(☆メッセンジャーの最新情報はこちらです)
2004年8月3日、フロリダ州・ケープカナベラル空軍基地より、水星探査機「メッセンジャー」がボーイング・デルタ2ロケットで打ち上げられた。太陽系第1惑星・水星に向けて探査機が打ち上げられるのは、1973年にNASAが打ち上げたマリナー10号以来、30年ぶりである。今、なぜ水星なのか?なぜ水星に探査機を送る必要があるのか?そして、メッセンジャーとは何者なのか、その旅はどんなものなのか?簡単にまとめてみよう。
水星は太陽に一番近い軌道を公転する、岩石質の惑星だ(写真)。直径は地球の約4割程で、衛星(月)は持たない。この惑星の存在は、実に5000年以上も前、初期文明の頃から知られていた。例えば、紀元前3000年頃、メソポタミア文明を築いたシュメール人達は、水星を「神々の間を結ぶ使者」だと考えていた。シュメール人の王・ギルガメッシュを主人公とした神話にも登場している。また、古代ローマ人はこの惑星を商売・旅・盗賊の神と見なし(商売と盗賊、両方の神というのが面白い)、ギリシャ人は神々の間を結ぶ使者・ヘルメスと呼んでいた。水星がこのように呼ばれてきたのは、太陽のそばをちょこまかと、早いスピードで動き回っているからと考えられている。
このように水星は、太古の昔から知られていたものの、その素性は殆ど謎のまま。というのも、太陽に近い、地球よりも内側の軌道を回っているため、日没直後か日の出前の僅かな間、しかも、地平線よりちょっと高いところにしか見ることができないからだ。水星と同じく、地球の内側を回る金星が、ギラギラと、比較的長時間見ることができるのとは対照的である。このため、天文の分野に携わる人でも、水星を肉眼で見たことのある人は少ない。因みに古代人は、明け方と夕方に見えるこの惑星を、それぞれ別物だと思っていた…同一のものだと気づいたのは、紀元前350年頃だといわれる。
太陽系の惑星でも殆ど関心をもたれない、目立たない、火星などと違って“一般ウケ”しない水星だが、実は興味深い特徴が多い。かつて、この軌道が、ニュートン力学では説明がつかない変動をしていることに研究者達は悩まされていた。19世紀から20世紀にかけて「未発見の、別の惑星の影響ではないか?」などと言われていたが、その変動が、20世紀初頭にアインシュタインが唱えた相対性理論で説明された。太陽にあまりに近いため、その重力場のゆがみが無視できず、相対性理論を用いないと正確に計算できない程なのだ。
一方、水星は常に同じ面を太陽に向けていると考えられていたが、1965年、地球からの強力なレーダー照射によりこれが間違っていたことが判明。自転周期が公転1回に対して1回半、つまり、2回公転する間に3回自転という特徴を持つことが明らかになった。
さらに、1974年に接近したマリナー10号(写真)の接近によって、水星には磁場があり、大気は極めて希薄で、殆ど無いに等しいということがわかった。同時にマリナー10号は、水星地表の4165枚の画像を撮影し、地表の温度に昼・400℃、夜・マイナス165℃という極端な温度差があることも発見した。
ちなみに、水星の自転軸はほぼ垂直である故、同惑星の両極に殆ど太陽光があたらない領域がある。近年の観測では、両極のクレーター内に“氷”のようなものが存在することを臭わせる結果が得られており、これが好奇心をくすぐる…極端に言えば、溶鉱炉と冷蔵庫が同居する惑星だ。
謎は、さらに続く…この惑星、サイズは小さいのだが、その割にやたらと重いのだ。言い換えると、密度が大きい。鉄の含有量が後述の3惑星の2倍を超え、内部の70パーセントが鉄とニッケルの塊と考えられている。これがいわゆる「核」となるのだが、とすると、岩石質の部分はかなり少ないことになり、この特徴は他の3つの岩石惑星、すなわち金星・地球・火星の特徴と大きく異なる。なぜこのような形状になってしまったのか…始めからこの割合だったのか、或いは、別の巨大な天体が衝突し、岩石部分がはぎ取られてしまった結果なのか?
この他にも不明な点があるが、メッセンジャーはこれらの疑問を解明すべく、飛び立ったのだ。
◇
さて、そのメッセンジャー(Messenger)であるが、この名は“MErcury surface, Space
ENvironment, GEochemistry, and
Ranging”の頭を並べてつけられたもの。勿論、古代人の“使者”(=メッセンジャー)を意識したものであるが、なんとなく強引さも感じる(笑)。訳せば「水星表面、宇宙環境、地質化学および測量」…簡単な話、なんでもてんこ盛り。まあ、30年ぶりのチャンスだから、いろいろ調べようというのはむしろ当然か。
探査機の外観は、極めてシンプルな形をしている。上の、マリナー10号ではパラボラアンテナが目立つが、それがない。2枚の太陽電池と、後方へ伸びたアーム(磁力計)の配置も、スッキリまとまっている。ただ、目立つのは、機動隊が持っているような“盾”だ。これはセラミック繊維で作られた薄手の“日傘”であり、強烈な太陽光線から装置を守る。水星軌道では、太陽光を受ける面は数百℃を越えるが、この日傘の裏は、20〜30℃の快適温度に保たれるというからスゴイ
(この繊維で日傘を作ったら売れるかも?「NASAの素材で作った日傘!」とかTVショッピングで(笑))。
太陽電池は、ゆっくりと回転し、両面にまんべんなく熱を受けるようになっている。片面だけの異常加熱を防ぐためで、ちょうど、ブタをゆっくりまわしながら丸焼きするイメージに近い(笑)。
ハイテク装置も充実している。太陽電池からの電力はバッテリーに蓄えられ、2つのプロセッサ(25MHzメインと10MHz予備)を駆動し、1日に15メガバイトのデータを地球へ送信する。通信装置も高性能で、もはや、マリナーのような1メートルを越えるパラボラは必要ない。アンテナは、日傘の右上の小さな長方形がそうだ(裏側にあと1つある)。また、2タイプの高性能カメラが搭載され、これが水星面を高解像度で激写。他にもガンマ線・X線測定装置や中性子分析計、磁力計、レーザー高度測量装置…等々積まれているが、小型化が進み、どれもニートに装着されていて気持ちよい。これが現在、黙々と飛行を続けている。
ところで。水星に到着するまで何と、6年半もかかる!というのも、水星の周囲を周回する軌道に乗るためには、複雑な道を歩まねばならないからだ。ちなみに唯一、水星に接近したマリナー10号は、“接近”しただけである。1年の間に3回近づき、その時に地表を撮影し、温度や磁力を調べただけなのだ。したがって、水星全体のまだ半分以上の領域が写真に撮られていない。メッセンジャーの役割には、それらを補完することもある。
図は、打ち上げから水星到着までの全行程を描いたもの。地球を旅立ち、まずほぼ地球と同じ軌道を走り、1年後の2005年8月に地球に再び接近、その重力で軌道を内側に曲げ、その後2度金星へ接近(06年10月と07年6月)、さらに水星と接近を3度交わしながら(08年1月、8月、09年9月)、最終的に2011年3月、水星を周回する軌道に投入される…
ややこしすぎて、実はこれを書いている私もまだ、つい先日、やっと辿った…途中で訳わかんなくなる(苦笑)。(下・水星を周回するメッセンジャー想像図)
◇
実は、水星に近づくだけなら、地球から内側へ向けて探査機を打ち込めば、たった半月で達成できる。放り投げられた衛星は太陽の引力の助けも借りて、ぐんぐん加速し、水星へ到達する。しかし、周回、つまり水星の周りを回るには、水星の引力に捕らえられねばならず、そのためには力強い急ブレーキが必要となる。だが、それを可能にする強力な逆推進エンジンを、地球人はまだ持っていない。
それ故、図のような複雑な軌道を辿りながら、徐々に水星に近づき、最終的な投入軌道を確定する。地球や金星、それに水星自身に何度も接近を繰り返すのは、それらの重力を借りて、探査機自身の速度や軌道をコントロールするためである(この航法をスイングバイという)。全行程は79億キロに達するが、これは地球〜冥王星間の距離より更に20億キロも長い。ただ、2度接近する金星の調査なども勿論、行われる。長旅の途中も決して無駄にはされないのだ。
最初の水星探査から、30年も経過してしまったのには、大きく3つの理由がある。まず、水星へ接近するのに適切な軌道が見出されなかったこと。惑星への複数回のスイングバイで探査機を制御し、水星へ投入する軌道がしっかり見出されたのは、コンピュータが発達した80年代半ば〜後半にかけてであった。
次に、探査機の熱対策。強烈な太陽光線から如何に装置を守るか…マリナー10号ではちゃちな日傘が取り付けられていたが、メッセンジャーは長年にわたる航海を行うため、より徹底した熱対策が必要であった。また、航海の初期は太陽から比較的遠方の軌道を辿るが、ここでは逆に、温度が下がりすぎるため、熱シールドは必要なくなる。この複雑な熱環境に耐える構造の開発に時間がかかったという。
最後に、NASAの過密スケジュールがある。いくつものミッションが目白押しで、その隙間にねじ込むのは難しかった。しかも、86年のチャレンジャー号爆発事故が全体の流れを大きく狂わせ、既存の計画までずれ込んでしまったのは周知の通りである。
秘密のベールに包まれた水星の実態を明かすべく、建造された探査機・メッセンジャーは2004年7月20日、組み立て工場から搬出され、デルタ2ロケットの先端に装着、8月4日に打ち上げられ、79億キロという気の遠くなる旅へと出発した。搬出するエンジニア達の心が様々と想い巡らされる。科学者と技術者達の、長年の夢を叶えるべく、ロング・ジャーニーを始めたメッセンジャー。水星からどのようなメッセージを送り返してくるのか…6年半後が楽しみに待たれる。
(写真・組み立て工場から搬出されるメッセンジャー。この後飛行機でフロリダの空軍基地に運ばれ、ロケットにセット、打ち上げられた)
【photo: Messenger web site】
【以下、追加情報です。下に行くほど古くなります】
<追加情報 05.01. 2015>
☆ジョンズ・ホプキンズ応用物理研究所は日本時間1日早朝、米東部夏時30日午後3時34分(日本時1日午前4時34分)、水星周回探査機「メッセンジャー」が水星地表面へ激突したと発表した。インパクト地点は地球から見て裏側の領域で、時刻は想定されていたものであるという。
地上管制部は午後3時40分過ぎ、もしメッセンジャーが周回を続けていればカリフォルニアのゴールドストーン局でキャッチできていたはずのシグナルを受信できなかったことから、同探査機が地表面へ激突したことを確認した。
メッセンジャーは2004年8月3日に打ち上げられ、11年3月18日に水星周回軌道へ投入、12年3月18日に当初予定されていた観測ミッションを終了した。ただ気体の状態が良かったこと、それまでに取得された観測データから新たな観測の必要性が出たことなどよりミッションが延長され、今日に到っていた。
画像は激突の直前、メッセンジャーが最後に送信してきたものである(詳細はこちら)。
なお、今後のミッションとして、例えば欧州宇宙機構(ESA)とJAXAの共同ミッション「ベッピ・コロンボ」が予定されているが、ひょっとするとメッセンジャーのインパクト痕を撮影できる、かもしれない。インパクト痕は地表をえぐってフレッシュな内部物質を露呈している場所であるから、メッセンジャーで取得された全球データとの比較により、その場所は特定されることになるだろう。詳しくはこちらで。【Messenger 04.30.2015】
…当サイトでは2004年の打ち上げ前より同探査機を追ってきましたが、ここにミッションが終了しましたが、あっという間な感じがします。近年はなかなか時間が取れずにここでの紹介ができなかったのが残念です。当サイト内のこれまでのまとめはこちらに。
<追加情報 01.21. 2015>
☆NASAの水星周回探査機「メッセンジャー」が今月21日(1/21)、軌道修正を実施し、迫り来る地表落下までの残り時間を稼ぐことに成功した。
メッセンジャーは2011年3月の周回軌道投入以降、トラブルもなく探査活動を継続している。ただメカニズムやコンピュータがどれだけ健康でも、探査機には寿命が来る…それを決めるのが、姿勢制御燃料の量である。メッセンジャーも例外ではなく、一昨年にはその枯渇が現実のものになってきた。そこで運用チームは、メッセンジャーを地表すれすれまで近づけて観測を実施するというプランを練り、これをファイナルとすることを決定したのであった。
この計画に伴い高度を下げ続け、昨年6月17日に近水点高度を120kmまで降下、ここで一旦上昇させたが、急激な舵取りのため降下は避けられず(勿論想定通り)、徐々に低下。昨年7月25日には高度100kmを切った。6月のマニューバは計4回の制御の第1回目であり、第2回目の9月12日の時点では高度は25kmまで落ちていたが、この2回目の制御で94kmまで上昇、3回目が10月24日に実施され117km、今年1月21日、4回目が実施され、105kmまで上昇された。ちなみに1月21日時点で高度25.7kmまで落ちていた…すなわち、上げては下がり、上げては下がりを繰り返しつつ今日に到る。
なお、3月にもう一度軌道上昇が実施される予定で、それを最後に落下まで観測が続けられるが、早春のうちに落下してしまうだろうとみられている。
詳しくはこちらへ。【Messenger 01.21.2015】
<追加情報 03.18. 2011>
☆水星周回探査機「メッセンジャー」は、18日午前、予定通り水星周回軌道へ入った。水星を周回する探査機は、史上初めてのものである。
メッセンジャーは2004年8月3日、ケープ・カナベラル空軍基地17番射点よりデルタUロケット(7925H-9.5)で打ち上げられた。今日の日までに行われたフライバイは地球へ1回(05年8月)、金星2回(06年10月&07年6月)、水星3回(08年1月、同10月、09年9月)の計6回(下に詳細図。これではわかりにくいので詳細がこちらにあります)。
太陽系内惑星空間を公転すること6年半。総飛行距離は79億キロに達した。なおメッセンジャー計画は、開発期間を入れるとここまでに約12年が経過している。
メッセンジャーは日本時間18日午前8時45分、メーンエンジンを進行方向に向け、逆噴射を開始。これは15分間で、打ち上げ時搭載燃料の約3割を消費する。同午前9時にエンジン停止。その10分後、管制するジョンズホプキンズ大学応用物理研究所ではシグナルを受信、エンジン停止がきちんと行われたことが判明し、探査機の軌道投入に成功したことが確認された。
探査機は午前9時45分までに姿勢を振り、地球へのデータ送信を開始した。この分析に先立ち、逆噴射が予定通りに終わったこと、全てのサブシステムにエラーがないことなどが確認された。
逆噴射では秒速862メートルの減速が行われ、予定通りの楕円軌道(下)に投入された。この時、地球からの距離は1億5500万キロであった。
「水星周回を成功させることは、メッセンジャーが6年半前に打ち上げられてから今日までの、最大のマイルストーンでした」と語るのは、プロジェクトマネジャーのペーター・ベジニ氏。
予定観測期間は1年(これは“4水星年”に相当)で、地表や大気、磁場の観測を行い、いまだ謎多い内部構造などの解明に必要なデータを収集する。
なお、軌道上からの最初の撮影は29日16時40分(日本時)に予定。観測機器の立ち上げは24日から順次行われる。詳しくはこちらへ【Messenger 03.17】
…探査機が健在ならミッションの延長もあり得ます。頑張って欲しいですね!
<追加情報 03.15. 2011>
☆日本時間18日午前、NASAの水星周回探査機「メッセンジャー」が6年半の旅を終え、水星周回軌道へ投入される。メーンエンジン逆噴射は同午前9時45分から15分間で、全てがうまくいけば、史上初めて水星を周回する探査機となる。
エンジン逆噴射の33時間前(日本時16日午後9時31分)、NASA深宇宙ネットワーク(DSN)の2つのアンテナがメッセンジャーの連続トラッキングを開始する。この約31時間後には追跡アンテナを5つに増強するが、4つで探査機からのシグナルを拾い、1つはバックアップである。
この約2時間後、探査機は逆噴射に備えた姿勢を取る。
日本時間18日午前9時45分、メーンエンジン逆噴射、減速が始まる。噴射は15分間続けられるが、この間、打ち上げ時に搭載されていた燃料の31%が消費される。ここがうまくいけば、探査機は周回軌道に入る(下・軌道投入後の軌道。地球から見えるような軌道を描いて入ります)。
噴射終了10分後、メッセンジャーは地球へとアンテナを向け、ダウンリンクを開始する。このとき落ちてきたデータを解析することで、管制部は探査機が予定通りの軌道へ投入されたか否かを判断することになる。2時間後までには、軌道投入の成否を判断することができると見られている。
詳細なタイムラインなど、詳しくはこちらへ【Messenger HP】
<追加情報 02.18. 2011>
☆2004年8月3日、フロリダ州・ケープカナベラル空軍基地より打ち上げられた水星探査機「メッセンジャー」が、来月17日、いよいよ水星周回軌道へ投入される。
軌道投入に成功すれば、水星を史上初めて周回する探査機となる。
米東部夏時3月17日午後8時45分(日本時間18日午前9時45分)、メッセンジャーは14分間の逆噴射を行い、862m/秒の全力減速を行う。これは、打ち上げ時搭載燃料の31%を消費するマニューバであり、減速終了時点では、満載の9.5%以下にまで減っている。しかしこの量は、今後の周回観測における姿勢制御等には充分な量。
逆噴射の結果、探査機は高度200km(近水点)、周期12時間の周回軌道へと投入される予定。
「打ち上げから6年半以上の旅は、長いものでした」と語るのは、メッセンジャー計画の責任者であるジーン・ソロモン氏。「ですが今や我々は最終コーナーを回り、ゴールラインが目の前に見えているのです。管制チームは投入作業の準備を始めようとしています。」
目下、エンジニアチームは通信アンテナ系のテストを行っている。というのも軌道投入マニューバの際、探査機の姿勢が投入マニューバに最適化されるのだが、その代わりにアンテナの向きの関係で地球との通信が弱くなる。そのためこの時の運用にはカリフォルニア・ゴールドストーンのDSNアンテナを4基(70m×1基、34m×3基)使用してシグナルをブーストするのである。
「この使用の仕方は普段行わないものですので、来月の本番までに数回テストをするのです」と、関係者は語る。
ところで、先日18日、ミッションチームはメッセンジャーが撮影した太陽系の惑星パノラマを公開した(下)。
これと同様のものとしては、1990年、ボイジャー1号が撮影したものが有名である。黄道面の北側に飛び上がったボイジャー1号は太陽系の“外”から惑星を眺めたものであったが、今回公開されたメッセンジャーのパノラマは、“内”から眺めたもの。
これは昨年11月の間に撮影された画像をつないで作成されたもの。惑星のうち、天王星と海王星は遠すぎて、最も長い露光(10秒)をかけても写すことができなかった。地球・月系、そして木星のガリレオ衛星が写っているのは印象的である。(下・撮影時の惑星と探査機の位置関係)
また、パノラマがカーブを描いているのは、メッセンジャーやの軌道が黄道面に対して傾斜していることを反映している。ある惑星は“見上げて”、またある惑星は“見下ろして”撮影することになるからであり、興味深い。詳細や大きいサイズはこちらへ【Messenger 02.18】
…いよいよあと1ヵ月。楽しみですね!
<追加情報 11.04. 2009>
☆水星探査機「メッセンジャー」が9月29日の水星フライバイで取得したデータの初期分析結果が発表された。同探査機は2011年に水星周回軌道へ投入される予定であり、現在全旅程の4分の3を飛行した段階にある。
同探査機は9月29日に、到着(周回軌道投入)までに行われる3度の水星フライバイのうちの、最後のフライバイを成し遂げた。最接近の前後で探査機のシステムがシャットダウンしてしまうというトラブルに見舞われたものの、まだ人間が見ていない領域の撮影等には成功している。(ちなみにこのシャットダウンの原因はわかっており、今後同様のことが起こらないように対策が講じられている。)
現時点で、水星面の98パーセントの撮影が完了したという。残されているのは極域の僅かな部分で、これは周回軌道投入後に露わになる予定。
今回のフライバイでは水星の希薄な大気に関するデータも取得されたが、以前に取得されたデータと比べて大きな変化が見られた。これは水星の公転に伴う太陽からの距離の変化が関係しているとみられており、周回軌道投入後はこの“季節変化”がより詳しく調べられることになろうと期待されている。
(下は前回と今回のフライバイで判明した、ナトリウム原子の分布変化。前回のフライバイで観測された範囲に比べ今回は10分の1程度にまでしぼんでしまっているが、これには、公転に伴う太陽放射圧の変化が大きく効いていると考えられるという。つまり放射圧が小さくなったことで、地表からはじき出され吹き飛ばされる原子の量が減ったというわけである。)
一方、地表の元素成分に、鉄とチタンが予想以上に含まれていたという。これまでの地球からの観測等では、水星の地殻には鉄は比較的少ないものと考えられていた。「水星の表面には、我々の予想を超える、標準並の鉄とチタンが含まれていることがわかったのです。このことは、月の海の部分と似ています。」と語るのは、メッセンジャー計画科学研究員のデビッド・ローレンス氏。
詳しくはこちらへ【Messenger 11.03】
<追加情報 10.01. 2009>
☆水星探査機「メッセンジャー」により撮影された最新画像のリリースが続いています。
下は、“ダブルリング”衝突クレーター。大きな岩石体が衝突した結果できたとみられるが、内縁の内側領域が、内・外縁の間の領域より滑らかに見えることから、クレーター形成後に内部に溶岩がたまって冷えた可能性が考えられている。(大きいサイズ)
これはまるで、動物の足跡w 4本の指はお互いにオーバーラップしておらず、個別のインパクトで出来上がったものと考えられている(つまり、たまたま指を描くように弧状に並んだということのようで)。(大きいサイズ)
この、500円玉を差し込んでこじ開けてみたくなるような地形も、クレーター。ただしこれは衝突クレーターではなく、地下のマグマ活動で形成された可能性があるという。すなわち例えば、地表まで出ていたマグマが引っ込んで、その道が残され崩壊した結果が考えられる(つまり、カルデラみたいなもの?)。
その他の画像はこちらへ【Messenger 10.01】
<追加情報 09.30. 2009>
☆水星探査機「メッセンジャー」の水星フライバイは成功し、画像のリリースが始まっています。こちらへ【Messenger 09.30】
<追加情報 09.26. 2009>
☆来たる29日、水星探査機「メッセンジャー」が水星へフライバイを行う。2004年8月に打ち上げられた同探査機は複雑な惑星フライバイを繰り返しながら、2011年3月に水星周回軌道へと投入される。投入までに水星そのものへのフライバイも3回行われるが、今回のフライバイがその3度目となる。(下は25日に撮影された水星。距離130万キロ)
今回のフライバイでは水星面から約228キロの距離を通過する(上・最接近は日本時間30日午前6時54分58秒)。過去2回のフライバイも合わせて水星表面の90%以上が既に撮影済みであるため、今回はいくつかの興味あるポイントに集中した観測も行われる予定(下・集中観測ターゲット。詳しくはこちらへ)。
なお、今回のフライバイが最後の惑星フライバイということになる。メッセンジャーはこの後軌道修正を行い(DSM−5)、2011年3月18日、水星周回軌道(200キロ×15200キロ)へ投入される。
詳しくはこちらへ【Messenger】
<追加情報 08.05. 2009>
☆水星周回探査機「メッセンジャー」が今月3日、地球を旅立ってから丸5年を迎えた。
メッセンジャーは2004年8月3日、ケープカナベラル空軍基地よりデルタUロケットで打ち上げられた。水星を周回する初の探査機となる任務を帯びるが、最も太陽に近い惑星への接近は難しいため道のりも遠く、周回軌道投入は打ち上げ6年半後の2011年3月18日となっている。
(下・8月5日現在のメッセンジャー軌道。左上は現時点での軌道、右上は打ち上げからこれまでに飛行した全経路。左下はメッセンジャーから見た地球で、右下は同・水星。最新の軌道概要はこちらへ)
メッセンジャーはこれまでに5回の惑星フライバイを成功させた。2005年8月に地球、06年10月と07年6月に金星、そして昨年1月と10月に水星の傍を通過した。これらのフライバイでは科学観測も実行され、貴重なデータがもたらされている。
探査機の状態は良好とのこと。詳しくはこちらへ【Messenger 08.03】
<追加情報 12.08. 2008>
☆2011年の水星周回軌道投入を目指して飛行を続けている水星探査機「メッセンジャー」の第4回DSMが9日、完了した。これにより同探査機は、来年9月に予定されている3回目の水星フライバイ軌道へと投入された。
メッセンジャーは2004年8月に打ちあげられ、2011年3月の水星周回軌道投入へと長旅を続けている。しかし既に2回同惑星へのフライバイを成功させ、これまで人目に触れなかった領域の撮影に成功するなど、大きな成果を挙げつつある。
メッセンジャーは複雑な軌道を描きながら水星へと接近しているが、その道中、5回の大きな軌道修正作業(DSM)がある。今回4回目となるDSMは更に2回に分けて行われ、最初が今月4日、2回目が8日に実行された。最初のDSMで必要増速量の90%を、2回目で100%が達成された。(下・初回実行時におけるメッセンジャーの姿勢)
詳しくはこちらへ【Messenger 12.08】
<追加情報 11.26. 2008>
☆水星へのフライバイを行った水星探査機「メッセンジャー」が取得に成功した未撮影領域のクレーターに、正式名称がつけられた。
メッセンジャー運用チームは15のクレーターに対し、国際天文連合(IAU)に名称を提案していたが、IAUはこれらを正式に承認。クレーターは全て、今年1月のフライバイで史上初めて撮影された領域に存在するものである。
水星のクレーターには、文学人や芸術家の名称が充てられる決まりになっている。名称や詳細はこちらへ【Messenger 11.26】
<追加情報 10.07. 2008>
☆水星探査機「メッセンジャー」が6日のフライバイで、未だかつて撮影されていなかった部分のショットの撮影に成功、そのショットが公開されました!
詳しくはこちらへ【MEssenger 10.07】
…南北を結ぶように走る筋が不思議…バスケボールというかメロンというか…
☆下は、メッセンジャーが最接近54分前に撮影した水星の地平線…漆黒の宇宙に浮かび、昼と夜のさかい目が幻想的で美しい光景です^^
大きいサイズはこちらへ【Messenger 10.06】
<追加情報 10.04. 2008>
☆6日に最接近を控え、水星探査機「メッセンジャー」が3日、水星を撮影しました。下は150万kmの距離から撮影したものです。
最接近は日本時間6日午後5時40分。どんな光景が送られてくるのか楽しみですね!詳細はこちらへ【Messenger 10.03】
…下はタイムライン図の一部。すごくごっちゃっとした図です…ちょっとしたポスターかと。。全体図はこちらへ
<追加情報 10.01. 2008>
☆今月6日、水星探査機「メッセンジャー」が第2回目の水星フライバイに挑む。今回のフライバイでは、まだ撮影されていない水星面のかなりの部分が明らかになる予定である。
水星に、メッセンジャー以前に接近した探査機は1973−74年のマリナー10号のみ。マリナー10号は水星面の45%の撮像しか行うことができず、残りの部分はまだ我々が見ぬ世界のままになっていた。
2004年8月に打ち上げられたメッセンジャーは今年1月、第1回目のフライバイを行い、未取得域の21%の撮影に成功した。今月6日に予定されているフライバイはそれに続くもので、残された領域の大部分の撮像を行う予定となっている。
(下の画像で実写の部分は、マリナー10号による撮影画像に、メッセンジャー第1回フライバイで取得されたそれを重ねたもの(白線で囲まれた部分)。紫の部分は第2回フライバイで撮影される部分。)
なお、メッセンジャーは全部で3回のフライバイを行った後、2011年に水星周回軌道へと入る予定になっている。詳しくはこちらへ【Messenger 09.29】
<追加情報 07.03. 2008>
☆今年1月に水星へ接近、観測に成功した水星探査機「メッセンジャー」の取得データより、同惑星には過去に火山活動があったこと、弱いながらも存在する磁場が残留磁場などではなく、今なお核ダイナモによって生じているものであることなどを強く示唆する証拠が見つかったことが明らかにされた。関連論文が「サイエンス」7月4日号に11本記載された。
1975年、マリナー10号が水星に接近・観測を行った際、地球の月に見られる“湖”に似た滑らかな部分が存在することがわかった。月の場合、湖の中には他の天体の衝突により飛び散った物質の堆積によって形成されたと見られるものがあることがわかっている。水星の場合もそれと同様のプロセスで形成されたのではないかと考えられている一方、火山活動で流れ出した溶岩ではないかという説もあり、過去30年にわたり議論されてきた。ただ、マリナー10号で取得された画像からは、火山の火口や特徴などは確認されなかったため、火山説のコンセンサスは得られていなかった。
ところがメッセンジャーの画像には、火山の存在を強く示唆する特徴が写し込まれていたという。太陽系でも最大級のクレーターである「カロリス盆地」の縁に、火口らしきものが写っていた。(下・火口と思われる地形。堆積物が白く輝いている。)
(下画像で、下の方の3本の白矢で示されたのは、なだらかに広がる物質で湾状になった崖で、溶岩流から出来上がっていると解釈される。一方、左上の2本の白矢はなだらかに埋まっているクレーターに生じた断層であり、黒矢の小さなクレーターはこの断層活動の後で出来上がったものと読める。地殻活動の複雑さが現れている。)
また、この盆地の形成過程の詳細も知ることができたという。それによると、カロリス盆地はまず、太陽系形成の初期段階で他の天体(小惑星もしくは彗星)が激突することで形作られた。やがて、月の“海”と同様、火山活動期にその内部が溶岩で埋められた。この火山活動による溶岩は衝突による堆積物質と混じり合い、比較的軽く赤みを帯びた物質となった。やがて沈降し、盆地底を縮め、我々が“しわの尾根”と呼ぶ地形を生み出した…。
また、高度測定により、水星のクレーターの深さは、月のそれの半分ほどの深さしか無く、また、形成過程は思ったより複雑であることが判明した。
ところで、水星磁場の理解についても大きな前進があった。水星に磁場が存在することは、やはりマリナー10号の観測で明らかになっていたが、問題はその成因だった。磁場は核の流動によるダイナモ機構により生じるとされており、地球の場合は液体である外核による。ところが水星の核はとっくの昔に冷え切りそのような運動は生じないものとされていた。今観測されるのは、地殻に残留している過去存在した磁場ではないかという考えもあるが、はっきりとしたことはわかっていなかった。
メッセンジャーの観測データは、水星磁場は地球と同様、ひとつのダイポールであることを示唆しているという。これはつまり、北磁極と南磁極がきちんと存在する惑星全体が1個の大きな磁石であるということで、惑星の表面に小さな磁石を貼り合わせたもの(=残留磁場)ではないということである。
研究チームは更なるデータ収集をと、今年10月に予定されている2回目のフライバイ、最終的には2011年に予定されている周回軌道投入を心待ちにしている。
この他、水星の超希薄な大気や組成に関するリリースも行われている。詳しくはこちらへ【Messenger 06.03】
<追加情報 04.28. 2008>
☆今年1月14日に水星探査機「メッセンジャー」が第1回フライバイで観測、初めて明らかになったクレーターなどのいくつかに、正式名称が与えられた。
水星のクレーターには歴史上の音楽家や画家、作家の名前が付けられることになっている。その一覧と詳細はこちらへ【Messenger 04.28】
<追加情報 02.20. 2008>
☆水星探査機「メッセンジャー」が日本時間20日早朝、軌道修正を行った。
今回の軌道修正は今年10月6日の第2回水星フライバイを目指したもの。エンジン噴射は日本時20日午前4時30分より始まり、その5分42秒後、メッセンジャーを管制するジョンズ・ホプキンス大応用物理研究所で噴射開始を示すデータが確認された。
エンジン噴射は149秒間であった。詳しくはこちらへ【Messenger 03.19】
<追加情報 01.30. 2008>
☆下は、水星探査機「メッセンジャー」が1月14日のフライバイ直後に撮影した水星のカラー画像。同じ画像のモノクロ版は既にリリースされている。
メッセンジャーは11種類のナローバンドカラーフィルターを搭載しており、各々を通して得られたデータは表面状態の差異を際だたせて見せるなど、科学的分析には極めて重要なもの。天然色の姿は赤・緑・青に対応するデータを合成することで作られる。ただしメッセンジャーの場合、赤外(波長1000ナノメートル)、遠赤(700)、および紫(430)のデータを赤・緑・青として少々強引に作ったものであるため、ヒトの目で見た正確な色合いとは若干異なることに注意。
この姿は、マリナー10号では撮影できなかった領域を広く含んでいる。右上には壁にぶつかったボールが残した痕のような「カロリス盆地」が見えている。この盆地は同種の地形では太陽系最大級のもので、マリナー10号でも一部しか撮影されなかったもの。巨大クレーターの内部が埋まってできたものだが、内部は非常にスムーズであることがわかる。
下はカロリス盆地の拡大図。1974年にマリナー10号の撮影で発見されたものであるが、その際撮影されたのは画像で右側の一部分のみ。今回その左側も映し出され、全体像が明らかになった。
カロリス盆地は発見よりこれまで、直径が約1300km程度の構造体と考えられてきたが、今回の観測でもうちょい大きいことが判明した。上の画像で黄色の破線はこれまでの推定で、青のそれは新たに判明した輪郭。直径は1550kmに達し、盆地内に、特徴が異なるクレーターが散見されるのは興味深い。
水星の大きな特徴に、弱いながらも磁気圏を備えていることがある。磁気圏そのものはマリナー10号で発見されたものであるが、今回のフライバイでも観測が行われ当時との比較が行われた(下・模式図)。
今回のフライバイはマリナー10号の接近時と異なり、太陽活動がおとなしい時に当たったため、当時よりもよいデータが取得された。その分析によると、磁場は水星自転軸にほぼ一致するダイポールによるフィールドであることが判明、これはマリナー10号の観測データで描かれるそれとほぼ一致するという。磁場強度はマリナーの約3分の1と小さいが、これは飛行軌道の違いによるものである(マリナーは3回目のフライバイで磁極の真上を飛行したが、メッセンジャーは赤道面を飛行)。
今回の観測とマリナー10号のそれを合わせた結果、水星磁場は核のダイナモ機構(融解した外核に起こる電流が磁場を生む)で生み出されたそれと一致することがわかった。ただし現時点では内部の更なる詳細や、火星のような局所的残留磁場の有無など、微細構造を知ることはできない。これは今後予定されているあと2回のフライバイおよび周回軌道投入後の観測で明らかになるものと期待されている。
31日、以上を含む観測データの初期分析結果に関する記者会見が行われる。詳しくはこちらへ【Messenger 01.30】
<追加情報 01.27. 2008>
☆下は、水星探査機「メッセンジャー」が今月14日の第1回水星フライバイの際に撮影した、南極方向。マリナー10号でも撮影されなかった領域でもある。最接近の98分後にナローアングルカメラで撮影された一枚。
一方下は、北極方向。南極方面と異なり、クレーターが比較的少ないのが興味深い。左の方は昼夜の境界(ターミネーター)で、長く落ちた影と高低の特徴がよく表現されている。
大きいサイズなどはこちらへ【Messenger 01.26】
<追加情報 01.22. 2008>
☆水星探査機「メッセンジャー」によって撮影された水星のカラー画像が公開された。下は、最接近の直前である今月14日に取得されたものであり、同じフレームのモノクロ画像は既にリリースされている(こちら)。
メッセンジャーのワイドアングルカメラは11種類のナローバンドフィルターを備えており、各々を通して取得されたデータを合わせることで様々な画像を作ることができる。ただしカメラの感じる波長帯域がヒトの目よりも広いため、それを合成して作られる天然色は、ヒトの目で見るそれと若干異なっている。
上の画像は3種類のフィルター(波長1000、700、430ナノメートル)で取得されたデータを合成して作られたもの。各波長はそもそも赤外、深赤および紫に対応するものであるが、これを赤、緑および青として合成してある。このような擬似カラー画像では、白黒でははっきりしない地表の特徴がよく見えてくるようになる。
大きいサイズなど、詳しくはこちらへ【Messenger 01.22】
<追加情報 01.21. 2008>
☆下は、水星探査機「メッセンジャー」が水星最接近の1時間後に撮影した一枚。直径約52kmのクレーターの内部に、電話の受話器にも、耳たぶにも見える陥没らしきものがある。
非常に特徴的な地形で、この付近の他のクレーターには見られない。過去の火山活動を反映しているものである可能性も指摘されている。詳しくはこちらへ【Messenger 01.20】
<追加情報 01.18. 2008>
☆下は、水星探査機「メッセンジャー」が14日、最接近の55分前に取得した画像で、距離は18000km。地平線と漆黒の宇宙が印象的です。
右下の大きなクレーターは直径約200km。マリナー10号ではディテールを知ることができませんでした…メッセンジャーにより得られた画像は、構造やテクトニクスを推測する上で極めて重要なものです。
詳しくはこちらへ【Messenger 01.17】
<追加情報 01.17. 2008>
☆下は、水星探査機「メッセンジャー」が最接近の21分後にナローアングルカメラ(NAC)で撮影したクローズアップ。撮影時の距離は5800kmで、幅170kmの範囲が写し込まれている。
ここはマリナー10号では未撮影だった領域の一部。場所は赤道付近にあたり、メッセンジャーはこの周辺のNAC画像を68枚取得しており、その一枚。中央・右から左にかけては水星で最も険しいと思われる渓谷が写っている。
その他の画像など、一覧はこちらへ【Messenger 01.16】
<追加情報 01.16. 2008>
☆水星探査機「メッセンジャー」がフライバイ直後に撮影した画像がリリースされました(下)。これには、33年前にマリナー10号では撮影できなかった部分が広く含まれています。
上の画像は世界時14日、メッセンジャーが最接近の80分後、ワイドアングルカメラで撮影したもの。水星からの距離は27000kmで、約10kmのものまで解像している。
この半球は1973−74年のマリナー10号ミッションでは撮影されなかった部分。マリナーで既に撮影されている部分と同様、無数のクレーターに覆われている。右上には太陽系最大級で、かつ恐らく最も“若い”「カロリス盆地」(Caloris
basin)が大きく見えている。この盆地の西側はマリナーで撮影されなかった部分。盆地内部は周辺よりも明るく、平坦で幅のある暗みを帯びた地形がそれを取り囲んでいる。また、盆地内部には特徴的なクレーターも見えている。
下は太陽系シミュレーターで描いたほぼ同時刻の水星。真っ白い部分は未取得だった領域で、今回のフライバイでそのかなりの部分が明らかになった。
詳細はこちらへ【Messenger 01.15】
<追加情報 01.15. 2008>
☆水星探査機「メッセンジャー」は日本時間15日午前4時4分、水星から200kmの地点を通過、フライバイに成功した。
最接近の前後で画像を含む膨大な量の科学データが取得された。現在それらはオンボードメモリーに蓄積されており、日本時間16日未明にダウンリンクが行われる。
今回のフライバイで得られた科学的成果は、今月30日に予定されている記者会見で発表される予定。詳しくはこちらへ。【Messenger 01.14】
☆水星探査機「メッセンジャー」の2004年打ち上げから2011年の周回軌道投入までの飛行軌道アニメーションがこちらのページに(“Featured Item”の画像をクリック)…とてもわかりやすいですが、ADSLではダウンロードが重いです^^;
<追加情報 01.14. 2008>
☆下は、水星探査機「メッセンジャー」が世界時・13日午前6時34分(日本時・同13日午後3時34分)に撮影した水星で、距離は約76万km。特徴がかなりはっきりと見えてきました!
メッセンジャーが最接近の前後で取得する科学データは一旦オンボードメモリーに蓄積され、全ての観測が終了した後(最接近の22時間後)で地球へダウンリンクされる予定です。【Messenger
01.14】
<追加情報 01.13. 2008>
☆NASAの水星探査機「メッセンジャー」は順調に飛行を続け、その歴史的第1回目の水星フライバイへ残すところあと1日と迫った。
下は、世界時・12日午前9時6分(日本時・同午後6時6分)、メッセンジャーが撮影した水星。地表の大きな特徴が見えている。
下は、「ソーラーシステム・シミュレーター」で描いたもの。メッセンジャーは夜の側の上空203kmを通過する予定。現在のトラジェクトリ精度は誤差4km(!)で、13日に予定されていた軌道微調整はパスされた。
詳しくはこちらへ【Messenger 01.13】
<追加情報 01.11. 2008>
☆NASAの水星探査機「メッセンジャー」は順調に水星への接近を続けており、本格的な科学観測を開始している。9日には水星の画像が初めて撮影され、その一枚が公開された(下)。
これは、9日午前11時4分(世界時。日本時間・同午後8時4分)、距離270万kmの地点で撮影されたもの。画像解像度は70km/ピクセル。探査機は14日午後7時4分39秒(世界時。日本時間15日午前4時−)、水星の夜側上空200kmを通過する予定で、最接近の前後には膨大な量の科学観測が行われる。
今回のフライバイでは、1974年、75年のマリナー10号探査では取得されなかった範囲の画像も一部撮影される。特に注目されているのは「カロリス盆地」(Caloris
basin)と呼ばれる巨大クレーターで、直径1300km、縁の高さは3kmにも達する。マリナー10号によって発見されたものであるが、残念ながら全体の半分しか撮影できなかった(右・大きいサイズはこちら)。
水星の直径は約4900km弱で、このクレーターはその4分の1を超える。しかも太陽系最大のクレーターである。
今回のフライバイではまだ見ぬ側の姿も撮影されることになっており、関係者の大きな期待を集めている。大きいサイズなど、詳細はこちらへ【JHU/APL 01.10】
<追加情報 01.08. 2008>
☆2004年8月に打ち上げられ、2011年の水星周回軌道投入を目指して飛行を続けているNASAの水星探査機「メッセンジャー」が、今月14日午後2時過ぎ(日本時間15日午前4時過ぎ)、第1回目の水星フライバイを行う。
メッセンジャーは先月中旬、フライバイ軌道への投入マニューバを実行。今月10日、最終微調整が予定されていたが、高精度な軌道投入が確認されたため実行されないことになった。
メッセンジャーは2011年の水星周回軌道投入までに3回のフライバイを行う。現在、同探査機の全ての状態は正常で、今月14日の最接近を挟んで集中観測が行われる。カメラによる撮像は9日より始まる予定。(第1回フライバイ・タイムライン特設ページはこちら)
探査機が水星へ接近するのは、1975年のマリナー10号以来、約33年ぶり。マリナー10号では水星の全球撮影はできず、今回のフライバイではまだ見ぬ部分の姿も広い範囲で取得される。
詳しくはこちらへ【JHU/APL 01.07】
<追加情報 12.20. 2007>
☆水星を目指して飛行中の水星周回探査機「メッセンジャー」が今月19日、2004年8月の打ち上げ以来、通算19回目の軌道修正(TCM−19)を行った。
この修正では110秒間のエンジン噴射が行われたが、これは10月18日に行われた大きな軌道修正の誤差を埋め合わせたもの。これにより、来月14日に予定されている第1回目の水星フライバイ軌道へと正確に投入された。
メッセンジャーはこのまま飛行を続け、水星から200kmの地点を通過することになる(右・想像図)。詳しくはこちらへ【Messenger 12.20】
<追加情報 12.05. 2007>
☆先月中旬から太陽・地球との位置関係が「合」となり、定時交信が中断されていたNASAの水星探査機「メッセンジャー」との交信が、先月30日再開された。
合は、地球からみて太陽の向こう側に天体がくる状態。この間メッセンジャーは太陽からの視角距離が1°以下にあり、交信は控えられ、オートモードで飛行を続けていた。(下は今月5日現在の位置関係。2本の直線のなす角度が視角距離)
詳しくはこちらへ【Messenger 12.03】
…来月14日にはいよいよ第1回目の水星フライバイです。
<追加情報 11.19. 2007>
☆25日、水星を目指して飛行中のNASAの水星周回探査機「メッセンジャー」が、その6.6年に及ぶ飛行のちょうど半分に達する。
メッセンジャーは2004年8月3日に打ち上げられ、約6.6年後の2011年3月18日、水星周回軌道へと投入される。水星へのアプローチは非常に複雑で、周回軌道投入までに1回の地球フライバイ、2回の金星フライバイと3度の水星フライバイを経る(詳細はこちらへ)。来年1月14日には第1回目の水星フライバイが行われる予定で、その際まだ取得されていない地表部分の撮影が行われる。
水星の探査機観測は1974年と75年、マリナー10号によって行われたが、全球撮影は達成されなかった。詳しくはこちらへ【Messenger 11.19】
<追加情報 10.31. 2007>
☆水星を目指して飛行中の水星周回探査機「メッセンジャー」が10月26日より「合」の位置関係に入っている。合とは、地球から見て太陽の向こう側に位置すること。太陽が邪魔をするため、この間の交信は一時的に途切れる。
地球と探査機の位置関係は刻々と変化するが、これから1,2週間後には完全にコンタクトができない状態になる。(下・現在のメッセンジャーの位置。地球から見て太陽のほぼ向こう側を飛行中。完全に一直線になる前後は交信が全く取れない。)
今回の合はミッション期間中で最長(約47日)であるが、長い合を経験するのは管制チームにとって初めてではない。昨年10月17日から約1ヶ月間の合ではその間に約2週間のコンタクトロストが挟まったが、チームは多くの経験を得ることができた。「我々はその合から多くのことを学びました。今回の合に対する運用プランにもその時の経験が踏まえられています」と語るのは、ミッション運用マネジャーのアンディ・キャロウェイ氏。
搭載科学機器は一部を除きシャットダウンされ、また、オンボードコンピュータには連続54日間の自律運用プログラムがアップロードされた。というのもメッセンジャーはもともと、地球からコマンドを1週間受け取らなかったら自動的にセーフモードに入るようになっているからだ。
またこのプログラムには、探査機全体に一定の回転を毎日加えるコマンドも含まれている。というのも、不必要な自然のトルクが加わることにより探査機のモーメントが急激に増加するのを防ぐためである。
運用チームは交信不通の間は、来年の第1回水星フライバイに向けた最終調整を行う予定である。詳しくはこちらへ【Messenger 10.30】
<追加情報 09.28. 2007>
☆水星を目指して飛行中のNASAの水星探査機「メッセンジャー」で約1ヶ月間行われてきた電波実験テストが、先日完了した。
これは、同探査機のローゲインアンテナから放射される電波のドップラー偏移を拾い上げるというもので、先月20日から今月19日まで行われた。
この電波実験は、2011年、メッセンジャーが水星周回軌道へ投入されてから本格的に実行されるもの。ドップラー偏移は探査機と地球の相対速度で決まる値だが、これを精密に検出することで、探査機の飛行速度の変化を知ることができる。周回軌道上にあるメッセンジャーの速度変化は、水星内部の質量分布、ひいては組成の詳細などを知る重要な手がかりとなるのだ。
最近、水星の核の一部が液体である可能性が指摘された。核の特徴は水星の大きな謎のひとつであり、その解明に大きな力を発揮するものと期待されている。
リハーサルとも言える実験が行われたこの期間は、ちょうど探査機が水星軌道付近を飛行していた時期にあたる。つまり、2011年の水星周回軌道とほぼ同じ環境下でのテストを行ったことになる。詳しくはこちらへ【Messenger 09.27】
<追加情報 09.03. 2007>
☆NASAの水星周回探査機「メッセンジャー」が今月1日、ミッション期間中で最も太陽に接近した。
メッセンジャーは2011年3月の水星周回軌道投入を目指して飛行を続けている。現在、水星軌道近くを飛行しており、1日、太陽から約0.33天文単位(4967万km)の地点を通過した。「ミッション期間中、太陽に最も接近しました」と語るのは、副プロジェクトサイエンティストであるブライアン・アンダーソン氏。
メッセンジャーはシールドを太陽に向け、順調に飛行を続けている。詳しくはこちらへ【Messenger 08.31】
<追加情報 08.03. 2007>
☆今月3日、NASAの水星周回探査機「メッセンジャー」が打ち上げ3周年を迎えた。
メッセンジャーは水星を周回する初の探査機で、2004年8月3日、ケープカナベラル空軍基地より打ち上げられた。2011年3月の周回軌道投入を目指して飛行を続けており、地球に1回、金星に2回フライバイした後、水星に3回のフライバイを行なった末、同惑星を周回する軌道へ投入される。
今年6月上旬には第2回目の金星フライバイを終え、いよいよ水星への接近を開始。順調に飛行すれば、来年1月14日に第1回目の水星フライバイを行う。
現在、メッセンジャーは太陽から0.5天文単位内の距離の空間を飛行しており、来月1日には0.33天文単位まで接近する。これは1974年〜75年に水星へ接近したマリナー10号が打ち立てた記録(0.47天文単位)を塗り替えるもの。(下・日本時間5日21時までのメッセンジャーの飛行経路)
当然だが、太陽放射が強烈であるため、太陽電池を一定の角度“仰け反らせる”操作が行われる。例えば現在は太陽と正対から50度傾いており、来月1日には70度傾けられる。この操作は2〜3週間に一度行われる予定。
なお、メッセンジャー運用チームは、来年1月の水星フライバイに向けたシミュレーションなどを行うなど準備を続けている。詳しくはこちらへ【Messenger 08.03】
<追加情報 06.14. 2007>
☆今月5日に金星フライバイに成功したNASAの水星探査機「メッセンジャー」が、フライバイの前後に撮影した画像がダウンリンクされた。
下は、フライバイ後に撮影された連続ショット。最初のフレームは6日21時58分(日本時)に、最後のフレームは7日19時18分(同)に撮影された。この25時間20分の間に探査機は、約83万kmを飛行。金星に対する平均相対速度は毎秒9.13kmであった。
送られてきた画像より、撮像系は問題なく機能しているとのこと。その他の画像など、詳しくはこちらへ【Messenger
06.14】
…メッセンジャーの金星接近はこれで終わりです。年明けにはいよいよ、第一回目の水星フライバイに挑みます。
<追加情報 06.05. 2007>
☆水星を目指して太陽系内惑星空域を飛行中の水星周回探査機「メッセンジャー」は、6日午前8時過ぎ(日本時間)、金星フライバイを完了した。
同探査機は午前8時8分(日本時)、金星から320km以内の地点を時速4万8000kmで通過した。最接近を挟む20分間は金星の影を飛行したため、電力はバッテリーから供給。再度太陽光を受けた探査機は午前10時32分までにバッテリー・フルチャージを完了した。全ては予定通りに進行し、「最接近後、最初に受信したテレメトリーでチャージ完了を確認したときには、今回のミッション最大の局面を成し遂げたと実感しましたよ」と語るするのは、メッセンジャー・オペレーションマネジャーのアンディ・キャロウェイ氏。
「次は、2008年1月14日の水星です!」と興奮を露わにしている。
探査機は金星の写真撮影なども行っており、この後、大気上層や雷の観測を実行することになっている。総データ量は6ギガビットに達し、630枚を超える画像以下、科学データがぎっしりとのこと。それらは今月7日よりダウンリンクを開始する予定。
メッセンジャーは2004年8月3日、ケープカナベラル空軍基地よりボーイング・デルタUロケットで打ち上げられた。水星探査に挑むのは1973年に打ち上げられたマリナー10号以来。しかもマリナーは水星フライバイを行っただけだが、メッセンジャーは周回軌道へ入るという野心的なミッションである。
ただ、水星への道のりは遠く、周回軌道投入まで6年半もかかる。太陽系の内側へ進入するにつれ速度が増加するため、周回軌道投入を考えると急激な進入はできず、徐々に近づいていく他ないからだ。
周回軌道に入る(2011年3月)までに、地球・金星・水星へのフライバイを計6回行う(下)。
水星へのフライバイは3回が行われることになっており、早くも半年後の2008年1月、その第一回目に挑む。かつてマリナー10号は水星に3回接近したが、それでも惑星の半分の映像しか得ることができなかった。来年1月の水星フライバイではまだ得られていない地表の撮像も予定されており、新たな姿を見せてくれることが期待されている。
(下・来年1月の水星フライバイ時の飛行軌道。マリナー10号が撮影できなかったエリア(灰色)を結構撮影できそう。)
メッセンジャー・ミッションでは、3回の水星フライバイの段階で、未撮影領域の撮影を完了する予定となっている。詳しくはこちらへ【Messenger 06.05】
<追加情報 05.25. 2007>
☆水星を目指して飛行を続けている水星探査機「メッセンジャー」は今月25日、来月5日の金星フライバイを控え軌道修正(TCM−16)を行った。
管制はジョンズ・ホプキンス大学で行われており、スラスター噴射のコマンドが送信された。送信はNASAの深宇宙ネットワーク・マドリッド局から行われ、約7分後、スラスター点火の確認シグナルが受信された。
噴射は36秒間行われ、速度修正(ΔV)は0.212m/秒。これにより、来月5日、金星上空337kmの地点を通過する軌道へ投入された。(上図はその際の太陽に対する姿勢。側方4機の小型スラスター噴射も描かれている。)
金星フライバイでは金星の夜側を一時飛行するため、完全に太陽光が当たらない20分間はバッテリーで駆動する(下・その飛行軌道。金星を周回するESAの「ビーナス・エクスプレス」とその軌道(極軌道)も描かれている)。
詳しくはこちらへ【Messenger 05.25】
<追加情報 05.03. 2007>
☆高精度のレーダー観測により、水星の核が液体である可能性が高いことが明らかになった。このことは、1974年のマリナー10号により発見された磁場の問題を解決する鍵として重要なものである。
関連論文が、「サイエンス」5月4日号に発表された。
水星には、地球の約100分の1の強さではあるが、磁場が存在する。これは1973年に打ち上げられ、74年および75年にかけて水星へ3回フライバイ観測を行ったマリナー10号により発見されたもの。「磁場が存在するとは当時誰も予測していませんでした。」と語るのは、研究チームのリーダーであるコーネル大学のジーン−ルク・マーゴット教授。「サイズが小さすぎるため、液体の核は持たないという説が優勢でした。」(古代はあった磁場が凍結、現在見ているのはその残存磁場ということでしょう@管理人)
これまで、固体の鉄の核の周囲をケイ素のマントルが包んでいる状態がイメージされてきた(右)。水星のサイズは小さいため、惑星形成直後に急速に冷え、内部は固体になったものとされていたのだ。ちなみにその密度から、内部の約7割が金属、特に鉄の割合が大きいとされる。
長年、水星磁場はその表面に着陸してみることで解決できるものと考えられてきた。だが、2002年、マーゴット教授率いる研究チームは水星へレーダー照射を行い、答えが探せないものか試みてきたという。
レーダーにはジェット推進研究所(JPL)深宇宙ネットワーク(DSN)ゴールドストーン局の70m大型パラボラも用いられた。DSNは惑星探査機との交信がよく知られているが、その機能はレーダーとして用いることもできる。水星へ電波を照射すると、約10分後にエコーを受信することになる。
アンテナにはゴールドストーン局以外にグリーンバンクやアレシボの各電波天文台なども用いられ、エコーの観測が行われた。これにより水星の自転周期を1000分の1パーセントの高精度で決めることができる。
このようにして、研究チームらは、自転の僅かなブレを検出した。その値は、水星が完全な固体だと仮定した際の2倍の値だったという。これは、核が完全な固体であるという仮定は苦しく、核、最低でも外核が、液体であり、運動にずれが存在することを意味しているという。
一方、何十億年もの間液体を維持するには、融点を低くするための混ぜもの、例えば硫黄のような軽元素が存在する必要がある。この存在は、水星の形成過程を考える上でも重要な鍵の1つである。
水星には今なお謎が多い。磁場はそのひとつであるが、わかる範囲で徹底調査すべく、現在、2011年の周回軌道投入を目指して探査機「メッセンジャー」が太陽系内惑星空間を飛行中である。詳しくはこちらへ【NASA 05.03】
<追加情報 04.02. 2007>
☆先月28日、水星を目指して飛行を続けている水星周回探査機「メッセンジャー」が、全行程の3分の1の飛行を達成した。同探査機は2004年8月3日に打ち上げられ、この日、飛行日数972日に達した。2011年3月18日に水星到着を予定している。
飛行は順調で、現在、今年6月5日に予定されている第2回目の金星フライバイへ向けた準備が行われている。
探査機が内惑星へ向かうと、必然的に速度が増す。そのままの接近では水星周回軌道への投入が困難なため、メッセンジャーは地球に1回、金星に2回、そして水星自体に3回のフライバイを行い、軌道を修正していく。下はその全行程であるが、まだまだ気の長い旅が続く。
2005年8月2日に第一回目の地球フライバイを、昨年10月24日に第一回目の金星フライバイを無事にこなした。下は地球フライバイの際に撮影されたものの一枚である。(地球はやっぱり、美しいですね。その他の画像はこちら)
「打ち上げから最初の2年半は激忙ですよ。10回の軌道修正と2回のフライバイ、メインプロセッサと5つの機器のソフトウェアアップロード、長い“合”の状態における自律システムの管理、突発的なプロセッサリセットといった不具合への対応などです」と語るのは、メッセンジャーミッション・オペレーション責任者であるアンディ・キャロウェイ氏。詳しくはこちらへ【Messenger 04.02】
<追加情報 10.25. 2006>
☆24日、水星を目指して飛行中の水星探査機「メッセンジャー」が第一回目の金星フライバイに成功した。時刻は日本時間24日17時34分、接近距離は2990kmであった。
上の画像は再接近の20日前、距離1650万kmの地点で撮影されたもので、低解像度ながら、金星が分厚い雲をまとっていることが明らかに見て取れる。左は元の画像で、右はそれを4倍拡大したもの。大きいサイズはこちらへ【Messenger 10.25】
<追加情報 09.15. 2006>
☆2004年8月に打ち上げられ、2011年の水星到着を目指して淡々と飛行を続けている水星探査機「メッセンジャー」は今月12日、予定されていた軌道微修正を行った。来月24日には金星フライバイが予定されている。
軌道修正は米東部時間午後7時から4分間に渡って行われた。管制を担当するジョンズ・ホプキンズ応用物理研究所の管制室では12分後、メッセンジャーからのシグナルを受信し、きちんとスラスター噴射が行われたことを確認した。【Messenger
09.15】
<追加情報 08.03. 2006>
☆3日、NASAの水星探査機「メッセンジャー」が、打ち上げから丸2年を迎えた。同機は2011年3月の水星周回軌道投入を目指して、順調に飛行を続けている。詳細はこちらへ【Messenger 08.03】
<追加情報 06.21. 2006>
☆水星を目指してロング・ジャーニーの途にあるNASAの水星探査機「メッセンジャー」が今月21日、最後の“バク転”マニューバを完了した。
メッセンジャーはそれまで太陽と反対方向へ向けられていた“日傘”を太陽の方向へ向けた(右)。この日傘は、探査機を高温から守るためにひつようなもの。だがこれまで、メッセンジャーは地球軌道近傍を飛行していたためそこまで高温にならず(むしろ低温)、この日傘は必要なかったため、太陽に背を向ける格好にされていた。
いよいよ、メッセンジャーは盾を向けて灼熱の世界に挑む。(最新の現在位置はこちら)
探査機はジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所によって管制されており、コマンドがNASA・DSNを経由して送信された。16分間のマニューバにより回転を完了、米東部時間午前9時34分、完了を伝える信号が地球に返されてきた。メッセンジャーは今年10月、金星へのフライバイを迎える。【Messenger
06.21】
<追加情報 04.05. 2006>
☆太陽系の惑星で、最も太陽に近い水星。大きさは地球の月よりも少し大きい程度。だがこの惑星は非常に密度が高く、岩石質のマントルは僅かで、内部の大部分は重金属から成ると考えられている。また、なぜそのような構造になったのかは長年議論の的となっている。
このことに関して先頃、ジョンティ・ホーナー博士率いるベルン大学の研究チームは最新のコンピュータシミュレーションにより、水星が超巨大小惑星の激突によって形成されうることを示した。45億年前の太陽系形成時、水星に対して巨大な小惑星、もしくは同程度の惑星が激突することで岩石質のマントルが大きく剥がされた結果、小さくとも高密度な現在の水星が形成されたという説が有力視されているが、今回の結果は、その現実性により一歩近づけるものとなりそうだ。
「これまでも同様のシミュレーションは行われてきましたが、なぜ岩石層が殆ど再降着しなかったのかはよく分からなかったのです」と語るのは、ホーナー博士。彼らのチームは計算を行うにあたり、衝突する2つの天体を形成するそれぞれの物質の振る舞いをきちんと想定し、2つの状況にわけて計算を行ったという。当然計算量は膨大になるが、その結果、かつてない精度のものが得られたという。
まず、最初の計算により、水星となる天体は衝突後、急速に拡散するデブリにくるまれる形で形状を維持することが判明。次に、その拡散するデブリに視点を移し、数百万年に相当する期間の振る舞いを計算してみたという。
その結果、はぎ取られちりぢりになったデブリは、あるものは水星天体に再降着し、あるものは太陽放射で吹き飛ばされ、またあるものは太陽へ向かって落ち込んでいく姿が得られたという。デブリがどのような振る舞いを見せるかは、どのような角度で衝突が起こるか、また、その衝突が軌道上のどの位置で起こったかに依存するという。
(上はシミュレーションの一部で、水星の元となる天体に別の天体が激突し、飛び散っていく様。赤い部分は金属コアの領域で、水色はシリケイトなどをメインとした岩石領域。衝突(左)で天体の大部分が大きく飛び散ってしまう中(中央)、残された金属コアの小領域がむき出しになり、これが現在の水星の母体となっていく(右)。その後、飛び散った岩石成分が降着を起こすが、飛び散った大部分は太陽放射で遠方へと吹き飛ばされてしまう。)
ただ、多くのデブリが再降着するとはいえ、約50%のデブリの再降着に400万年もかかることが示され、その間、残りのかなりの割合が太陽放射で外へ向けて吹き飛ばされたという。なお、その吹き飛ばされたデブリの一部は、ごく一部ではあるが、金星や地球の“材料”に混ざった可能性も考えられるという。詳しくはこちらへ【RAS 04.05】
…水星も、かつてマリナー10号による観測が行われただけで、しかもそれも不完全なもので、謎が多い天体です。ただ現在、周回探査機「メッセンジャー」が同惑星を目指して飛行中ですし、我が国とESAが共同で探査を行う「ベッピ・コロンボ計画」も予定されており、今後、注目を浴びる天体となりそうです。そういえばベッピ・コロンボ計画では着陸機を下ろすというデザインが初期にはありましたが、予算の問題で削られてしまいました…確か日本の担当だったはず…残念。。
<追加情報 03.23. 2006>
☆3月23日、水星探査機「メッセンジャー」が飛行距離10億マイル(約16億キロ)を達成した。これは、全行程の約5分の1にあたる。
メッセンジャーは2004年8月3日に打ち上げられ、2011年3月18日、水星周回軌道に投入される予定。幾度ものフライバイを繰り返し、水星にアプローチするが、今年10月には金星とのフライバイが予定されている。全行程の詳しい流れはこちらへ。【Messenger 03.24】
<追加情報 12.13. 2005>
☆米東部標準時12日午前6時30分(日本時間・同午後20時30分)、水星へ向けて飛行中の、NASAの水星探査機「メッセンジャー」が重要な軌道修正の1つである“DSN1”オペレーションを行い、成功した。
(右・この時の管制部の様子。奥の時計が午前6時31分と読める。大きいサイズ)
このオペでは、搭載されている17のスラスターのうち最も大きなものが用いられ、このスラスターからは燃料と酸化剤の双方を用いた燃焼で強力な推力が得られる。なお、すでに他の16の小型スラスターを用いた軌道微調整は経験済みだが、これらは燃料の噴射のみによる小規模なもの。
このDSNシリーズは今回も含め、5回が予定されている。また、最後の周回軌道投入の際も、このスラスターにより制御が行われる。このスラスター燃焼により消費されるプロペラントは、その約30%弱に達するという。中でもこのDSN1は最後の軌道投入の際を除いた中では最大のもので、搭載プロペラントの約18%が消費されたという。
(注: プロペラント=フューエル(燃料)+オキシダイザー(酸化剤)、とのこと)
今回の噴射は534秒間行われた。軌道変更は予定通りで、来年10月24日には金星へ接近、その重力アシストを受けることになっている。
メッセンジャーは2011年3月、水星へ到着する予定。【Messenger HP 12.13】
<追加情報 11.08. 2005>
☆今月7日、NASAの水星探査機「メッセンジャー」が、金星軌道の内側へと進んだ。このとき金星とメッセンジャーとの距離は約8640万kmで、太陽からの距離は1億800万kmだった。
メッセンジャーは来月、搭載の大型スラスターを用いた第一回マニューバを行う予定。【Messenger
HP 11.08】
<追加情報 08.25. 2005>
☆今月2日に地球へフライバイした水星探査機・メッセンジャーが接近時に撮影した地球の画像が公開されています。キレイですね〜(^^)!
詳細はこちらへ→メッセンジャー・地球フライバイ
<追加情報 08.01. 2005>
☆一年前に打ち上げられた水星探査機「メッセンジャー」が3日未明〜昼にかけて地球に接近、大きく軌道を修正、本格的な水星接近への第一歩を踏み出す。
最接近は日本時間3日午前4時13分(世界時2日午後19時13分)が予定されており、このときメッセンジャーはモンゴル上空を通過する形となる。日本、オセアニア、中央アジアにかけては観測可能で、光度は9等。中型望遠鏡にカメラを装着し、露出をかけて撮影すると航跡を捉えることも可能である。
…詳細はメッセンジャー観測ページをご参照下さい。午前4時過ぎというと日本は薄明が始まりますから、未明あたりに狙うのがポイントかもしれません。9等であれば、一眼レフに中型の望遠を取り付け赤道儀に載せて追えば容易に写し込むことができるかもしれません。
メッセンジャーが最接近で撮影した地球の姿も楽しみですね!(写真はメッセンジャーが先月24日に撮影した地球)
<追加情報 07.205. 2005>
☆こちらは、「水星」です。忘れかけた頃にニュースが・・
2011年に水星周回軌道へ入る予定のNASAの水星探査機・メッセンジャーが、来月2日に地球へ接近、重力を利用して軌道変更を行う“フライバイ”に先立ち、そのシミュレーションテストが行われ、ミッションに異常がないことが確認された。
現在、メッセンジャーは地球から約1000万qの地点を飛行中で、詳細はメッセンジャーサイトで確認できます。【Messenger HP 07.05】
<追加情報 06.24. 2005>
☆24日、昨年8月に打ち上げられた水星探査機「メッセンジャー」の打ち上げから4度目の軌道&速度修正が行われた。これは今年8月2日に予定されている地球へのフライバイに備えた修正。174秒間のスラスター噴射により、僅かに速度を落とした。
メッセンジャーは地球の重力を利用して軌道を変更し、今年10月に更に金星へ接近する予定。メッセンジャーはこのようなフライバイを繰り返しながら、水星を目指す。【Messenger
HP 06.24】
<追加情報 03.09. 2005>
☆9日、水星へ向けて飛行中の探査機・メッセンジャーに信号が送られ、機体を180°回転、太陽と反対側に向けられていた耐熱シールドを太陽側に向ける操作に成功した。また同時に、磁力計を取り付けたブームの展開も滞りなく行われた。
メッセンジャーは現在、地球から4700万キロの地点を、時速11万2300キロで飛行している。【Messanger
website 03.09】
<追加情報 09.25. 2004>
★打ち上げから52日が経過した9月24日、水星探査機・メッセンジャーは、軌道の微調整を行い、成功した。調整は小型スラスターの62秒間の燃焼により行われ、打ち上げの際の軌道のずれが修正された。メッセンジャーは目下、地球から1850万キロの地点を時速10万キロで飛行している。
なお、メッセンジャーは現在、搭載している「日よけ」を太陽と反対の方へ向けている。これは、探査機が太陽から遠いため、冷えすぎるのを防ぐため(右図)。【Messenger
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