ねつ造疑惑に、ついにキレた!?

初版: 09.18.2002 追加: 10.01. 2009

「史上2番目に月面に降りた宇宙飛行士に傷害容疑」いま、米国のサイエンス界を賑わせている話題が、これだ。最初に月面に立ったニール・アームストロング飛行士に続いて月面に降りた、エドウィン・オルドリン飛行士。彼が先頃、ビバリーヒルズのホテルを出たところで、男性のあごにパンチを1発入れたというのだ。

殴られたのは映像作家、バート・シブレル氏だが、彼は、「月着陸はでっち上げだ」と“アポロ計画ねつ造説”を力説する1人。オルドリン氏が主張するにはこの日、ホテルから出たところを「月面に降り立ったのは事実だと、神に誓ってみろ(…、誓えまい!(反語の意))」と壁際に迫ったというのだ。勿論、オルドリン氏は正当防衛を主張している。一方のシブレル氏は、争う構え。

ところで、シブレル氏が独自の理論を展開したのは既に2年程前の事だが、我が国でも今年春、民放局の番組で紹介され、一躍知られるところとなった。

例えば、こうだ。右の写真は、「ねつ造疑惑」の中でも、最も有名なもの。写真には飛行士や岩石の「影」が写っているが、手前の岩石の影と、飛行士&月面車の影の向きが異なっている。また、手前の土地はゴツゴツしてるが、向こう側はなだらかになっている。その境目が、まるで切り取って貼り付けたような感じがして、不自然だという。

当時、NASAはすぐさま反論した。光線の具合に関する「疑惑」は多いが、それらは全て科学的に説明できるという。そもそも、ウソだとしても隠し通すのは不可能だ。

だが、充分な説明が未だなされないままの画像もある(公式コメントがあったのかもしれないが、私は知らない)。それらについてひょっとしたら、プレスリリースに際して、多少の編集はあったのでは、と思う。画像データの記録ミスもけっこう判明しているし、そういう意味では、米国人は“テキトウ”だからねぇ(笑)。

<追加情報 10.01. 2009>

NASAは今年7月、月周回探査機「ルナ・リコネッサンス・オービター」(LRO)が撮影したアポロ11号着陸地点の画像を公開したが、その第2弾がリリースされた。

下は、LROが最初に11号を撮影してから1ヵ月後に再び上空を通過した際に撮影されたもの。この時太陽光は28度の角度で現場に差し込み、影がつくことで最初の時よりより細部が際だっている。

            

11号下降段周辺を拡大したのが↓

            

驚くべきは、クルーが立てたTVカメラの脚影が出ていること。それにもちろん、クルーの足跡や地震計(PSE)、レーザー反射板(LRRR)、科学観測機器もしっかり写っている。大きいサイズはこちらへ【NASA 10.01】

ちなみに下は、NASAの画像庫からひっぱってきた、月面での写真。飛行士は、ニール・アームストロング。

            

キャプションによると、彼の右にあるのが地震計で、その奥にレーザー反射板。星条旗の左後方にたっているのがTVカメラ。LROでカメラが判断できるということは、条件がよければ星条旗も見えるのかも?

<追加情報 09.03. 2009>

下は、月周回探査機「ルナ・リコネッサンス・オービター」(LRO)が撮影した、アポロ12号着陸地店周辺。LROは既にアポロ11号以下、12号を除く着陸地点の撮影に成功している。

            

11号の4ヵ月後に打ち上げられたアポロ12号のLMは、「既知の海」と呼ばれる、「嵐の大洋」の一角に着陸。LMに乗り込んだピート・コンラッドとアラン・ビーンの両飛行士は月面に31時間半滞在し、月震計など(ALSEP)の設置などを行った。

彼らの活動のハイライトは、サーベイヤー3号との再会だった。サーベイヤー3号はアポロに2年先立つ1967年4月20日、月面に軟着陸、写真撮影などを行っていた。彼らは3号から200メートルほどの距離に降りることに成功。幾つかの機器を取り外し、地球へと持ち帰った(下)。

            

サーベイヤー3号が小さい窪地の中に着陸したことはわかっていたが、上のLROの画像ではそれがよりはっきりわかる。また、飛行士達の足跡も薄く残っているのがわかる。詳しくはこちらへ【NASA 09.03】

…ちなみにアポロ12号を打ち上げたサターンXロケットの第3段は太陽周回軌道を廻っていましたが、2002年に地球へ接近、地球周回を始めました。同年9月にアマチュアによって発見された当初、暫定ナンバーも与えられました。これが自然の岩だったら地球の2番目の月ということになると、すわ大騒ぎになりましたが、プロアマ入り乱れた精力的な観測と分析で、サターンの3段目と判明。しかも翌年には再び太陽周回軌道へと去っていきました。当サイトの関連記事はこちら

あと、ルノホートやサンプルリターンルナなども写してもらえないですかねぇ…見てみたいw

<追加情報 07.17. 2009>

ついに、下降段が撮影されました!

NASAは、月周回探査機「ルナ・リコネッサンス・オービター」(LRO)が撮影した、アポロ11号などの着陸地点の映像を公開した。

                    

画像は、LRO搭載のオービター・カメラ(LROC)で取得された。上はアポロ11号LMの、月面に残された下降段。下はアポロ14号の着陸地点で、飛行士の足跡や設置した科学機器がはっきり写っている。

            

LROの軌道は目下やや楕円なので、サイト毎の解像度は少々異なっている。太陽光の当たり方も、14号の場合が理想的であり、細部もよく写っているという。

今回は、12号以外のそれらが公開された。その他の画像など詳しくはこちらへ【NASA 07.17】

<追加情報 08.15. 2006>

捏造、とは関係はないのですが…管理の甘さ?関連ということで。。

NASAでは現在、1969年のアポロ11号に関するマスターテープの所在がわからなくなっており、その特定が続けられている。マスターテープ、すなわち映像やデータ信号を記録した“原本”はゴダード宇宙センターに存在するものとされており、関係者はまだ、紛失してしまったものとは考えていないという。

マスターテープは1969年末、ゴダードより国立公文書館(ナショナル・アーカイブス)に移された。このような移管は政府公文書にはごく当たり前のことである。アポロ関連では記録テープの総量は2614箱に達し、アポロ11号に関するものはその中に含まれていると見られている。

(右は何台も並ぶ記録デッキ。1本のリールで15分のデータが記録可能で、1台が終了すると自動的に次のデッキが起動するようになっていた。)

ところが、1975年〜79年にかけて、ゴダード宇宙センターは2つの箱を除いて返還を要求。この2つの箱はアポロ9号のテレメトリーなどといい、結局、アポロに関係した資料は殆どゴダードに戻っていると考えられてきた。

(右は箱につけられたラベル。各箱にはこのようなラベルが付けられ、梱包物に関するメモが書き込まれている。テープリールは1箱に5本づつ詰められている)

なお、アポロ11号マスターテープの一次コピーは、12号〜17号のものも含め、ジョンソン宇宙センター内に保管されている。詳しくはこちらへ【NASA 08.15】