第2の地球、遙か

初版: 08.31.2000

午前2時頃。寝る前の気分転換をと表へでると、いきなり頭上の満天の星空に圧倒された。当地は市街地から外れた所であるが、近年、開発が進み空気はかすみ、同時に「光害」もひどくなりつつあった。しかし、この夜は非常に澄んでおり、また光の害も普段より少なく、月もなく、無数の星の川である天の川に手が届きそうで、流れ星も流れる豪華な演出。住宅地でこのような美しい星空にお目にかかるのは久しぶりであった。東の空に目をやると、低空の、かすかなもやの中に「すばる」が。後にはオリオン座が昇ってくるはずだ。夏の代表星座であるさそり座は既に沈み、秋冬の星座が見える季節になってきた。秋は、すぐそこまで来ている…。

この無数の星の中に、地球と同じような惑星が他にあるのだろうか。いや、むしろ太陽系のような「惑星系」の存在を想像する方がスリルがあるかもしれない。太陽のように自ら燃える星を「恒星」という。我々が夜目にする無数の星々はこのような恒星と太陽系内の惑星のみである。

近頃(2000年)催された国際天文連合総会において、スイスの天体物理学者達が、「別の惑星系」に存在する惑星を10個発見したと発表した。これまでにも惑星を持つ恒星はいくつか推定されており、彼らの発表を含めると、惑星の数は50にも達する。しかし、それらのディテールがより明らかにわかるようになってきたのは、観測技術が発達してきたごく最近である。地球から141光年、帆座HD83443星。ここには土星サイズの惑星が2個公転している。203光年、HD190228星。ここにも惑星系が発見された。他にもより多くの恒星に惑星系の存在を示す兆候があるという。なお、これまでに見つかった50個の惑星は(あまりに小さく暗いため)写真で撮ることすらできず、恒星の微妙な動きを解析した結果わかったものである。

衝撃的なのは、地球から僅か10光年しか離れていないエリダヌス座イプシロン星にも惑星系が存在するという発表。この恒星は肉眼でも見え、太陽とほぼ同じ特徴をもつ。木星より大きな惑星を持つと推定され、地球のようなサイズと安定した軌道を持つ惑星の存在可能性も指摘されている。また、地球から僅か10光年しか離れていないため写真撮影できる可能性もあり、1、2世紀後には訪問することも可能では、と言う研究者もいる。夢が膨らむ。