メモ:火星探査車「キュリオシティ」(MSL)

初版: 08.05. 2012 追加: 10.12.2012


米航空宇宙局(NASA)は11日、火星探査車キュリオシティー(Curiosity)が火星で初めて採取した岩石を分析した結果、地球の火成岩と類似していることが分かったと発表した。

ミッションの共同調査担当者で米カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)のエドワード・ストルパー(Edward Stolper)氏によると、NASA技術者の名前から「ジェイク・マティアビッチ(Jake Matijevic、通称ジェイク)」と名付けられたこの石の化学成分は、地球の火山帯でみられる火成岩と非常によく似ていた。火星の岩石としては珍しく、造岩鉱物の長石を多く含む一方、マグネシウムや鉄分の含有度は低いという。

NASAの声明によると「ジェイク」と似た化学成分を持つ地球上の岩石の多くは、水分を多く含むマグマが上昇して地殻下のマントルで結晶化したもの。ストルパー氏は「たった1つの火星の石だけでは、地球の火成岩と同じ経過で形成されたものだと判断するのは難しい」と指摘した上で、起源を考察するきっかけにはなると述べた。【AFP時事 10.12】


8日、火星探査車「キュリオシティ」のロボットアーム先端に取り付けられたカメラ「MAHLI」のレンズカバーが開かれました。その後何枚か撮影が行われましたが、画像はその中の一枚。車輪を撮影していますが、とてもクリアな映像ですね(驚)。(大きいサイズ

 

【photo: NASA】


火星探査車「キュリオシティ」、順調にウォーミングアップを続けています。着陸から29火星日(9月4日)までに109メートルを走行し、各種分析機器の立ち上げも行われています。下は火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」(MRO)が撮影した着陸地点(大きいサイズ)。目指すは右の赤く示された“Glenelg”と命名された場所。

 

下はロボットアームの先端についている分析カメラ(MAHLI)と研磨機器。カメラには透明ダストカバーがつけられており、着陸時に舞い上がった地表の砂ホコリでピンク色に色づいています。カメラ使用時はこれがパカッと開いて使われるわけですね。それにしても鮮やかな映像です。(大きいサイズ

 

そのMAHLIカメラのキャリブレーションターゲットがこちら(下)。ロボットアームの“肩”の部分に取り付けられています。1ペニーコインが貼り付けられており、資料の大きさ比較に使われます。(大きいサイズ



下は24火星日(8月30日)に撮影された一枚(大きいサイズ)。ジョイスティックのようなものは日時計/カラーキャリブレーションパターンで、その直上に見える酒ボトルのようなものは交信アンテナ。右側にはRTG原子力電池が見えます。

荒野についたできたての轍も印象的。米メディアでは、オポチュニティやスピリット関連記事で、挿絵として轍の写真が掲載されていることがしばしばありました。このようなアングルが好きなのかも知れませんねぇ。西部開拓精神を彷彿とさせるのでしょうか。

 

もう一枚…MROが撮影したパラシュートとバックシェルの最新画像。(大きいサイズ
 

【photos: NASA】


米航空宇宙局(NASA)は29日、火星に着陸した無人探査車「キュリオシティ」が、最初の調査地に向けて移動を始めたと発表した。

試験走行で足慣らししたキュリオシティは、生命の痕跡を探る調査に向けて第一歩を踏み出した。目的地は3種類の異なる地層が集まっている場所で、着地点から約400メートル離れている。掘削などの調査が予定されている。

キュリオシティは28日、この目的地に向かって16メートル進んだ。搭載しているカメラは、走行で火星の砂が付いた車輪をとらえた。キュリオシティは、進んだり止まったりを繰り返す。目的地に着くのは数週間後になる見通しという。【読売 08.30】


米航空宇宙局(NASA)は27日、火星上の無人探査機「キュリオシティ」との間で、録音した音声の送受信に成功したと発表した。ボールデン長官のメッセージが無線で送られ、さらに地上へ送り返されてきたという。

地球外の惑星との間で録音音声をやり取りした例は、これが初めて。ボールデン氏はメッセージの中で「探査機の火星着陸は簡単なことではない。ほかに試みた者もいるが、米国だけが成功した」と述べ、NASA職員や関係者の功績をたたえた。

キュリオシティ計画を担当するNASA幹部のデーブ・ラベリー氏は声明で、人類で初めて月面に立ったニール・アームストロング氏が先週死去したことに触れ、「この声に感銘を受けた誰かが、今度は人類初の火星着陸を果たすことを願っている」と述べた。

NASAはこの音声と同時に、キュリオシティから送られてきた新たな画像を公開した。約1年後に到達を予定する目的地、シャープ山の山腹などが写っている。

キュリオシティは先週、火星上で初めての走行試験にも成功した。送られてきたデータはすでに、これまでの探査機を全部合わせた量を超えているという。搭載した機器のうち、風向計だけは損傷していることが判明したが、原因は永遠に謎のままかもしれない。【CNN 08.29】


NASAの火星探査車キュリオシティが、100ミリのマストカメラ(Mastcam)でとらえたシャープ山の山腹(8月23日撮影)。

 

異なる地層が積み重なったこれまでにない火星の表情を明らかにしている。NASAはグランドキャニオンと特徴的によく似ているとコメントしている。試運転を終えたキュリオシティは本格的に走行を開始、今後は約8キロ離れた目標地のシャープ山まで約1年かけて移動する予定だ。シャープ山には何億年にもわたって積み重なった堆積物の層が豊富にあり、火星における水の歴史を解き明かすカギを握っている。またNASAは27日、火星に着陸した無人探査車キュリオシティが地球からの録音メッセージを受信、再び地球に送り返すことに成功したと発表した。メッセージの主でもあるNASAのチャールズ・ボールデン長官は、「我々が今回の探査で探査で期待する成果は、火星での生命の可能性だけでなく、地球の過去・未来についても多くのことを教えてくれるだろう」と語っている。【ナショナルジオグラフィック 08.28】


火星探査車「キュリオシティ」はファースト・ドライブを実施しました。下は、着陸地点から4.5メートル前進し、120度転回し、2.5メートル走行したところで、前方ハズカム(front-HazCam)が撮影した一枚。地表にわだちがしっかりとついています(大きいサイズ)。

 

一方、先日試行されたレーザーショットによる岩石照射で取得されたスペクトルが公開されました。これはマストの先端に位置する「ChemCam」から岩石へ強いレーザー光を照射、蒸発させた際に生じる放射をスペクトロメーターで観測して成分分析を行うものです。波長240〜850ナノメートル(紫外〜可視光、赤外線)の範囲の6144ポイントで値をカウントします。

 

この試行では30回以上のパルスレーザーが照射されたとのこと。最初の照射のみで水素が検出されたといい、これは、このターゲットでは水素がごく表面付近にのみ存在していることを示唆。一方、二酸化炭素の強度も強く検出されていますが、これは大気成分が反映されているものだろうと。総合的な観点から、これまで火星で見られてきた典型的なゲンブ岩とのことです。詳しくはこちらへ【photo: NASA】

米航空宇宙局(NASA)は21日、火星に着陸した無人探査車「キュリオシティー」の上部にある風向計の一部が壊れているのが見つかったと発表した。着陸時にエンジンを地表に向けて噴射した際に石が飛んで当たった可能性があるが、NASAは「探査車のほかの機能には影響ない」と説明している。

一方、車輪の方向を変えたり、ロボットアームを曲げたりするテストも実施。22日にはごく短い距離を移動する試験走行を予定する。

火星には薄い大気があり、風向計は探査地点の天候を知るための装置の一部。探査車の上部にあるマストの途中に付いた2本の指のようなセンサーのうち、1本が壊れていた。チームは残されたセンサーで観測する方法を検討する。【共同 08.22】

火星探査車「キュリオシティ」は19日、搭載されている“ChemCam”からレーザーを照射し、小石に穴を開けることに成功した。

キュリオシティのマストの先端には“Chemistry and Camera instrument”(化学カメラ装置、略してChemCam)という装置が搭載されている。これは目標とする岩石にレーザーを照射し、その時舞い上がるダストをカメラで撮影しスペクトル分析するというもの(下)。

 

今回ターゲットとなった岩石はすでに選定されていたもので、18日の会見で“N165”と命名されていることが明らかにされていた。大きさは約3インチで、車から3メートルちょいのところにある。火星で普通に見られるタイプの岩石という。

19日、ChemCamから10秒間に30パルスのレーザーが照射された。このレーザー光は照射ポイントをイオン化し、その時出たスパークをChemCamの望遠カメラでとらえ、3つのスペクトロメーターで分析された。スペクトロメーターは赤外線から可視光、紫外線までの6144波長を拾い上げる。(下は照射前と照射後の画像。穴があいているのがわかる)

 

試験の成果は想定以上のものだったという。30の各パルス毎に励起されるスパークを捉え、スペクトルを記録することができたとのこと。この成功は運用チームのモチベーションを上げ、「今後予定されている2年間で多数のターゲットを調べることができるだろう」と関係者は言う。詳しくはこちらへ【NASA 08.19】


キュリオシティの走行目標が定まったようです!

キュリオシティの運用チームは17日のメディア会見で、最初の探索ターゲットを選定したと発表した。「ゲール・クレーターのとてもよいど真ん中に着陸したので、ターゲットは文字通り、全方位にありました。」と語るのは、運用チームのジョン・グロジンガー氏。「たくさんの候補があり、一種のジレンマがありましたが、今はドリル探査を行うべく、その地点に行くのみです。ドリル掘削は、火星探査史の新たな1ページを開くでしょう。」

彼らが選んだ場所は“Glenelg”(グレネルグ)と名付けられ、現在地から400メートルほど南東の場所(図)。ここは興味深い堆積層で、最初の掘削ターゲットにふさわしいという。

 

なお、キュリオシティはまだ走行を行っていない。走行開始に向けて目下準備中とのこと。詳しくはこちらへ【NASA 08.17】

NASAの火星探査車「キュリオシティ」を、周回軌道上の「マーズ・リコネッサンス・オービター」が撮影しました。周辺にスカイクレーンの噴射痕が残っていることが見て取れます。

 

大きいサイズはこちらへ【photo: NASA】


6日の米航空宇宙局(NASA)の無人火星探査機「キュリオシティ」着陸で管制業務に就いていた奇抜な髪形の男性職員が、「NASAのモヒカン男」として人気を集めている。オバマ大統領も13日にNASAにかけたねぎらいの電話の中で、着陸で注目を集めた「多くのスターの一人だった」と言及した。

この男性は、ボバク・フェルドウシさん(32)。着陸を実況するNASAの中継映像にたびたび登場して話題を呼び、簡易ブログ「ツイッター」で女性ファンからプロポーズまで受けた。フェルドウシさんがCNNテレビに語ったところでは、新たな任務に就くたびに髪形を変えており、今回は同僚の多数決の結果、モヒカン刈りに決まった。

オバマ大統領も人気を耳にしており、電話では「私もモヒカンにしようか考えたことがあるが、周囲に止められてね」と笑いを誘った。 【時事 08.14】


キュリオシティのマストカム(Mastcam)のテスト撮影も始まりましたね。とても綺麗な画像が!下は、マストカム(左カメラ)で撮影された日時計/カラー校正パターン。大きいサイズでみるととても綺麗。そして日時計には“TO MARS TO EXPLORE” と書いてあるのが印象的。

 

    下は、スカイクレーンの噴射痕。とてもはっきり出ていますね!
 

その他、魅力的な画像はこちらこちらへ【photo: NASA】


キュリオシティからハイレゾ画像もぞくぞくと送られてきてますね!下は、キュリオシティの“セルフポートレイト”。デッキの上に小石が散らばっていますが、スカイクレーンの噴射で巻き上げられた地上の石でしょうね。噴射の猛烈さを想像…。大きいサイズはこちらへ。

 

               荒涼とした大地だ!
 
大きいサイズ

360度パノラマのカラー高解像度画像。大きいサイズで見ると、噴射痕もくっきり。それにしても凄い画質。
 

キュリオシティ着陸シーケンスのアニメーション。とてもわかりやすいです。動画はこちらへ。
 

76年バイキング以来、歴代の米国火星着陸機のランディング精度。狙う着陸ポイントがバイキングの時は174マイル×62マイルの楕円領域だったものが、今回のキュリオシティでは12マイル×4マイルに!(大きいサイズ
 

これまた凄い…スカイクレーンが地面に激突し、舞い上がった表土を撮影!中央で地面から立ち上がっているのがそれ。後部ハザードカメラで撮影されたもの。(大きいサイズ
 

【photo: NASA】


画像は、キュリオシティのすぐそばの拡大画像で、スカイクレーンのスラスター噴射が地表を吹き飛ばした部分。着陸地点の表面は比較的表土が浅く、その下には粒の小さい岩石が敷き詰めており、恐らくその下は堅い岩盤だろうと読み取れる。大きいサイズはこちらへ。

 

下は、キュリオシティの撮影画像をつなげて作られた360度パノラマ。ナビゲーションカメラで撮影されたモザイクのサムネイルをつなげて作成されたものであり、低解像度であるため一部ぼやけている(高解像度は後ほどダウンロードされる)。大きいサイズはこちらへ。

 

下は、ナビゲーションカメラが最初に撮影した画像(大きいサイズ)。車体上部につけられているマストが立てられ、その影が地上に映っている(マストが立った様子は、上のパノラマにもそのわかりやすい影が出ている)。ナビゲーションカメラはマストの先端につけられており、太陽の位置を確認するのが主目的で、これに基づき車体の向きなどが把握される。

 

下は、ナビゲーションカメラが撮影した“自画像”。解像度が落とされているので全体としてぼやけている(大きいサイズ)。高解像度が楽しみ。

 

下は、火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」が撮影した、6つのインパクト痕。これはキュリオシティ突入機に搭載されていたタングステン製のバラストが落下した場所で、約1キロの長さに渡って直線上に並んでいる。このバラストは大気圏突入後に投棄されたもの。(大きいサイズ

 

【photo: NASA】


下の画像全体は、MROのデータに基づいてキュリオシティの着陸地点周辺を再現したCGに、キュリオシティのロボットアームの先端に付いているカメラ「MAHLI」から見たカラー画像を合成したもの。ロボットアームそのものはまだ固定されており、MAHLIには透明の保護カバーがつけられた状態である。

 

ロボットアームが稼働状態になり、MAHLIが高く持ち上げられると、ちょうど米国で販売されている乗用車に乗ったドライバーと同じ視点の高さになるという。

大きいサイズはこちらへ【NASA 08.07】


マーズ・リコネッサンス・オービター(MRO)が早速、キュリオシティ着陸地点の周辺を撮影、耐熱シールドなどが見つかりました。

 

キュリオシティを中心に散らばっていますね。パラシュートはその姿が白く、バックシェルと共に。スカイクレーンはバラバラに砕け散ったようで…。キュリオシティからの距離は、耐熱シールドが約1500メートル、パラシュートは615メートル、スカイクレーンは650メートルとのこと。大きいサイズはこちらへ【NASA 08.07】


日本時間7日未明、ジェット推進研究所(JPL)は会見を行い、キュリオシティ関連の画像をまとめて出してきました。

下は着陸直後にリリースされた画像の、より鮮明なもの。車体の左後ろ下に取り付けられたハズカムで撮影。もともと魚眼な広角レンズ撮影ですが、それを通常の視野になるよう加工したもの。向こうに見えているのは着陸地点である「ゲール・クレーター」の縁。
 

下は、車体の左前の下にあるハズカムが撮影した光景。目の前はクレーターの中にそびえる「シャープ山」(Mt. Sharp)。高さは3.6マイルとのことですから…ざっと5400メートル。富士山より高い!そして長く伸びた車体の影が印象的ですね。
 

スカイクレーンの噴射が巻き上げた砂塵のため視界がほこりっぽいですが、これは透明レンズキャップで、このあと外されるとのこと。

お次は、降下中に撮影された映像。底部耐熱シールドが外れた瞬間で、もちろんこのような光景が取得されたのは過去の着陸機史上初。素晴らし過ぎて声も出ません。
 

これはキュリオシティの底部につけられているMARDI(Mars Descent Imager instrument)と呼ばれる着陸カメラが撮影した一枚。MARDIは降下中、ざっと1500枚の連続撮影を実施し、それをつなげることで動画を作ることができるとのこと。すでに一部が出来ており、ウェブ上に出ています(こちら)。なお、画質は速報のため8分の1に落とした状態で送信されたもので、高画質バージョンはメモリに記録されたままとのこと。今後地球とのハイレート交信が確立した後、ぼちぼちダウンロードするそうです。それも楽しみですね!

ちなみにMARDIは、それで取得された画像はオンボードで即座に解析され、地上の状況把握が行われ、安全な着陸を実現するためのもの。2008年の火星着陸機「フェニックス」でも搭載されましたが、その時はトラブルで1枚しか撮影できなかったものでした(この時は充分降下したタイミングで1枚だけ撮影し、それが地上把握に使われました)。

そして劇的なのが、下の画像。火星周回探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」(MRO)が撮影したもので、降下中のキュリオシティ。パラシュートも耐熱殻も巨大なためか、くっきりと映し出されています。頂部のベントもくっきり。目を凝らせばワイヤーも見えるのでは?(笑)
 

今後MROによって地上に降りたキュリオシティ本体の撮影、およびどこかへ落下しているはずのパラシュート、耐熱シールド、スカイクレーンの捜索が行われるとのこと。

なお、今後1両日中にハイレート通信を確立し、“首”とも言えるマストを立てて高画質ステレオカメラなどの起動を行っていくとのことです。詳しくはこちらこちらへ【NASA/Spaceflight Now 08.06】


火星探査車「キュリオシティ」は日本時間午後2時32分、火星地表へ着陸した。すべては予定通りに進み、パーフェクトな着陸!しかも車体下部のカメラが撮影した画像が即座に到着した!おめでとうございます:-)

 


いよいよ明日6日午後2時31分、NASAの火星探査車「キュリオシティ」が火星へ着陸します。NASATVは2時間前から、ジェット推進研究所(JPL)管制部よりライブ中継を実施します。
http://www.nasa.gov/multimedia/nasatv/index.html

昨年11月26日に打ちあげられたキュリオシティの重量は900キロ。もはや軽自動車1台を火星へ送り込むようなものですが、これに伴い全てが巨大に。その耐熱殻やパラシュートも探査機史上最大のものとなっています。もちろん制御プログラム、それに火工品の数なども桁違いのものに。それらすべてに、完璧な作動が求められます。

 

        耐熱シールドを取り付ける直前。とにかくデカイ。
 

風洞実験中の減速パラシュート。長さ50メートルのワイヤーが80本、展開直径はざっと16メートル。素材は大部分がナイロンで、頂部ベントの周辺は強化ポリエステル。風洞はNASAエームズ研究所にある施設で、747ジャンボが丸ごと入る広さで、これまた世界最大。
 

確か、最初の実験ではシュートが破けたんですよね。明日はうまく行きますように…。

個人的には、スカイクレーンというこれまた野心的なシステムにとても興味あります。操り人形のような格好で車を宙づりにし、減速エンジンを吹かしながらそれを地上へ置くという仕組み(下)。何年も前、構想が発表された当時、素人目で見ても「これ大丈夫かいな(汗)」と思ったものでしたが、ついに本番。

 

大気圏突入から着陸までの流れ。一連の所要時間は7分。この時間は「魔の7分」などと言われたり。(大きいサイズ
 

また、この降下時の様子を、軌道を周回している「マーズ・リコネッサンス・オービター」で撮影してみようという試みもあります。同様の挑戦は2008年に北極域へ着陸した「フェニックス」の時に実施され、見事成功しました(下)。(詳細はこちら
 

なお、この着陸フェーズにおけるテレメトリー取得をを周回探査機「マーズ・エクスプレス」や「マーズ・オデッセイ」が支援するとのこと。

見所はたくさんですが、まずは、無事の着陸を願いましょう!【photo: NASA 08.05.2012】