山口県下関市の福仙寺(ふくせんじ)で、江戸時代末期に現れた3つの彗星(すいせい)を克明に描いたスケッチが見つかった。当時の彗星を記録した絵は大変珍しく、天文愛好家の間で話題になっている。
縦30センチ、横40センチほどの紙に1つずつ、計3枚に朱色で描写。余白には出現時期や彗星の動きに関する記述のほか「世の人々はこの星が現れる時は兵乱があると言っている」という意味の一文もあり、彗星の出現が災いの予兆とされた当時の様子がうかがえる。
明治時代に廃寺になった神宮寺から譲り受けたもので、神宮寺の住職が描いたものと思われる。国立天文台によると、出現時期などから3つは、1858年のドナチ彗星、61年のテバット彗星、62年のスイフト・タットル彗星。スイフト・タットル彗星は1992年、130年ぶりに回帰し話題を呼んだ。【共同】