宇宙フラッシュ、の正体!?

初版: 10.06.2005 追加: 06.17. 2006

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過去35年間にわたり正体が謎だった「ガンマ線バースト」に関して、それが高密度星どうしのマージ(融合)により生じる現象であることが明らかになったと、NASAは発表した。これまで、超大質量星の爆発による「極超新星爆発」によるのではないかという説もあったが、とりあえずそれらは否定されるという。

会見はNASA-TVで中継され、論文は「Nature」誌10月6日号にも記載される予定。

ガンマ線バーストとは、短時間で強力なガンマ線が放射される現象で、「ロングバースト」と「ショートバースト」の2つがある。まさに“宇宙フラッシュ”!

ロングバースト(long burst)は比較的ダラダラとしたガンマ線の放出が続くもので、この正体は大質量星(太陽質量のざっと40倍以上)の超新星爆発によって生じることが早い段階で明らかになっていた。しかし、ショートバースト(short burst)に関しては、それがあまりにも短時間の現象であること(ミリ秒スケール)、全天のどこに出現するか予測がつかなかったことなどから、長年にわたり謎のままだった。(画像:NASA-TV)

80年代、天文雑誌に寄せられた投稿写真の中には、超新星爆発とは異なる光が写っており、「ガンマ線バーストの可能性もあります」というコメントがつけられていたのを筆者は覚えている。

そもそもガンマ線バーストの発見は、冷戦時代の1960〜70年代にかけて、米国がソ連の核実験などを探知する目的で打ち上げていた核爆発探知衛星が最初に捉えたことに遡る。この軍事衛星は核爆発で生じるガンマ線をキャッチし、ソ連の実験などを察知するためのもの。ところが、極めて短時間に、しかも地球外からのガンマ線の放射を探知することがあり、詳しい観測の結果、それが太陽系外の遙か彼方からのものだということが判明、天然の現象であることがはっきりされた。

昨年NASAは、このガンマ線バーストの観測に特化した衛星「スウィフト」を打ち上げ、地上の天文台やハッブル宇宙望遠鏡などと連動して、各バーストを観測してきた。それらから得られたデータを元に最も考えられる結論として、大質量コンパクト連星どうしのマージが最有力という結論にいたったという。

大質量コンパクト連星とは、例えば「ブラックホールと中性子星」、「中性子星と中性子星」というような組み合わせの連星系を指す。中性子星は質量の大きな恒星の超新星爆発によって生じるいわば“なれの果て”の姿で、殆どが中性子からなる天体。大きさは直径10km程度だが、質量は太陽ほどもある。一方、ブラックホールは、更に大質量の恒星が超新星爆発を起こした結果生じるもので、自身の重力に耐えきれずに自己崩壊を起こしている天体。

このような連星系は外部に電磁波などのエネルギーを放射することでエネルギーを失い、両者は徐々に接近をし、最後にはマージ(融合)すると考えられている(右)。

このマージの際に生じる強力なガンマ線と考えるのが、現象全体を最もよく説明しているという。

ところで、これは公式発表後の質疑応答でも出されたものだが、中性子星どうしの連星などどのように形成されうるのか、という問題・・つまり例えば、同時に中性子星になったのか、というような問題がある。夜空に輝く恒星には連星が極めて多い。しかし連星をなす恒星の片方が爆発すると、もう片方も影響をうけるのではないかという疑問は当然生じる。これは非常に重要な疑問であるが、実は今だ充分にわかっていない部分が多いとパネリストは答えた。【NASA 10.06】

NASAによる、より詳細な報告はこちら(英語)→ Swift Spacecraft Solves Mystery


【以下に追加情報を記載します。下に行くほど過去のものです】

<関連情報 05.10. 2006>

洪水、ハリケーン、トルネード、それに日本なら地震に台風…日々の暮らしを襲う自然災害は様々だが、どうやらガンマ線ロングバースト(long-GRBs)の心配はしなくてよさそうだ。最近のハッブル宇宙望遠鏡の観測結果がそう示している。

ガンマ線ロングバーストは、ある種の超新星爆発に起因すると見られる、強力なガンマ線放射。もし至近距離で地球がこのロングGRBを食らったら、オゾン層の破壊とそれに伴う致命的な環境変化をもたらす可能性がある。

ところで、ガンマ線バーストには2タイプあり、継続時間が1,2秒である「ロングGRB」と、ミリ秒である「ショートGRB」がある。前者は通常のものよりより桁の大きい超新星爆発である「極超新星爆発」に、後者はブラックホールなど高密度天体どうしの融合に起因すると見られている。ロングGRBはその継続時間の長さから、ショートGRBよりもエネルギーは高いと言える。

また、“至近距離”というと、具体的には我々の銀河系内を指す。ハッブルによるサーベイの結果、我々の銀河系では、そのようなバーストは起こりにくそうなことが判明したという。

これまでの研究の結果、ロングGRBは小さな不規則銀河で生じやすいことがわかっている。そのような銀河の恒星は重元素(ヘリウムより重い)が少ないのだが、対する我々の銀河には重元素を多く含む恒星に溢れている。

このような事柄を踏まえ、天文学者Andrew Fruchter氏が率いる研究チームは、ハッブルで42個のロングGRBと16個の超新星爆発を調査した。その結果、そのようなバーストを起こす超新星は、通常の超新星と大きく異なる環境にあったことが明らかになったという。

それによると、殆どのロングGRBは重元素の少ない、小さな不規則銀河で発生しており、僅か1例だけ渦巻き銀河に認められたという。銀河は重元素が多いタイプと少ないタイプに分けられ、我々の銀河は多いタイプ。これらのことから、銀河系内でのロングGRBの可能性は極めて少ないのではないかと結論できるという。

(下は観測された銀河の一例で、ロングGRBの出現場所が十字で示されている。渦巻き銀河の腕の部分で発生している「990705」以外は、不規則銀河の明るい中心領域に集中している。銀河の進化から言えば、渦巻き銀河は重元素を多く含む後世代の銀河で、不規則銀河はまだ恒星形成が進んでいない、重元素の少ない銀河とされている。)

           

「ロングGRBは銀河の最も明るい領域で起こっていることから、それらは最も質量が重い類の恒星、すなわち20ないしそれ以上の太陽質量のものに起因すると推測されます。不規則銀河で見られるということは、重元素が少ない恒星がロングGRBを起こす傾向にあるということを示唆しています」とFruchter氏は語る。

このことはまた、重元素が少なかった過去には、ロングGRBが今より頻繁に起こっていたということも意味する。

重元素を多く含む大質量恒星はバーストを起こしにくい。というのも、そのような恒星はより多くの物質を恒星風という形で外部へ放出し、かえって身軽になると推測されているからである。

「まるでゴールディロックスですよ。恒星は重すぎても、軽すぎてもいけない…都合のいい質量の恒星が、GRBになるというわけですね。」とFruchter氏は言う。詳しくはこちらへ。【Hubble 05.10】

…ゴールディロックスとは、「Goldilocks and the Three Bears」という有名な童話を指し、派生して“Goldilocks”には、「えり好みの激しい人」「不法侵入者」「浮気相手」という意味があります(わかりやすい解説はこちら)。

<関連情報 02.23. 2006>

NASAのガンマ線観測衛星「スウィフト」が、これまでにない新たなタイプの天体爆発を観測した。これはガンマ線バーストであるが、現段階の推測によると、超新星爆発の初期段階であり、今後一週間ほどで光度がピークになる可能性があるという。

現在、世界中の望遠鏡や宇宙望遠鏡がこの天体の振る舞いを見守っている。

              

(左は以前、Sloan Digital Sky Surveyによって撮影された画像で、右はスウィフトの紫外/可視光望遠鏡で撮影された、今月18日出現の爆発。大きいサイズと詳細はこちら

ガンマ線バーストを伴う爆発は通常、最も遠方で発生し、かつ、宇宙でも最大規模のもの。ところが今月18日に観測された爆発は、典型的なバーストの約25分の1の距離の所で、100倍も長い時間持続するものであった。しかもそれは、これまでにない特徴を備えたものである。

「これは全く新しい、予期せぬタイプのものです」と語るのは、NASAゴダード宇宙センター所属の、スウィフトミッション主席研究員であるニール・ゲーレス氏。

識別符合「GBR 06218」と振られた今回観測のガンマ線バーストは、おひつじ座の方向約4億4000万光年の距離に位置する場所で起こった。もしこれが真性のガンマ線バーストであるならば、史上2番目に近い所で発生したバーストである。

この爆発では、ガンマ線の放射が2000秒に迫る時間、持続した。殆どのバーストがミリ秒〜0.1秒の程度の極めて短い時間であることを考えると、これは極めて長時間のバーストということになる。ただ、爆発は驚くほど暗いものであり、これは放射の方向が、我々が見る視線方向からずれていることを示唆しているように見える。だがこれはあくまで仮説であり、ガンマ線バーストの標準理論からすれば、強力な放射が我々へ向けても放たれているはずなのである(…球対称放射ということでしょうか@管理人)。

「いまだ、多くの謎がありますよ」と語るのは、スウィフトミッション・ディレクターのジョン・ノーセク氏。

「これはたぶん、新しいタイプのバーストではないでしょうか。もしくは、ガンマ線バーストを全く異なった角度から眺めているのかもしれません。この、ずれた角度からの眺めは、天体の爆発に対する全く新しいアプローチとなるかもしれません。これが遙か彼方での現象であったら、我々は見落としていたことでしょう。」

一方、イタリア国立宇宙物理学研究所(INAF)の研究チームは、超新星爆発の初期段階をほのめかすデータを観測している。彼らは南米・チリの欧州南天文台・VLT望遠鏡による観測で、可視光でも増光していることを確認した。これは、まさに超新星爆発を起こした直後である状態を強く示唆するものである。

「我々は典型的なガンマ線バーストにありがちな、特徴のないガンマ線スペクトルを予期していましたが、しかし我々が見たものは、このガンマ線スペクトルと、超新星爆発を特徴づけるより複雑なスペクトルでした。」と語るのは、INAFのニコラ・マセッティ氏。

マセッティ氏はまた、天体の質量と化学組成から鑑みて、これが「タイプIc」の超新星爆発である可能性を指摘している。このことは、超大質量の恒星が超新星爆発を起こし、まき散らされたチリが光線を遮っているが、それが晴れてゆくにつれ、光線が外へとあふれ出していくというシナリオを示唆している。

もしこれが事実であるならば、我々は様々な波長−すなわち電波からX線に至る−で、超新星爆発の一部始終を観測することになるに違いない。

研究者達は、ハッブル宇宙望遠鏡やチャンドラX線宇宙望遠鏡でも観測を行い、今後の推移に注目する予定である。【NASA 02.23】

…ガンマ線バーストの正体は昨年、一応の決着がついた発表がなされましたが、実際のところ、高密度天体どうしのマージによるガンマ線放射というシナリオは全体の3割という主張もあります。我が国の国立天文台では、極超新星爆発に伴うガンマ線バーストを観測しており(観測速報)、複数のメカニズムがあり得ることを強く示唆しています。どうも、ガンマ線バースト自体の性格分類の必要性も出てきそうですね。逆に、これほどにデータが蓄積されてきたということの証でもありますね。そもそも全くの謎だったわけですから・・

<関連情報 02.06. 2006>

国立天文台岡山天体物理観測所(岡山県鴨方町)と東京工大、京都大の研究チームは3日までに、地球から約120億光年離れた場所で起きたガンマ線バーストの爆発の残光を観測することに成功した(右はパロマー山望遠鏡で捉えられた画像で、左は「MITSuME」で捉えられた同じ領域。白く輝いているのがガンマ線バーストの残光という【Photo: 岡山天体物理観測所】)。
               

同観測所によると、距離が判明しているものとしては世界で6番目に遠く、国内施設による観測では最遠という。

観測したのは1月15日午後10時半ごろ。科学衛星がおうし座の方角で発生したバーストの位置を測定し、世界各地の天文台に速報。同観測所は望遠鏡「MITSuME」で残光をとらえ、約42分間撮影することに成功した。

この望遠鏡は口径50センチと比較的小さいが、空を広角にとらえることができ、残光追跡専門に利用されている。【共同 02.06】

…詳細なレポートがこちらにあります。ガンマ線バーストに関する概要は、当サイト内のこちらへ。。

<関連情報 11.17.2005>

今月3日、強力なガンマ線フレアがM81およびM82の方面から到来、地球や火星を周回する少なくとも6機の衛星によってキャッチされていたことが明らかにされた。

M81とM82はおおぐま座の北斗七星の脇に存在する、アマチュア天文家の撮影ターゲットとしても有名な銀河。地球から1200万光年という、比較的近い距離に存在する系外銀河で、両者はわずか200万光年の距離を隔てて位置している。地球から近いため、M81は銀河回転の速度が初めて観測された銀河としても知られている(300km/秒)。

右上画像にて、中央の大きな星雲がM81で上端のがM82。細長い平行四辺形は、今回のフレアを起こした天体が存在すると考えられている領域。

3日のガンマ線フレアで開放された殆どエネルギーは、僅か0.1秒の間に放出されたという。これは昨年12月に観測されたガンマ線フレアにより開放された大規模エネルギーに匹敵するとされる(右・極めて短時間で放射されたガンマ線の強度変化グラフ)。

このガンマ線フレアは、M81もしくはM82内で生じたものと考えられるというが、もしそうであれば、地球の至近距離で生じた同現象としては極めて珍しいものになる。ただ、これはもっと遙か遠方の天体で生じたものではないのかという見方もあり、解析を慎重に行わねばならないと主張する研究者もいる。

ちなみに「ガンマ線フレア」とは、中性子星内部で生じた磁場の“塊”が限界点を越え元に戻ろうとする際、その急激かつ大規模な磁場の変化によってガンマ線が生じる現象と考えられている。最近明らかにされた、「ガンマ線バースト」とは区別されている。

この現象はNASAの「スウィフト」、「HETE−2」、「RHESSI」、「マーズ・オデッセイ」(火星を周回中)及び、欧州宇宙機構(ESA)の「インテグラル」、ロシアの「コヌス・ウインド」の6衛星によってキャッチされた。【Sky&Telescope 11.17】

<関連情報 09.13.2005>

今月4日、NASAのガンマ線バースト観測衛星「スウィフト」及び地上の複数の電波望遠鏡が、地球から最も遠い地点における爆発をキャッチした。

この爆発はGRB050904と符号が付けられた超新星爆発で、ブラックホールが形成されたものと思われる。地球からの距離は赤方偏移6.29、すなわち約130億光年で、宇宙の年齢が137億年と考えられていることから、宇宙誕生初期の頃に形成された恒星が爆発を起こしたものと考えられる。

また、このバーストは約200秒間続いたが、殆どのバーストが10秒かそこらの持続時間であることを考えると、非常に長いバーストである。方角は射手座の方向。
【Spaceflight Now 09.13】

<関連情報 08.23.2005>

今年5月にガンマ線宇宙望遠鏡スウィフトによって得られたデータより、大質量の恒星が超新星爆発を起こす際、複数回の爆発を起こすことがあることが明らかになった。

太陽より遙かに重い恒星は最後に「超新星爆発」と呼ばれる大爆発を起こし、後には中性子星やブラックホールが形成される。超新星爆発は星の進化の最終段階で中心部分の物質が急激に縮退を起こし、その結果生じた圧力バランスのグリッチが壁となり、落下してくる外層がバウンスを起こし、それが外側へ走り抜け、恒星全体を吹き飛ばす現象。(うまい例えではありませんが…殺到する群衆の先端が転び始めると、後ろの方まで転倒が伝搬していくような感じです)

その際、中心部分(核)は、電子が陽子に溶け込み中性子となった状態の原子で形成される「中性子星」や、自身の重力に耐えきれず自己崩壊を続けていく「ブラックホール」と呼ばれる状態に推移する。この選択肢は恒星の質量で決まり、重い恒星がブラックホールになる。爆発の際は強力なX線が放射されるが、爆発の規模が巨大(= 極超新星爆発)であると、更にエネルギーの大きいガンマ線が放射されると考えられてきた。

ところでこれまで、超新星爆発は一度だけ大きいものが生じるものと考えられていた。ところが今年5月、NASAのスウィフト衛星がキャッチし、GRB 050502Bと符号がつけられたガンマ線バーストからは、これまでのシナリオとは非常に異なる爆発プロセスが検出されたという。

まず最初に17秒間のガンマ線放射を観測、その500秒後、鋭いX線の放射を観測したが、その「しゃっくり」は複数回の爆発を示唆するものと考えられという。

超新星爆発からブラックホールの形成メカニズムにはまだ未知の部分が多く、今後もこのようなデータを集めることが、より正確な実体の解明につながるとのこと。【Space.com, etc 08.23】


<関連情報 05.28.2005>

東京大や広島大、国立天文台などの研究グループは、2003年10月に確認された大規模な超新星爆発が、謎の1つである爆発現象「ガンマ線バースト」を伴っていたとの観測結果を、27日付の米科学誌サイエンスに発表した。

観測したのは、星が一生の最後に爆発して明るく輝く超新星の中でも、爆発規模が特に大きい「極超新星」のSN2003jd。

同天文台などは03年に、ガンマ線バーストの正体が極超新星だとの説を発表しているが、極超新星の中にはガンマ線バーストが確認されていないものもあり、これが難点になっていた。今回の観測結果は、極超新星爆発が、ガンマ線バーストの正体だとの説をさらに裏付けるものとなる。【共同 05.28】

…結局、「極超新星の中には、ガンマ線の放射を伴うものも存在する」ということになるのではないでしょうか。共同が伝える「さらに裏付ける」というのは、そのまま読んだらフライングのような気がします。

<関連情報 04.29.2005>

銀河系で昨年12月に起こり、観測史上最大のガンマ線を放射した巨大爆発は、太陽が30万年かけて放つエネルギーに匹敵する量を、わずか0.2秒で放出したことが分かった。東大や東工大、宇宙航空研究開発機構などの研究グループが27日、発表した。人工衛星で観測した結果を分析したもので、28日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載される。

100年に一度あるかないかのこの巨大爆発は、3万光年離れた、いて座方向にある中性子星が起こしたことも分かった。この星は半径わずか10キロと太陽の7万分の1にもかかわらず、質量は太陽の1.4倍という「信じられないほど」(同グループ)高密度で、強い磁力を持つと考えられる。この磁力によりエネルギーが蓄えられて、星の表面にひびが入り一気に爆発したと推測されるという【毎日 04.29】

…ということは、中性子星は粉々になった、ということかな?粉々になるって、どんな状態なのだろう??論文を読んでみたいですねぇ。。

<関連情報 02.20.2005>

2004年末、瞬間的なエネルギーとしては過去最大規模のガンマ線の嵐が地球を襲っていたことが、18日までに宇宙航空研究開発機構の磁気圏観測衛星「ジオテイル」の観測で分かった。

観測した寺沢敏夫東京大教授(磁気圏物理学)によると、放射されたエネルギーの総量は、太陽が放つエネルギーの数十万年分に匹敵する可能性もある。しかし、ガンマ線は地球の大気で遮られるため、人体に影響が出る心配はないという。

ジオテイルなどのデータを分析した結果、日本時間の12月27日午後9時半ごろ、いて座の方向、地球から約3万3000光年離れた天体が0・2秒間ほど大量のガンマ線を放射した後、約400秒間エックス線を放射していた。同様の放射が観測されたのは、1979年以来、3回目。【NASA 02.20】

…いわゆる「ガンマ線バースト」と呼ばれるものの1つです。「ガンマ線バースト」とは、極めて短時間に強烈なガンマ線が放出される現象。ガンマ線バーストの正体は殆どわかっておらず、突き止めるべく昨年、専門の観測衛星「スウィフト」をNASAが打ち上げました。

ただ、今回の現象は以前から謎とされている“本家”のガンマ線バーストとは異なり、中性子星が関与した現象であることがわかっています。それゆえ、「ガンマ線フレア」と呼ばれているようです。