクを合成して作成されたものである。着陸地点はパノラマほぼ中央の地平線の向こうで、右側に見える丘は「ハズバンド・ヒル」。

            

スピリットがグゼフ・クレーターの内部に劇的な着陸成功を納めてから早4年。当初ミッション期間は3ヶ月であったが、想定を大幅に超える耐久力と運用クルーの地道な努力により、これまでに7.5kmを超える走行を果たした。(下は・着陸から現在までの走行マップ。が現在の位置で、「ホーム・プレート」と呼ばれるちょっとした台地の北斜面にある。)

            

ちなみに下は、着陸後に撮影されたパノラマの一部で、エアバッグの一部が見えている。この約1ヶ月後の2月2日、NASAは東方に見える丘群を「コロンビア・ヒルズ」と命名、前年の2月1日に墜落したシャトル「コロンビア」へ捧げた。それぞれの丘には搭乗クルーの名が冠されている(下)。

            

スピリットはこの後、コロンビア・ヒルズを目指して走行。2005年から06年にかけて中央のハズバンド・ヒルを踏破することに成功した。現在いる位置は、この右端の、地平線の彼方である。詳しくはこちらへ【NASA 01.03】

<追加情報 12.27. 2007>

下は、NASAの火星探査車「スピリット」の後部ハザードカメラで取得されたイメージをつなぎ合わせて作成された動画。左上にSol が記されています。

           

スピリットは「ホーム・プレート」北側の、陽当たりのよい斜面に到達しました。詳しくはこちらへ【NASA 12.26】

<追加情報 12.25. 2007>

火星のクレーターに、惑星観測の分野で国際的に知られる日本人研究者の名が付けられることになった。その名は「Miyamoto」。国際天文学連合(IAU)が決定し、先月19日、関係者に連絡が入った。

故・宮本正太郎・京都大学名誉教授(1912〜92)。日本の天体物理学の草分けで、京都大学理学部付属花山天文台を拠点に、太陽コロナや火星大気などの研究で多くの業績を残した。アポロ計画では月面地図を作るのに協力するなど国際的に知られ、70年代には月や惑星の地名の命名委員として、水星のクレーターに「夏目漱石」の名を付けるなどした。

「Miyamoto」は火星の赤道付近にあり、直径は約160キロ。境界が不鮮明なクレーターの北半分が火星のどのような作用で生じたのかに研究者らの関心が集まり、米航空宇宙局(NASA)の探査対象の候補に挙げられているという。数十キロ北東では現在、NASAの探査車オポチュニティーが活動を続けている。(下・USGS Gazetteer of Planetary Nomenclatureより)
             

詳しくはこちらへ【朝日 12.25】

<追加情報 12.24. 2007>

NASAの火星探査車「スピリット」は、越冬拠点に到着した。同車は「ホーム・プレート」と呼ばれる大地の周辺を活動しているが、この北側の斜面に到着、ここで来たる冬を越す。

スピリットは現在、ホーム・プレートの北斜面の端で、車体を13度傾けて停車している。太陽電池は北を向いており、太陽光がよく当たるようになり、15日には260ワット時だった発電量が、19日には291ワット時まで回復している。(下・Sol1407(今月18日)にパンカムで撮影された360度パノラマモザイクの一枚。斜面を見上げているのがよくわかります)

            

運用チームは今後、斜面を下らせ、25ないし30度まで傾ける予定。詳しくはこちらへ【NASA 12.21】

<追加情報 12.21. 2007>

来月末、火星に小惑星が衝突する可能性があると、NASAが発表した。この小惑星は大きさ約50メートル。大きさだけを見ると小さいイメージもするが、これが衝突すると3メガトン規模(広島型原爆の約200発分)の衝撃が生じると試算されている。

この小惑星は今年発見された「2007WD5」と符号の付けられたもの。現在、地球と火星軌道の中間に位置するが(下図)、公転軌道が火星軌道とクロスしており、しかもこのまま行けば来月30日、火星の真横5万km以内を通過する。最接近は日本時間・同日午後8時と計算されている。

                   

「2007WD5は現在、時速27900マイルの速さで飛行しています。これから5週間、より多くの観測データを収集し、軌道を精密に描いていく予定です」と語るのは、ジェット推進研究所(JPL)のNEO(地球近傍天体)監視室の責任者ドン・ヨーマンズ氏。NEO監視プログラムはいわゆる「スペースガード」と呼ばれるもので、地球に衝突する可能性のある天体を見出し、追跡している。

当該の小惑星は今年11月20日にスカイサーベイで発見され、その後の追観測で地球へインパクトの可能性はないものの、火星への衝突があることが判明。現在の所その確率は約75分の1と、この種のものにしては極めて高い。

現段階では誤差のため厳密な軌道は断言できない。推定される通過地点をプロットしたものが右図で、黄色点の帯を描いている。

この帯の中には、火星探査車「オポチュニティ」の活動域付近も含まれている。

「このようなインパクトは数千年に1度起こるようなものでしょう」と語るのは、JPLのスティーブ・チェスリー氏。氏は、「もし火星へ衝突するとしたら、それは時速3万マイルで突っ込み、直径が半マイルほどのクレーターができる可能性があります。」と語る。半マイルほどのクレーターとは、オポチュニティが現在活動している「ヴィクトリア・クレーター」と同程度。

この衝突は1908年、シベリアのツングースカで起こった大爆発に匹敵すると見られている。ちなみにツングースカの爆発も小惑星の衝突によると見られているが、本体は地表に到達する前に空中分解してしまったと考えられている。詳しくはこちらへ【NASA 12.21】

…激突の瞬間、見えませんかねぇ?

NASAは、2011年の打ち上げを目指す火星探査計画について、その打ち上げを2011年から2013年に遅らせる決定を下した。

この探査計画は「マーズ・スカウト」プログラムで絞り込まれてきたもの。同プログラムは低予算で火星探査計画を公募し、競争原理で絞り込んでいく。今年1月、2つのミッションに絞り込まれていた。うちひとつは「Mars Atmosphere and Volatile Evolution mission」(Maven)というもので、火星の上層大気の運動や電離層の観測などを行う。主席研究員(PI)はコロラド大学のブルース・ジャコスキー博士。プロジェクトマネジメントはNASA・ゴダード宇宙センター。

一方もうひとつは「The Great Escape mission」というもので、火星大気上層の構造と運動を調査することで大気進化の基本プロセスを直接探ろうというもの。これに加え、メタンなど、生体活動によって生じる成分の調査も行う予定。PIはサウスウェスト研究所のアラン・スターン博士。マネジメントはサウスウェスト研究所。

遅延の理由に関し、一方の企画にコンセプトスタディの段階で浮上した利益相反が原因だという。それがどちらのものなのかは、公式には明らかにされていない。相反は11月に表面化し、NASAは解決を目指していたが、それが予想以上に深く、期日内の解消は無理と判断された。

評価は健全な競争原理の土俵の上で行われるべきで、一旦ミッションを練り直し、再度審議にかけることが決定された。

NASAは両ミッションチームに、2013年を目指したプランを練るよう、資金を提供する予定。再審議を来年8月に開始、最終選択が同12月に行われることになった。詳しくはこちらへ【NASA 12.21】

<追加情報 12.18. 2007>

火星は日本時間19日午前8時45分、地球へ最接近した。距離は約8800万kmで、いわゆる“中接近”である。

下は今月3日にハッブル宇宙望遠鏡で撮影された火星。大気に浮かぶ希薄な雲も良く写っている。

           

火星は約2年おきに迎える「衝」の付近で地球と接近するが、火星が比較的目立つ楕円軌道であるためその距離は大きく変動する。下はその違いをポスターにしたもの(わかりやすい大きいサイズ)。約15年〜17年に特に近づく“大接近”となり、近年では2003年に6000万kmまで接近している。

             

下は、上の各接近時にハッブルで撮影された火星。2003年の大接近ぶりがよくわかる。

           

その他の画像はこちらへ【Hubblesite 12.18】

<追加情報 12.15. 2007>

下は、火星探査車「スピリット」が、パノラマカメラ(パンカム)で撮影した自身のデッキ。今年10月26〜29日(Sol1355〜1358)に取得されたモザイクを合成して作成されたもの。

探査車は今年の夏、大規模な砂嵐に見舞われ、大量の砂を被った。画像ではそれが明らかで、デッキには砂が積もり、地表と同化している。

            

下は2005年8月27日の姿。火星面で活動を開始してから586日目(Sol 586)であるが、砂は殆ど被っていない。

            

スピリットは現在、「ホーム・プレート」と呼ばれるちょっとした丘の周辺を北へ向けて走行している。現在冬に向かいつつあり、スピリットは陽当たりのいい丘の北部斜面で越冬する予定。同車が冬越えを迎えるのは活動開始から3度目。下は周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」が撮影したホーム・プレートの画像に、2006年2月からの軌跡を黄色ラインで重ねたもの。細長い青い楕円が3度目の冬を迎える予定地となっており、12月8日(Sol1397)現在、その間近までたどり着いている(大きいサイズ)。

           

スピリットはいわゆる“冬至”を来年6月に迎える。なお、オポチュニティは赤道に近い場所を行動しているため、大きな季節変化は受けない。大きいサイズなど、詳しくはこちらへ【NASA 12.10】

<追加情報 12.12. 2007>

下は、火星面で活動中の火星探査車「オポチュニティ」の研磨装置・拡大画像。同車の研磨装置は先月中旬、コマンドミスで逆回転をし、研磨面を磨く2本のブラシのうち内側の1本が曲がってしまっている。

           

正常な状態は、下。逆回転させてしまったことにより“Rotate Brush”が曲がってしまったため、上の画像では見えていない。

           

角度を変えて見たのが、下。「曲がった」と伝えられていましたが…この画像を見る限りでは、もはやくっついていないようにも見えます。折れて落ちた?

           

ただ、研磨作業に致命的な障害ではないようです。【photo: NASA】

<追加情報 12.06. 2007>

最近はオポチュニティの話題が続きましたが、スピリットの方は元気です。

NASAの火星探査車「スピリット」は「ホーム・プレート」とニックネームが付けられた地域を、来たる冬を乗り切るための場所へ向けて走行中です。下は2004年7月から先月までの全ルート。火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」により取得された地上データに描かれたものです(大サイズ)。

            

スピリットは陽当たりのよい「ホーム・プレート」の北側で、冬を越す予定。先月は砂地に足を取られ、身動きが苦しい状態が続いていましたが、無事に乗り切っています。

下は、スピリットの前方ハザードカメラが先月18日に撮影した一枚。スピリットの右前輪は既に機能しておらず、同車はそれを引きずる格好で、バック移動を続けています。

            

タイヤの溝が写った左前輪のわだちに対し、右のそれは深く彫り込まれ、土壌が深い砂地であることを表しています(大きいサイズ)。【photo: NASA】

<追加情報 11.21. 2007>

下は15日に撮影された、研磨テストが続けられている火星探査車「オポチュニティ」のドリル部。先日、テストの最中にヒゲブラシを誤って逆回転してしまったため、2本あるブラシのひとつが回転面に垂直に曲がってしまった。。

           

下は、曲がる前の姿。ここでは見えている短い方のブラシが曲がってしまったため、上の画像では見えていない。どうやら向こう側に折れてしまったようで?

           

管制チームは現在、対処法を検討中とのこと…。大きいサイズはこちら【photo: NASA】

<追加情報 11.13. 2007>

下は、火星面で活動を続けるNASAの火星探査車「オポチュニティ」が撮影した、ロボットアームの先端に取り付けられているグラインダーツール「RAT」。ここにはグラインダーと回転ブラシ、顕微カメラが取り付けられており、これで岩石表面を研磨、拡大観察を行う(顕微カメラは180°反対側についており、使用時にはグルリと回して対象に向ける)。

           

観測対象が定まると、グラインダーとブラシを回転状態で近づけていく。先端が岩石に触れると回転数が変化するが、それらはモーターに取り付けられたエンコーダー(回転を検出するセンサー)で把握される。ところが先月下旬、不可解な動作を起こしていることが判明。分析の結果、グラインダーおよびブラシの各モーターに付随する、双方のエンコーダーが故障していることが明らかになった。(下・各部の詳細。ブラシが2本、グラインダーが1本ついている。)

           

エンコーダーの機能が失われた状態では、“安全な”研磨作業が難しい。代替策を検討した結果、先端が岩石に触れたことを検出するコンタクトスイッチの反応を利用することになったという。

今月にかけてその新手法のテストが行われており、良好な結果を得ているという。今月8日には深さ1mmの研磨が行われた(右下・拡大画像)。

           

テストは来週にかけて継続して行われる予定。詳しくはこちらへ【NASA 11.13】

<追加情報 10.29. 2007>

火星面で活動を続けるNASAの火星探査車「オポチュニティ」が先月29日(Sol1338)、火星上でちょうど2火星年目を迎えた。

同探査車は現在、ヴィクトリア・クレーターの縁で露頭の調査活動を続けている。(下の画像は「ケープ・ベルデ」と呼ばれている岬。先月20日撮影された画像データから生成された擬似カラー映像で、細部の特徴がわかりやすいように着色されている。)

            

火星の1年(1火星年)は、地球の687日(約1.9年)に相当する。したがって2火星年は、地球時間でほぼ4年に匹敵。2004年1月25日に着陸し、当初90日の活動が予定されていた探査車は、年明けに丸4年を迎える。

一方、同型車の「スピリット」は先月8日に2火星年を迎えている。詳しくはこちらへ【NASA 10.29】

<追加情報 10.24. 2007>

下は、火星探査車「オポチュニティ」が今月18日に撮影した一枚。オポチュニティは現在もヴィクトリア・クレーター内の露頭で調査活動を続けています。

           

それにしても変わらぬ急角度…ひっくり返りませんように。。大きいサイズはこちらへ【photo: NASA】

<追加情報 10.21. 2007>

下は、火星周回探査機「マーズ・オデッセイ」が2003年5月に取得した画像で、「Tiu Valles」と呼ばれるところの一角。

           

流体によって形成された地形であるのは明らか。流れがクレーターにぶつかり、下流に向かって涙状の堆積が形成されている。大きいサイズはこちらへ。【NASA/JPL/ASU 10.15】

<追加情報 10.16. 2007>

2004年1月より火星面で活動を続けているNASAの火星探査車「オポチュニティ」と「スピリット」の活動期間延長が決定された。(下は今月8日、「スピリット」によって撮影された一枚。同車はこの日、丸2火星年を迎えた。)

            

ミッション開始より5回目となる延長は、2009年いっぱいまで続く予定。詳しくはこちらへ【NASA 10.15】

<追加情報 10.12. 2007>

下は、NASAの火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」が撮影した一枚で、2009年に予定されている火星探査ミッション「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」の着陸候補地点のひとつ。

             

この他にも、候補地が多くリリースされています。一覧はこちらへ【MRO HiRise 10.10】

<追加情報 09.28. 2007>

火星探査車「オポチュニティ」はヴィクトリア・クレーターの縁で順調に活動を続けています。最初の目標に選ばれていた露頭に降下し、鉱物分析を行う準備を進めています。

今月25日(Sol1305)、目標と定められた岩石へ接近しました。この週は周辺のチェックなどを行い、本格的な分析は週明けから行われる予定です。下はその際撮影された1枚ですが…かなり傾斜があります…25度くらいだそうです(リリースされたものを25度傾けてみました@管理人)。

            

「オポチュニティは完璧な走りを見せています。傾斜は25度に達しますが、車輪のスリップは僅か10%程度です」と、プロジェクトマネジャーのジョン・カラス氏は語っている。詳しくはこちらへ【NASA 09.26】

<追加情報 09.26. 2007>

下は、火星探査車「オポチュニティ」がSol1302(今月22日)に撮影した一枚。同車は現在、ヴィクトリア・クレーターの縁の部分で内部を伺っており、目の前に広がる岩石の露頭で調査を行っている。

探査車は斜面の上で停止しています。角度は大体14度くらい…結構な急斜面です。
           

      下は、今月19日に撮影された一枚。まるで石畳ですね〜
           

大きいサイズはこちらこちらへ【photo: NASA】

<追加情報 09.17. 2007>

今年6月上旬、2009年秋に打ち上げが予定されているNASAの火星探査車「マーズ・サイエンス・ラボラトリー」(MSL)の詳細設計審査(CDR)が終了したことが明らかにされた。NASAが発表した。

MSLは、現在火星で活動中の火星探査車より更に大型の車で、地表を移動しながら生命反応にまつわる化学的調査を行うもの。この探査車には過去最大級の科学機器が搭載される予定であり、電力は原子力電池を用いることになっている。CDRはミッション全体の精査を行うもので、機体や科学機器の設計から予算、期間まで全てを検討し、製造段階へ進んでよいか判断を下す重要な審査である。(下・MSLのコンセプトデザイン)

 

この審査の結果、MSLでは当初予算17億ドルに対し7500万ドルの予算超過が確認され、これを克服するためいくつかの修正が行われた。

NASAの火星探査ミッション全般については、緊急の追加予算が必要になったときに備えた資金プールが存在するが、MSLの超過額すべてを賄うことはできないし、他の火星ミッションに与えるしわ寄せも避けねばならない。そのため、現在のミッション設計を崩さない範囲でいくつかの機器とプロセスが省略されることになり、その上でプールから一部資金の補填が行われることになった。

具体的には、一部設計変更や予備機器の割愛、フライトソフトウェアの一部簡素化や地上テストの変更などである。勿論これらはリスク計算も考慮した上で決定されている。

また、着陸時に地上のレファレンス撮影を行う撮像センサー「MARDI」、「MASTCAM」のズーム機能の省略、及び、岩石を削るグラインダーをブラッシングするブラシに変更することが決定された。

一方、「ChemCam」、「SAM」および「CheMin」の各科学機器開発への追加費用は認められなかった。「ChenCam」はレーザーで対象を焼き、そのスペクトル分析を行い、「SAM」は大気や土壌の化学分析、「CheMin」は鉱物化学分析を行うものである。このうち「SAM」が最も開発費を要するものとなっている。

今後、これらの科学機器開発費が超過しても、外部からの資金注入は行われない見込み。

ただ、重要な科学機器は漏らさず搭載が決定され、スケジュールの遅延やキャンセルは一切なかったため、関係者は安堵している。詳しくはこちらへ。MSL概要についてはこちらへ【NASA 09.17】

火星探査車「オポチュニティ」が今月13日に撮影した、ヴィクトリア・クレーター内部。同車は一旦後ずさりして停車中だが、これは最も踏み込んだ所で撮影された一枚(大きいサイズはこちらへ)。

            

結構急な坂なんですねぇ…まっすぐ行けばゴツゴツ地帯…オポチュニティでも走れる程度!?現在、運用チームが今後の走行プランについて検討を続けているようです。【photo: NASA】

<追加情報 09.12. 2007>

NASAの火星探査車「オポチュニティ」が11日、「ヴィクトリア・クレーター」の内部へ向けて一歩を踏み出した。管制部は同車に対し、全6輪がクレーター壁へ踏み出すまで前進をし、その後一旦バックするよう指示を出した。これは、土壌のスリップ具合を見定めるための行動である。

今回の指示には、もしスリップの度合いが40%を超えた場合、その場に停車するコマンドが含まれていた。実際にはバックの際、最後の段階でこの数値を超えたため停車、現在も前2輪はクレーター坂へ踏み入れたままである(下)。

            

同車は4m前進し、3m後退したところで停車している。上は行動終了後に前方のハザードカメラで撮影された一枚。現在、今後の行動について検討と協議が続けられている。詳しくはこちらへ【NASA 09.12】

…かなりフワフワ感がありますねぇ。クレーターの下の方ではズブリと沈み込んだりして…?

<追加情報 09.11. 2007>

下は、火星探査車「オポチュニティ」が今月9日に撮影した「ヴィクトリア・クレーター」の内部。同車は今週、クレーター内部への降下を開始する予定で、それに備えて撮影された一枚です。

            

内部の様子がよくわかります。坂の先には置いたような石が…左斜面からゴロゴロ?あるいはもしや、隕石?大きいサイズはこちらへ【photo: NASA】

<追加情報 09.06. 2007>

6月〜8月に続いていた大規模な砂嵐は収束へ向かいつつありますが、降下する砂が火星探査車へ積もることも懸念されています。しかし、つむじ風がしょっちゅう走り回っており、これがいい具合に積もった砂を吹き払ってくれます。

下は探査車「オポチュニティ」のロボットアームで、最近、風で砂が吹き払われました。吹き払われる前後で全然違いますね。

            

太陽電池に積もっていた砂も飛ばされ、発電量も大きく改善したようです。画像の大きいサイズなどはこちらへ【NASA 09.05】

<追加情報 09.03. 2007>

NASAの火星探査車「オポチュニティ」が先月29日に撮影した「ヴィクトリア・クレーター」の内部。砂嵐も収まりつつある中、探査車の活動も徐々に再開されつつあります。

            

同探査車はこのクレーター内へ進入、調査を行う予定になっています。見た目では大した傾斜ではなさそうですが、実際は結構急なようで…下はカメラを右へ振って撮影されたクレーター縁です↓

            

<追加情報 08.24. 2007>

NASAの火星探査車「オポチュニティ」と「スピリット」が、6週間ぶりに走行を開始した。両探査車は6月より発生した大規模な砂嵐に阻まれ、行動が厳しく制限されてきた。(下・今月21日(Sol1271)の走行後、撮影された画像。目の前にビクトリア・クレーターが広がる。)

             

大気は砂嵐で巻き上げられた砂のため透明度が著しく低下、一時は太陽電池の発電電力が危機的状況の一歩手前まで落ち込んでいた。ただ、ここ2週間ほど新たな砂嵐の発生は確認されて折らず、大気の透明度も回復しつつある。

オポチュニティの発電電力は23日、300ワットまで回復した。これは最悪を迎えていた5週間前の倍に相当するが、まだ砂嵐が発生する前の半分である。大気はクリーンアップされつつあるが、探査車に積もる砂にも注意を払っている。

オポチュニティは21日、ビクトリア・クレーターの縁へ向けて13.38mの走行を行った(上)。これは走行テストの他に、太陽光がよく当たる傾斜側へ移動することにより電力を確保しようという目的もある。オポチュニティはビクトリア・クレーター内へ進入することが決まっている。詳しくはこちらへ【NASA 08.24】

<追加情報 08.22. 2007>

火星探査車「スピリット」の観測によると、砂嵐は収束の方向にある気配を感じさせている。空の透明度は回復基調にあるが、降下する砂が太陽電池の上に積もり続けているため、発電出力は一定の値を保ったままである。

予想では、このまま数ヶ月のうちに砂嵐は収まるとされている。ただ活動は現在も制限されており、今後も暫くは透明度の観測などに限られる見込み。詳しくはこちらへ【NASA 08.20】

<追加情報 08.20. 2007>

下は、火星周回探査機「マーズ・オデッセイ」が取得した、南半球の砂嵐状況。上段は今月上旬、下段は中旬。

             
            

上旬には収束の気配がありましたが、中旬にかけて再び拡大の様子が…もう暫く落ち着く気配がなさそうですね。。最新データはこちらへ【photo: NASA】

<追加情報 08.08. 2007>

6月中旬から大規模な砂嵐に見舞われ行動が極めて制限されているNASAの火星探査車「スピリット」と「オポチュニティ」について、両者の状況ともやや改善の兆しが見受けられるという。

スピリットは約3週間ぶりにロボットアームを動かし、目前の岩の顕微写真撮影体勢を取った(下)。

            

太陽電池の発電量は、スピリットが8月6日(Sol 1276)現在で295ワット時、オポチュニティが5日(Sol 1255)現在で243ワット時。先週がそれぞれ261および128ワット時であったのと比較して、かなりの改善である。ただ、砂嵐が始まる前の700ワット時レベルと比べるとまだまだ予断を許さない。

ただ、発電量の増加のためバッテリーのコンスタントなチャージが始まり、スピリットの方はほぼフルの状態。懸念されていたオポチュニティの車体温度も−37℃から−33.4℃まで上昇しているという。

ただ、状況が厳しいことに変わりなく、今後も慎重に運用を続けるという。詳しくはこちらへ【NASA 08.07】

<追加情報 08.01. 2007>

大規模な砂嵐に耐えているNASAの火星探査車「オポチュニティ」の最新状況について、管制チームは新たな緊張に包まれている。

30日に取得された最新のテレメトリーによると、砂嵐による大気の透明度が7月中旬に迎えた最悪時とほぼ変わらない程度に達し、太陽電池は必要最小限の電力をかろうじて発電できる状態という。

現在、オポチュニティは透明度などごく限られた観測以外は停止され、地球との交信も3日に1回と制限された運用が続けられている。ただ車体の冷却は深刻で、夜間は−37℃まで低下するが、これはヒーター緊急稼働の3℃手前。もしヒーターがオンとなれば電力消費量が発電量を上回り、バッテリーがあがってしまう。

これを避けるため、電子機器の1日あたりの運用時間を若干延長することを決定した。電子機器はそれ自体が熱を出し、その熱は車体を温めてもいる。だがもし大気透明度が悪く太陽電池で充分な発電を確保できなければ、正味が赤字となってしまうのは間違いない。

もしバッテリーの残量が危険ラインを割り込んだら、オポチュニティは冬眠モードに入ってしまう。この場合、太陽電池の電力が回復するまで一切を受け付けなくなる。独自に発電量をチェックし、発電量が規定に回復するまで、数日、数週間、あるいは数ヶ月間でも眠り続けることになる。

管制チームは、このリスクと隣り合わせで運用をせざるを得ないことを懸念している。詳しくはこちらへ【NASA 07.31】

<追加情報 07.26. 2007>

大規模な砂嵐のため地球とのコンタクトも著しく制限されているNASAの火星探査車「オポチュニティ」について、発電電力レベルがやや回復していると発表があった。

これは、26日に取得された最新のテレメトリーによるもの。一方、オポチュニティより状況が軽かった「スピリット」の方が、オポチュニティよりひどい砂嵐に見舞われているという。ただ、オポチュニティが先週経験した最悪の状況よりは軽いとのこと。

オポチュニティの発電量は日量200ワット時と、先週の128ワット時に比べだいぶ改善されている。大気透明度の計測が再開されたが、交信頻度は現状維持のもと、慎重な運用を当面継続するとしている。

砂嵐の収束時期については、現時点では予測が立たないと関係者は語っている。

両探査車は熱源として電力ヒーターとプルトニウム238を含む固形物体を8個搭載している。冷え込む夜間はヒーターとプルトニウム崩壊熱で乗り越えることができるが、プルトニウムだけでは厳しい。ただ、オポチュニティは2004年の運用当初からヒーターを完全にオフにすることができない不具合を抱えており、逆にその分が余計な消費電力となっている。

そのため、発電量の減少下ではバッテリー温存を優先するため、送信機の運用が制限されている。詳しくはこちらへ【NASA 07.26】

<追加情報 07.24. 2007>

大規模な砂嵐に見舞われ身動きが取れなくなっている火星探査車「オポチュニティ」が23日、地球にデータを送信、状況はやや改善の方向へ向かっていることが明らかとなった。

オポチュニティには先週末、発電力低下に伴うバッテリー切れを避けるため、地球との交信を3日に1回へ削減する措置が採られていた。23日、オポチュニティは必要最小限のデータを送ってきたが、それによると、電力状況はやや改善の方向に向いているという。

オポチュニティとの次回の交信は26日が予定されているが、管制チームは24日にコマンドを送信するかもしれないとしている。詳しくはこちらへ【SpaceDaily 07.24】

<追加情報 07.21. 2007>

下は、火星探査車「スピリット」が1230火星日(今年6月19日)に撮影した一枚。右上につむじ風が走っていくのが見えます。
            

右から左へと走っているようですね。大きいサイズはこちらへ【photo: NASA MarsRovers】

<追加情報 07.21. 2007>

火星面で3年半もの長期にわたり活動を続けるNASAの火星探査車「オポチュニティ」と「スピリット」は、最大級の試練に見舞われている。それは砂嵐だ。

先日より既報だが、ここ1ヶ月近く、火星面では大規模な砂嵐が発生している。太陽光を遮る砂嵐は太陽電池で電力をまかなっている2台にとって重要な問題で、特にオポチュニティの活動域では太陽光の99%が遮蔽されることもあり、死活問題となっている。この最悪の状況は、今後あと数日間ほど続くものとみられている。「我々はこの困難を耐え抜くべく模索していますが、そもそも両車はこの強烈な砂嵐に耐えるように設計されてはいません」と語るのは、NASAサイエンス部門幹部のアラン・スターン氏。

もし今後も深い砂嵐が続けば、電力低下に伴い車体の温度管理が困難となり、危機的な状況に陥る可能性がある。

(下・オポチュニティが6月14日から1ヶ月間にわたって撮影した連続写真。空が火山灰に覆われたような感じで…)

            

砂嵐が始まる前、オポチュニティの発電量は日量700ワット時であったが、砂嵐発生後は400ワット時以下にまで落ち込んでいる。そのため運用チームは殆どの活動をやめ、その場に停止させる状態が続いている。

特に今月17日には、オポチュニティの電力は148ワット時まで低下。これは現状維持に必要とされる最小リミットであるが、18日には更に128ワットまで降下した。ちなみにスピリットの方は、オポチュニティに比べると砂嵐の程度はまだ軽い。

(火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」が6月22日(上段)と7月17日(下段)に撮影した火星面。地形の特徴など殆どわからなくなっています。)

            

19日までオポチュニティは一切の活動を停止していたが、それでも電力消費量が発電量を上回っている状態であった。更なる上は、地球との交信を割愛、バッテリーを温存する策を採るしか無く、18日、オポチュニティに翌2日間の交信をカットするようプログラムが送信された。

バッテリー温存のために交信をスキップするのは、今回が初めてである。この処方により、消費電力を日量130ワット時以下に抑えることができる。

現在直面している困難は、乗り越えられなかったらその時点でミッション終了となってしまうもの。幸いにも19日には発電量にやや回復が見られているが、ミッションチームは注意深く砂嵐を観察しながら、運用を続けている。詳しくはこちらへ【NASA MarsRovers 07.20】

<追加情報 07.17. 2007>

大規模な砂嵐が続く火星面では、火星探査車「スピリット」と「オポチュニティ」が注意深く活動を続けています。砂嵐は大気中に広がり太陽光を遮り、特にオポチュニティはこのまま電力レベルが低下すると交信時間も削減する必要が出てきそうとのことです。

下はオポチュニティが撮影した最近(Sol 1233)の様子。大気が砂でかすんでいます。

           

一方、下はスピリットが撮影した一枚。大気のかすみがよくわかります。

            

オポチュニティは砂嵐が収まり次第、30m程移動し、そこからヴィクトリア・クレーター内部への降下を開始する予定です。詳しくはこちらへ【NASA Mars Exploration Rovers】

<追加情報 07.13. 2007>

火星の南極冠に存在する永久水氷(water-ice)に関する詳細な分析がリリースされた。端的に言えば、約5万1000年周期で水が両極を行ったり来たりしているシナリオが考えられるという。

「これはとてもゆっくりとした循環です」と語るのは、今回の論文筆頭著者であるFrank Montmessin氏。これは、欧州宇宙機構(ESA)の火星周回探査機「マーズ・エクスプレス」に搭載されている「可視光・赤外線鉱物スペクトロメータ 」(OMEGA)により観測されたデータを解析して、明らかになった

マーズ・エクスプレスの観測で南極冠には既に、それまでは未検出だった永久水氷の堆積層が確認されている(2004年)。彼らはこの堆積層の形成過程について詳細な考察を行い、1つのシナリオを描き出した。

OMEGAによる観測データを分析すると、堆積層は基本的に3種類に分類できるという。それらは「ドライアイス混じりの水氷」、「広範囲にわたる水氷のパッチ」、そして「ドライアイスが薄く積もった堆積」である。

(下は、OMEGAが取得したデータに基づく図。「ユニット1」はドライアイス混じりの水氷、「ユニット2」が水氷のパッチ、「ユニット3」がドライアイスが薄く積もった堆積層である。)
            

最初のタイプの発見は、長年唱えられてきた「CO2が水氷をトラップしている」という説を支持するものであるが、しかし、残りの2タイプはCO2トラップとは無関係である。このような違いはなぜ生じるのか?

「我々は、それらのタイプの水氷は、両極を行ったり来たりしているものと考えています。それは約51000年の周期であり、この周期は火星の歳差周期に相当します」と、Montmessin氏は言う。歳差とは、自転軸がゆっくり“味噌すり運動”をすることだ。回転するコマがゆっくりふらつくのも同様である。

地球の自転軸も歳差運動をしており、その周期は約25800年。北極星の位置が少しずつ変化していくのもこの運動のためである(1万年ちょっと経つと、こと座ベガが北極星になるという話でも知られる)。

ところで、火星の公転軌道は地球のそれと比べ、だいぶつぶれた楕円軌道を描いている。そのため近日点と遠日点における太陽からの距離の違いは大きく、これは太陽からの受光量にも差をもたらす。両者の差は5000万kmに達するが、これは太陽−地球間距離の約3割にも相当する。

季節の変化は基本的に自転軸の傾きが原因で生じる現象である。だが火星の場合、これに上述の差を加えることで、観測される状態と水の循環を説明しようというのが彼らの試みだ。

現在、火星の南半球が冬の時、公転軌道上での位置は遠日点付近に、北半球が冬の時、近日点付近に来ている(右・詳しくはこちらへ)。

(ちなみにしたがって、同じ夏とはいえ、南半球の夏の方が北半球のそれよりも30Kも気温が高いです@管理人)

Montmessin氏の研究チームは、状態が現在とほぼ逆であった21000年前まで遡って数値計算を行った。2万年前から1万年前までの1万年間、北極の水氷は不安定な状態で、水蒸気となり南極に容易く移ることが判明したという。南極では年1ミリの割合で堆積が続き、1万年の間に6メートルの堆積層が出来上がったという。

続く1万年前から現代までの間、今度は逆のプロセスが生じているという。南極域の水氷は不安定になり北極域に移っており、1000年前、ドライアイスに水氷がトラップ(CO2 cold trap)されるようになったと考えられるという。

          

上の図で、左は南極域における現在の水氷降着量を表しており、右は21500年前のそれを表している。現在の水氷降着は僅かであるが、2万年前は広範囲で非常に高い割合だったことが示されている。

下の図は、1万年前から現在までの、南極域の水氷とドライアイスの変化を示す模式図。(1)南極域で水氷が大きく成長、(2)南極域での消滅が始まり、水蒸気が北極域へ、(3)ドライアイスが水氷の昇華を妨げている。

           

南極域における水氷の拡張は2万年前前後がピークで、その後、後退が始まる。1000年前頃に何らかの理由でCO2層が水氷の昇華にブレーキをかけ始め、現在に至っている。詳しくはこちらへ【ESA 07.13】

…太陽から最も離れたときに冬である方が氷の堆積は厚いような気がしますが、計算では逆なんですねぇ。

<追加情報 07.13. 2007>

火星面では大規模な砂嵐が続いています。砂嵐は先月末、赤道・メリディアニ平原の西部で発生し、その後急速に広がっていきました。下は火星周回探査機「マーズ・オデッセイ」による、南半球の透明度マップ。赤いところほど透明度が低いところです。

            

ピークは今月上旬だったようで、下は今月5日から9日に取得されたデータ。赤い領域が最大級です。

            

火星探査車も精力的にダストの観測を行っているようです。ヴィクトリア・クレーターの縁にいるオポチュニティはまだ行動に出れないようです…

その他、最新データはこちらへ【NASA/JPL/Arizona State University 07.13】

下は、火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」が今年5月5日に撮影した、南半球の一角(54.6S, 17.5E)。

            

上の中には、流体の流れ出した痕跡と言われる「ガリー」、砂丘、つむじ風の走った跡、明るい岩石の堆積が写っている。これらの特徴は火星面ではお馴染みのものだが、一枚のフレームに全てが存在するのは珍しい。

画面中央上・白く見えているのがガリーで、長年の間に堆積したものと考えられている。その周辺を含む黒い部分は砂丘で、複雑な風の流れが存在するとみられている。一方、右下の白い部分は明るい岩石の堆積。

画面全体に走る黒い筋は、つむじ風の走った跡。詳しくはこちらへ【photo: NASA/JPL/University of Arizona】

<追加情報 07.06. 2007>

下は、火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」(MRO)の高解像度カメラ「HiRISE」によって撮影された、「ヴィクトリア・クレーター」の一部。走り回っているラインは火星探査車「オポチュニティ」が残したわだち。2本が並行に走っている様子がはっきり写っています^^(大きいサイズではっきり)

            

撮影されたのは、先月6日。大きいサイズはこちらへ【photo: HiRISE】

<追加情報 07.03. 2007>

火星面では現在、一週間以上にわたる大規模な砂嵐が発生しており、2台の火星探査車の運用チームは神経質になっている。両車は太陽電池で駆動しており、砂が与える影響が懸念されるからだ。

                

先日発表された、オポチュニティのビクトリア・クレーター内への降下も、時期が遅れそうとの発表がなされた。砂嵐は最低あと一週間は続くとの予想が出されている。オポチュニティは現在「ダック・ベイ」の傍に停車しており、クレーター内への降下に備えているところである。

「砂嵐は両車に影響を与えており、オポチュニティは電力レベルが低下しています。我々は注意深く見守っていますが、クレーター内への降下は今月13日以降に遅れそうです」と語るのは、JPLのローバー・プロジェクトマネジャーのジョン・カラス氏。(下は火星周回探査機「マーズ・オデッセイ」が撮影した砂嵐の一部。大きいサイズはこちらへ)

           

「大気の不透明度が小さくなりつつあるというデータがあります。嵐は恐らく、ピークを過ぎ、最悪の状況を脱しつつあるのではと考えています。今はただ、待つほかありません」とカラス氏は語る。詳しくはこちらへ【NASA 07.03】

<追加情報 07.01. 2007>

下は火星探査車「オポチュニティ」が1204火星日(6月14日)に撮影した一枚。この日、「ケープ・ベルデ」へと走行し、「ダック・ベイ」内のステレオ撮影を行った。

            

ダック・ベイは、オポチュニティが降下する予定の場所。走行ルートなどの検討が続けられている。【photo: NASA】

<追加情報 06.28. 2007>

NASAは29日午前2時(日本時間)、火星の「ビクトリア・クレーター」周辺で活動を続けている火星探査車「オポチュニティ」を、同クレーター内に向かわせることを正式に発表した。

注意深く降下し、全てがうまくいけば、再びクレーターの外へはい上がってくることもできるだろうという。「再び外へ出ることができるか否か、それはかなり不透明ですが、しかし、クレーター底に調査する価値が秘められていることに確信を持ち、運用チームに許可を下しました」と語るのは、NASA副理事で科学ミッション部門責任者のアラン・スターン博士。

クレーター壁を降下していくことで、より古い地質に迫ることができると見られている。

           

「ダック・ベイ(Duck Bay)が進入口としてベストな候補と考えられます」と語るのは、プロジェクトマネジャーのジョン・カラス氏。ここは傾斜が15ないし20度で、岩盤が露出した、安全走行ができる場所と考えられるという。下はオポチュニティが撮影したダック・ベイの一部。同車が「ビクトリア・クレーター」で最初にたどり着いたのがここであった。

           

クレーターをはい上がれる可能性は、6輪が問題なく作動したら可能と判断されている。ただ、車はとっくに設計耐久を過ぎており、同型車の「スピリット」は1輪機能しない。オポチュニティはまだ全輪駆動するが、スピリットの故障前に見られたものと似た症状が出始めているとされる。

オポチュニティが降下していく様子を描いたアニメーションはこちら。詳しくはこちらへ【NASA 06.28】

<追加情報 06.26. 2007>

NASAは米東部時・今月28日午後1時(日本時・29日午前2時)、火星探査車「オポチュニティ」の「ビクトリア・クレーター」内への走行の科学的目的とミッション・リスクに関する電話記者会見を行う。

オポチュニティは現在、ビクトリア・クレーターの周辺で地層の調査などを行っている(下・最近の行動軌跡)。最近、ミッションチームの間ではクレーター内への走行可能性が議論され続けていた。

            

会見にはNASAの副理事で科学ミッション部門責任者のアラン・スターン博士らが列席する。詳しくはこちらへ【NASA 06.26】

…ついに、大きな賭にでたようですね。5月頃から議論されてきたようですが…。どこからどのように降りていくのか非常に興味がありますが…ひっくり返らなければよいですが。。

<追加情報 06.22. 2007>

下は、火星周回探査機「マーズ・オデッセイ」が撮影した地表の一部。場所は南極域に近い南緯62.8度、 東経128.5度。

           

黒い部分が口を開けたサカナに見えなくもありません^^; あるいはオーブン手袋か。。詳細はこちらへ【NASA/JPL/Arizona State University 06.22】

<追加情報 06.12. 2007>

火星面で3年半近く活動を続けるNASAの火星探査車「スピリット」と「オポチュニティ」が計測した気温データをグラフ化したものが公開された。1日の最高・最低気温の差が100℃を超えます!

                    スピリットの左前・車体下の日陰における温度変化
           
 
                   オポチュニティの左前・車体下の日陰における温度変化
           

両者とも赤道付近を走行しているが、スピリットの方がオポチュニティよりも赤道より離れているため、季節に伴う気温差が大きくなっている。

極寒は車体の各部、特にモーターに対して大きな影響を与える。例えばオポチュニティのアームを駆動する車体側モーターは低温が原因で機能しなくなったと見られている。一方、最近、オポチュニティの右前輪が“重い”状態が続いているが、低温で潤滑油がうまく流れないのが原因ではないかと考えられている。

オポチュニティの症状は既に機能しないスピリットの右前輪にも見られたもの。詳しくはこちらへ【NASA/MER 06.12】

<追加情報 05.21. 2007>

現在も活動中のNASA火星探査車「スピリット」が、シリカ(二酸化ケイ素)を高濃度に含有する土壌を発見した。濃度は90%に達するといい、シリカがこれほど凝縮された土壌が火星で発見されたのは初めてである。

研究チームはシリカの凝縮には水が必要と考えており、これはかつて火星に海が存在した証の1つであると主張している。

(下は先月20日にスピリットが撮影した土壌で、白い部分はシリカが凝縮している部分。スピリットは6輪のうち1輪が機能を停止しており、引きずる格好で走行している。そのため土壌を深くえぐるようなわだちが残ることが多く、逆に土壌分析には好都合となっている。)

            

スピリットは2004年1月の活動開始以来、水の存在を示唆すると見られる硫黄を多く含む土壌や鉱物、それに火山の爆発的噴火を示唆する痕跡などを発見してきた。今回の発見についてジェット推進研究所(JPL)の地質学者であるアルバート・イェン氏は「これは水が存在したことを示す、最もはっきりした証拠の1つです」と語る。

二酸化ケイ素は地球上では大量に存在し、いわば土壌そのもの。様々なタイプの結晶形を有するが、今回見つかった火星のそれは結晶になっていないという。このシリカが高濃度に凝縮した原因として、太古の火山噴火で出たマグマが海水と接した結果や、温泉などが考えられるという。詳しくはこちらへ【NASA 05.21】

<追加情報 05.03. 2007>

カナダのハイテク企業「オプテック」社が同国宇宙庁に提案していた火星探査計画が、同庁により選定された。

これは「PRIME」(Phobos Reconnaissance and International Mars Exploration)と命名されているミッションで、火星の衛星「フォボス」を精査するのが目的。ミッションでは高解像度カメラで表面を調査するほか、同衛星への着陸も試みるというもの。他国の参加による国際ミッションとされている。

カナダ宇宙庁は、昨年提出されていた12の提案中から選択した。

フォボスは謎に包まれた衛星の1つで、太古の太陽系の情報をとどめていると考えられている。これまでロシアがフォボスへの接近観測を行ったことがあるが、充分な情報が得られる前に探査機との通信が途絶えてしまっている。

70年代には米国の「バイキング」ミッションの周回機が接近、観測を行っている(右・その際に得られた映像)。

一方、このミッションを成功させることが、宇宙開発シーンにおけるカナダの地位向上にも繋がると関係者は期待している。

ところで、着陸地点は既に仮提案されている。それは「フォボス・モノリス」として知られる巨大な物体の近くだという。この岩石は研究者らの興味をひくもので、フォボスの堆積層を調べるに好都合な唯一の場所と考えられている。

                   

詳しくはこちらへ【Spaceref 05.03】

…89年にソ連のフォボス探査機が失敗して以来、ロシアは再びこの衛星へ挑もうと「フォボス・ソイル」ミッションを立ち上げています。フォボス・ソイルは土壌を地球に持ち帰ろうというものですが、カナダのミッションもこれまた楽しみですね。ロシア&相乗り中国、カナダ…こりゃ、フォボス探査もラッシュが…


<追加情報 04.14. 2007>

火星探査機マーズ・グローバル・サーベイヤーが昨年11月に消息を絶った問題を調査していた米航空宇宙局(NASA)は13日、コンピューターシステムに絡む人為的ミスにより太陽電池パネルが故障し、探査機は活動を継続できなくなったとみられるとの暫定的な調査結果を明らかにした。

NASAや米メディアによると、交信を絶つ前にコンピューターに間違った制御信号が送られており、これが太陽電池パネルの無力化の遠因になった。昨年11月にNASAが定期のコンピューター調整のために信号を送ったところ、以前に送られた不適切な信号の影響で探査機のコンピューターが警報を鳴らした。

その後、太陽電池パネルは太陽光に直接向き合う角度を取り、過熱によって電池が故障、探査機は活動不能となった。警報が送信された際、探査機の状態が安定していることも同時に示されたため、NASA側は適切な処置を施さなかった。【時事 04.14】

…NASAのプレスリリースはこちら

<追加情報 04.12. 2007>

NASAの火星探査車「スピリット」が、火星のつむじ風のベストショットを捉えた(下)。

            

これは、今年2月26日、搭載のナビゲーションカメラで撮影されたもの。渦の様子がはっきりと捉えられている。連続撮影が行われ、それをつなぎ合わせることで作成された動画も公開されている。

なお、動画の最後の方では移動速度が速くなっているが、これは渦の実際の速度がアップしたわけではなく、撮影の時間間隔が長くなったため(コマ送りのような状態)である。

動画など詳細はこちらへ【NASA 04.12】

<追加情報 04.10. 2007>

今月5日、モスクワの宇宙関連企業・ラボーチキン社にて、ロシアの火星探査機「フォボス・ソイル」の製作会議が行われた。会議では各部門の担当長が集まり、作業の進行状況を報告、意見の交換や今後について話し合いが行われた。また、次の会合を来月中に持つことで合意した。

            

「フォボス・ソイル」はロシアが計画している火星探査で、衛星「フォボス」に着陸、土壌を持ち帰るという野心的なミッション。同国の宇宙開発ビジョン2006−2015における優先事項の1つであり、NPOラボーチキン社が監督・主導する。

             

ロシアが火星探査を試みるのは96年の「マルス96」以来。「マルス96」は米欧が参画する国際共同ミッションであったが、打ち上げロケット「プロトン」の不具合によって火星遷移軌道への投入に失敗している。

同国が最後に火星へ探査機を到達させたのは、1988−89年の「フォボス2号」。同探査機はフォボスの至近距離まで接近し、レーザーによる土壌調査などを予定していたが
89年3月27日、フォボスまで200km足らずを残して通信が途絶えた。「1号」は打ち上げ(88年7月)の2ヶ月後、コマンドミスで失われている。

(右はラボーチキン博物館に展示されているフォボスのモックアップ)

「フォボス・ソイル」は2009年の打ち上げが目標とされている。この計画には中国も参画を表明、今年3月26日には協定書へのサインが行われている。

中国は打ち上げロケットに同国の小型火星周回衛星を相乗りさせ、また、香港理工大学の製作する表土分析システムがフォボス・ソイル探査機に搭載される予定。詳しくはこちらへ【Roscosmos 04.10】

<追加情報 04.02. 2007>

北アリゾナ大学(NAU)の研究チームが、火星に洞窟らしきものを発見した。現在開発中の、洞窟を発見する新技術を適用することで見出されたという。

NAUのグレン・クッシェンおよびジュドソン・ウィン両氏らの研究チームは、火星周回探査機「マーズ・オデッセイ」により撮影された画像中に、フットボール競技場に匹敵する大きさの“穴”を発見した。洞窟の入り口の可能性が高いという。

「もし火星に生命が存在するのであれば、洞窟内はその格好のチャンスです」とウィン氏は語る。NAU大学院生の氏は「米地質調査所・地球−火星洞窟探査プログラム」のプロジェクトリーダーでもある。

洞窟は地表と異なり、強烈な放射線から守られた空間。生命にとって地表より好都合な環境である。

彼らはマーズ・オデッセイの可視光・赤外線撮像センサー「TEMIS」のデータを分析していたところ、不自然な7個の黒点に気づいたという。これらはリムなどクレーターの特徴を備えていなかったという。(下・その7個の穴)

           

「地球−火星洞窟探査プログラム」では、上空から撮影した赤外線画像より、未知の洞窟を探し出す技術を開発している。洞窟の中は温度がほぼ一定であり、昼夜の温度変化に対する洞窟入り口付近のリスポンスが周辺よりも迅速であることを利用し、対象環境を長時間観測することでそれを浮き彫りにすることができる。

ちょうどそれは、冷たい中に浮かぶホットスポット、また、暖かい中に浮かぶコールドスポットとして見える。

原理の有効性を確かめる第一段階では、ニューメキシコで実験を行い、確かに洞窟の存在を認めることができたという(テスト画像)。ちなみに第2段階では、火星に似た環境下でのテストを行い、同時にどの波長が最も有効かを見出していくという。

(下・このテクニックをTHEMISのデータに利用した例。Aは通常の可視光画像。Bは火星時・午後に、Cは早朝におけるTHEMISの映像。Bでは周辺よりもやや温度が低く(暗)、Cでは周辺よりも高い(明)のがわかる。)

            

穴の直径はおおよそ100〜250m、深さは130mに達するものとみられている(縦坑ですね)。それぞれはメンバーの愛する人たちの名にちなんで「Dena」、「Chloe」、「Wendy」、「Annie」、「Abbey」、「Nikki」、「Jeanne」と呼ばれている。

彼らと指導教官らは、テキサスで先月中旬に催された「第38回月・惑星科学会議」で発見報告を行った。詳しくはこちらこちらへ【NAU 03.29/Space.com 04.02】

<追加情報 04.02. 2007>

下は、火星周回探査機「マーズ・オデッセイ」が撮影した一枚。場所は32.0N、107.0E。

              

一瞬、ヒョウタンツギを連想しましたが、キャプションを見ると「melting snowman」とのこと…。それにしてもなめらかなクレーター底とリムです。自然の造形美。大きいサイズはこちらへ【NASA/JPL/ASU 04.02】

<追加情報 03.30. 2007>

左は、NASAの火星周回探査機「マーズ・オデッセイ2001」が撮影した画像。場所は70.4N・341.3E(右)。

                 

一瞬、雪だるまを連想しましたが、リリースのキャプションにも「perfect snowman」とコメントが…。それにしても完璧なクレーターですね。中はなめらかに埋まっているようで、まるで小麦粉を振ったような…。大きいサイズはこちら【NASA/JPL/MOLA 03.30】

<追加情報 03.15. 2007>

火星の南極域には、非常にぶ厚い水の氷が存在する可能性があることが明らかになった。この氷の層の全てが溶解したとすると、火星面を覆い尽くし、その深さは11mにも達するという。

これは、欧州宇宙機構(ESA)の火星周回探査機「マーズ・エクスプレス」が搭載する地下探査レーダー「MARSIS」の観測データを分析した結果、明らかになったもの。エクスプレスは南極域を、300本を超えるレーダー走査で“スライス”し、データを収集。それで浮かび上がったのは、深いところでは厚さ3.7kmに達するぶ厚い氷の存在を示唆する地下構造だった。

(下の上下2段画像で、上段はMARSISによる観測で得られた地下のエコーイメージ。一方、下段は該当地表の高度図で、白線は探査機の飛行路を示している。ちなみに高度図は、「マーズ・グローバル・サーベイヤー」で得られていたもの。スライス幅は約1250km。)

            

(エコーイメージは地下深くに及ぶ層の存在を示しており、氷と岩盤の境界面と考えられる部分が白線で映し出されている(最深部は約3.5km)。この白線は途中で消滅しているが、その理由は不明とのこと。)

「堆積層の広さは、ヨーロッパ大陸の大部分に匹敵するものです。存在する水の量はこれまでも推測されていましたが、はっきりと断言できる数値ではありませんでした。」と語るのは、NASAジェット推進研究所(JPL)のジェフリー・プロート博士。

堆積層は極冠のサイズを大きく超えて広がっているという。極冠からはみ出した部分の堆積層は砂などのダストが覆い隠していると考えられており、その少なくとも90%は凍った水であるという。詳しくはこちらへ【ESA 03.15】

<追加情報 02.25. 2007>

2014年の「67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ」(Churyumov-Gerasimenko)彗星(以下、CG彗星)接近を目指して飛行を続けている欧州宇宙機構(ESA)の探査機「ロゼッタ」。2004年3月2日、アリアン5ロケットによって打ち上げられた同探査機は、11年後の到着を目指し、火星や地球への複数回のフライバイを行う。そのうち、火星フライバイを今月25日成功させ、スペクタクルな映像を送り届けてきた。

ロゼッタは、サイズ2.8m×2.1m×2.0mの方形で、重量は打ち上げ時4.67トン(燃料込)。太陽電池を広げた幅は32mで、直径2.2mのハイゲインパラボラアンテナを備える。

地球に3回、火星に1回のフライバイを行い、2014年夏にCG彗星へ接近する。また、接近までの道中、1つ以上の小惑星に接近することが予定されている。地球への第1回目のフライバイは2005年11月に成功し、その後順調に飛行を続けてきた。

ロゼッタは重量約100kgの小型着陸機「ファイレ」を搭載しており、2014年11月に母船より切り離され、着陸が試みられることになっている。ミッション最大のハイライトであり、これが成功すれば、彗星に着陸する初の探査機となる予定(下・想像図)。太陽電池により最低65分間の駆動が保証され、9つのセンサーとドリルを搭載、地表の土壌分析を行う。

           

さて、下の画像は着陸機「ファイレ」に搭載されている撮像センサー「CIVA」により、最接近の4分後に撮影された母機の一部と火星。これまでに撮影されたことのない、まるでSFのような壮観な光景。

           

なお、母機の装置は最接近の前後数時間、電源が落とされていた。上の画像はオートモードでファイレが撮影したもので、電源も自蔵バッテリーにより供給された。これは、実際の彗星着陸の際のリハーサルにもなった。

下は最接近の前日、約24万kmの地点より撮影された天然色の火星。母機の撮像センサー「OSIRIS」によって撮影されたもので、白く漂っているのは大気中の雲である。

           

下は緑と赤のフィルターを通した画像を元に得られた一枚。大気の垂直分布が極めてよくわかる。

           

その他、詳細はこちらへ【ESA 02.25】

<追加情報 02.07. 2007>

6日、火星探査車「オポチュニティ」は着陸以来の通算走行距離が10kmに達した。この日は1080火星日を迎え、オポチュニティは約50.5mを走行、周辺の撮影を行った。

              

オポチュニティは「ビクトリア・クレーター」のリムを順調に走行し、随時科学調査を続けている。パノラマ画像など詳しくはこちらへ【NASA/JPL-Caltech 02.07】

下は、火星探査車「オポチュニティ」が撮影した画像より作成された一枚。

            

長く伸びた影に味があります。大きいサイズはこちらへ【photo: NASA】

<追加情報 01.29. 2007>

画像は、火星探査車「オポチュニティ」が撮影した火星大気に浮かぶ雲の様子。昨年10月2日(Sol 956)、32秒間隔で撮影された10フレームをつなぎ合わせられたもので、流れる雲の様子がよくわかる。方角は北東とのこと。

                     

雲は画面中央でわき出すように発生している。雲の動きに伴う空気の流れとは別に、雲の発生に関わる空気塊が定常していたものと見られている。

なお、正確な雲の高度はわからない。推定幅も大きく、低くて5km、高くて25km程度であろうと見られている。風速も、高度が低い場合は2.5m/s、高い場合は12.5m/sと考えられている。大きいサイズなどはこちらへ【NASA/JPL 01.29】

<追加情報 01.22. 2007>

NASAの火星探査車・活動3周年を記念して行われていたフォトコンテストの結果が発表されています(こちら)。トップは下の画像で、総票数の25.8%を集めました。

            

このシーンは火星の夕焼けで、「スピリット」が2005年5月19日に撮影したもの。火星の夕焼けは青いのが特徴です。さらに、このシーンにスピリットを合成したのが下で、同年11月にリリースされました。

                           夕日に佇むスピリット、何を想う…
             

なお、火星探査車の最近の行動は以下の通り…最初はスピリットで、次はオポチュニティです。

             

             

<追加情報 01.20. 2007>

下は、NASAの火星周回探査機「マーズ・オデッセイ」が撮影した風筋。

             

この近辺は、年間を通して風の吹き方が一定方向なんでしょうか。そもそも火星大気の動きがどうなっているのか興味あります…このような痕跡から、大循環の平均値などが読み取れる…?大きいサイズはこちら【photo: NASA】

下は、火星探査車「オポチュニティ」が今月14日(Sol 1058)に撮影したヴィクトリア・クレーターの縁で撮影した光景。クレーター底の砂地が、風で波立ってます。

             

はっきりと刻まれた轍。新雪ならぬ、新砂に踏み入れる気持ちよさ〜(?)

             

最近まで、オポチュニティとスピリットは、一度にせいぜい2ステップ程度の自律行動プランしか立てることができませんでしたが、先日インストールされた“Field D-Star”と呼ばれるソフトウェアでは、50m先までの地形と障害を把握し、行動プランを立てることができるようになりました。詳しくはこちらへ【NASA 01.19】

<追加情報 01.12. 2007>

下は、火星探査車「オポチュニティ」が今月4日(Sol 1049)に撮影した一枚。なめらかな砂地の上に転がる岩は、そっとそこに置かれたような感じがします。まるで庭園のように見えますね。ひょっとして隕石?この辺では先日も隕石が見つかりました。

            

この前日(Sol 1048)、オポチュニティはセーフモードにダウンし、予定されていたスケジュールがキャンセルになりました。機能はこの日に回復し、エラーのチェックとテストが行われました。大きいサイズはこちら。【photo: NASA】

<追加情報 01.09. 2007>

ワシントンのNASA本部で開かれている火星探査ミッションフォーラム「Mars Exploration Program Analysis Group」(MEPAG)の会合で、昨年11月から更新不能に陥っている火星周回探査機「マーズ・グローバル・サーベイヤー」について、更新不能に陥ったのはフライトソフトウェアのエラーによるものであるという報告がなされた。

報告によると、昨年7月に組み込まれたソフトウェアに含まれていたエラーが原因とのこと。このソフトは2つのフライトプロセッサーにシンクロしようとしたが、2つのメモリーアドレスが上書きされ間違っていたという。探査機がセーフモードに陥った際、バッテリーのラジエターが太陽の方を向いてしまい、温度が上昇、バッテリーが壊れてしまったという。詳しくはこちらへ。MEPAGのサイトはこちら。【SpaceRef 01.09】

<追加情報 01.08. 2007>

8日、NASAは選考を続けていた将来の火星探査ミッションについて、それを2つにまで絞り込んだ。両者には補助金が与えられ、プ