スペースシャトルを作ろう!

初版: 10.07.2003

私は年に何度か、スペースシャトルがどのくらいの高度を飛行し、どのように地上に帰還するかを何人かの前で話すことがある。そもそもそれがメインの話では無いのだが、雑ネタとして話すのだ。ある時は筆箱を、またある時はペットボトルをシャトルに見立てて説明する。しかし、「全然わからなかった」と言われることもしばしば(^^; まあね、ペットボトルをシャトルに見立てるのが無理なのはわかっているんだけどね…わかっちゃいるけど、先日もまたまた言われてしまって、ついにアタマにきて(笑)、「それならシャトルを作ってやろうじゃぁないかぁ!」と奮起したのだった。

シャトルを作るなら、プラモデルがよい。「確か、『タミヤ模型』から発売されていたはず…」タミヤは模型の最大手。小さい頃からタミヤシリーズをいろいろ作って、なじみが深い。タミヤはオレのことは知らないだろうけど、オレはよく知ってるってわけだ(…意味不明)

早速検索してみたが…なんと、限定生産品で、現在は手に入れることができなかった。そう言えば以前、プラモの類で一番売れないのがロケット関係だという話を聞いたことがある。確かにうなずける…だって、ホントのマニアしか買わないからねぇ(笑)。

「仕方ない、どうしようか…」

海外の通販サイトを調べてみた。さすが、英語圏で探すといろいろある。だがやはり、シャトルは少ない。手頃なヤツを見つけたのだが…価格が何と、120ドル!送料を入れると1万5千円前後!「買えるかぁー!!」思わずマジで悲鳴をあげた貧乏な私。しかし、気を取り直して更に物色…「あ、いいのみっけ☆」画面の中には、50ドルのシャトルが!「50ドルかぁ…何とかなるな」送料入れて約7千円程になるが、まあ稀少モノだし、程度も悪くなさそうだし…それにほぼ決定しかけていたのだが、ふと下の方を見ると、なにやらアヤしげな注意書きがある。

「エンジンを買うのをお忘れ無く!」

コイツは、エンジンパートが別売りだったのだ!「はぁ〜っ、ナメとんのかゴルァ!?エンジンなきゃ意味ねーだろー!」しかもだ、それが40ドルもするのだ。やってらんねー!!さすがマネーの国、アメリカ。

だが、私は最後まで諦めない…そう、「紙」で作ればよいのだ。いわゆる「ペーパークラフト」というやつで、様々な種類のものがある。紙ということでも面白い。

検索エンジンで"Paper model spacecraft"と打ち込んでみると、でるわでるわ、ロケット関連のクラフトが続々!やはり好きな人はいるようで、中には実物大のモデルを作ってしまった人も(笑)。その人は米国人のようだが、彼らは凝り出したら日本人以上に細かいところにこだわる。NASAのサイトには惑星探査機のクラフトも多く、それらも面白そう。紙とはいえ、かなり精密なモデルもあり、中には完成すると1メートルを超える旧ソ連のロケットもある…型紙だけでA4紙18ページ!そんな中から手頃なシャトルを選んで、型紙をダウンロードし、厚紙に印刷してみた。

ペーパークラフトを作る際に必要なのは、よく切れるカッター、木工ボンド(あの白いヤツ)、それに"忍耐力"だ。台紙から切り離すときには、カッターを用いて丁寧に切る。ハサミは紙が反るのでNGだ。綺麗な完成を期待したければ、刃を替えたばかりのヤツがよい。紙が少しでも引っかかるようになったら、刃を折って新しいものへ。

貼り付ける接着剤は、木工ボンドがgood!意外と知られていないのだが、木工ボンドが一番得意なのは、紙どうしの接着である。空気が乾燥していれば、ものの数分でがっちり張り付いてしまうからスゴイ。注意したいのは、瞬間接着剤はダメであること。紙の接着には力を発揮しないのも、意外と知られていない。

それから、たぶん一番重要なのは、忍耐力。実はこの機体を完成させるまで、1日1時間半の作業で4日もかかっている。このクラフトには手順等の解説書はなく、簡単な組み立て図だけがついており、これを見ながら各部を合わせていくのだが、順番を考え、先を予想しながら作業しないと、あとで接着できない所が出てくるのだ。実は機首の部分に1日、エンジンを含む後部に2日もかけてしまった。

こうしてシャトル「コロンビア」が完成した。このクラフトは、墜落した同機のメモリアルサイトからダウンロードしたもの。http://www.delta7studios.com/columbia.htm

本格的なペーパークラフトは初めてだったが、まあマシなものができたのではないかと思う。調子に乗った私はついでに、ロシアの宇宙船「ソユーズ」も作ってみることにした。写真の右側の小さいこけしのようなものがそれだが…実はこれにも4日かかったのだ。

というのも、かなり精巧に出来ており、A4紙で8ページの解説もついた本格的なモノなのだが、それが何とイタリア語で書かれているのだ!全くわからないイタリア語だから、少ない図面と文章中の部品番号を辿りながら、カンも駆使して、ついでに実際のソユーズの写真も見ながら作ったのだ。でもまあ、かえって面白かった(笑)。

今度は例の、1メートルになるロケットでも作ろうかなと考えているが…どこに置こう?