ディープ・インパクト

初版: 01.14.2005  追加: 02.04.2006

米航空宇宙局(NASA)は13日、テンペル1彗星へ向けて探査機「ディープ・インパクト」を打ち上げ、予定の軌道に乗せることに成功した。打ち上げロケットはボーイング・デルタ2ロケットで、射場はフロリダ州・ケープカナベラル空軍基地。

ディープ・インパクトは衝突弾(インパクター)を搭載し、彗星への接近においてインパクターを放出、これを激突させる。この際、スタジアム大のクレーター(30m×90m)が生じ内部が露出すると目されており、これを母船に搭載された高解像度のカメラで撮影、彗星内部の組成を調査する。また、大量のチリが舞い上がると思われ、これを観察することにもなっている。

「ディープ・インパクト」というミッション名に関しては、「衝撃弾をぶつけて、深いところを調べるのが目的だから」ということですが…同名の映画に引っかけてるのはミエミエですよね(笑)

彗星は太陽系形成時の組成を未だ保持していると考えられており、これをより詳細に調べることで太陽系形成時の物質組成が明らかになるのではないか、また、彗星内部の状態はどうなっているのか、ということに大きなヒントを与えるものと期待されている。

(図は彗星、地球及び探査機の軌道)

テンペル1彗星は1867年4月3日にフランス人、エルンスト・ウィルヘルム・レベルヒト・テンペルによって発見された。周期5.5年で太陽を一周し、平均約1.5天文単位(1天文単位=地球〜太陽間距離)の楕円軌道を描く。サイズは直径約3キロ。

なお、インパクターの激突で彗星の軌道が変わりはしないか?という疑問が生じるが、これは殆ど無視できる。例えるなら、18輪トレーラーにハエがぶつかったようなものなのだとか。

テンペル1彗星が選ばれたのは、「この彗星が2年以内の打ち上げに適した位置関係にある」、「衝突の際に大きなクレーターがはっきりでき、また彗星の自転速度が遅い」、「探査機が彗星の太陽光があたっている側(いうなら、昼側)からアプローチできる位置関係にある」、「激突の際、地球からも観測できる位置関係にある」ということが挙げられる。なかなかキビシい条件である…。

機体は母船とインパクターから構成されている。図で下部に離されて描いてあるのがインパクターで、上部が母船。母船の最上部には地球と交信するためのパラボラアンテナが設置され、向こう側面には7.5平方メートルの太陽電池パネルが取り付けてある。

また、手前には中解像度の“MRI”カメラと高解像度の“HRI”カメラが搭載されているのがわかる(HRIはいうなら、望遠カメラですね)。このカメラが衝突によって生じた“クレーター”を高解像度で撮影する。なお衝突時、母船は彗星本体から約500キロの地点を通り抜ける予定。

ちなみに、MRIは何となく“発射装置”に見えなくもないですが…カメラです(笑)。これがインパクターを発射するわけではありません。。そういう私も、最初これを発射砲と思ってしまいました(^^;

ところでこのインパクターであるが、報道では単なる金属の塊のような印象を受けるが、実はこれはただの衝突弾ではない。

インパクターは母船並びに地球からよく見える地点を目がけ、自分で計算を行い軌道修正が可能な、高度な“飛行体”。重量は370キロで、直径1メートル、高さ80センチの円筒状をなす。衝突時の速度は秒速10キロが予定されている。

右はその透過図。内部にはコンピュータと姿勢制御用燃料、外部には小型スラスター(姿勢制御ロケット)が装着されている。また、カメラが搭載されており、衝突直前まで写真撮影が行われる。

これは衝突の24時間前に切り離される。その後バッテリーの電源が入り、作動を始める。

激突は壮大なものになると考えられており、地球上でも望遠鏡でその瞬間が捉えられるものと期待されている。ハッブル望遠鏡や地上の天文台での観測も並行して行われる予定。【Deep Impact web site】

<追加情報 02.04. 2006>

昨年7月、彗星探査機「ディープインパクト」がインパクターを打ち込んだテンペル1彗星について、氷の水の存在が検出された。データを分析しているNASAディープインパクト・チームが「サイエンス」電子版で発表したもので、かつてから言われている「彗星には氷が存在する」ということの直接証拠が得られたことを意味している。

(右の画像は、インパクターが激突する前に撮影された画像を処理したもの。青く色が付けられているところが水の氷の存在を示しているところ。

広さは30万平方フィートであるが、しかし、全体の面積の僅か6パーセントに過ぎない。)


「我々は長年、彗星には水の氷が存在することは知っていましたが、このほど、それを直接検出することができたわけです」と語るのは、論文主筆者で、ディープインパクト共同研究者であるジェシカ・サンシャイン女史。

女史は今回の発見を、彗星の構成成分に踏み込む重要な知見を与えてくれたといい、「彗星の水循環と供給を理解することは、これらが地球に水をもたらした可能性を研究する上で重要なものとなります。彗星に含まれる高分子有機化合物と並んで、キーとなる生命の素を把握したことになります」と述べる。

すでに、有機化合物の存在は見出されている。【Deep Impact 02.03】

<追加情報 07.06. 2005>

祭りはまだ終わらない・・かも?

「ディープ・インパクト」プロジェクトチームは昨日初めて、「今のところ、別のターゲットに対して飛行を行うための、地球へのフライバイに必要な軌道修正を行うための資金はある」と伝えられたという。また、「NASAも次のターゲットを選択するまで機体を管制するために必要な最小限のファンドをする」と伝えられたともいう。

ディープ・インパクトの今後については、飛行開始前から議論があり、次のターゲットも候補がないわけではなかった。ただ、まだ事態は流動的で、どうなるかは不定の模様。【Space.com 07.06】

「ディープ・インパクトのインパクトのために彗星の軌道が狂い、自分の占星術に大きな影響が出る。損害賠償じゃー!」・・こう主張していたロシアの占星術師マリア・バイ氏が、NASAを相手取り裁判を起こした(汗)。

しかし裁判所は、ヒアリングを今月下旬に延期したという。

バイ氏は自分の占星術が影響を受けた代償として、3億ドル(約330億円)の損害賠償を請求している。ちなみにこれは、ディープ・インパクトミッションにかかった費用とほぼ同額(^^; 【Space.com 07.06】

やはり、記録的なヒットだったようです!

ディープ・インパクトの発射した衝突体が、テンペル第1彗星に見事命中するさまは、それを報じた 米航空宇宙局 (NASA) の Web サイトに爆発的なトラフィックをもたらした。ニューヨークのマンハッタン地区の半分ほどの大きさの彗星に高速で 激突 した衝突体の終焉は、約8000万のページビューを生んだ。

「まったく桁外れだ。まちがいなく記録的な1日だった」と、NASA のインターネットサービス担当マネージャ Brian Dunbar 氏は取材に対して語った。同氏によれば、これまでのトラフィック記録は、2004年に探査機が火星に着陸した際の3000万ページビューだったという。

「NASA のキャッシングサーバーに大きな負荷がかかり、続いて基幹のサーバーに負荷がかかった。キャッシングサーバーと基幹サーバーの間に、まったく新しいレベルを用意する必要があった」と Dunbar 氏は述べた。【japan.internet.com 07.06】

米アリゾナ州・キットピーク天文台で、インパクターの激突前後の彗星の姿が捉えられた。左がインパクト12時間前、右がインパクト23時間後【Deep Impact 07.06】

 

<追加情報 07.05. 2005>

米アマチュア天文連合がアリゾナ州ポータルのスカイビレッジに設置している“アルファ望遠鏡”(口径14インチシュミカセ)が、ディープ・インパクト・インパクターの激突前後の変化をくっきりと捉えていた。

写真は7分間隔に露出を行い、彗星の連続した動きを一枚の写真の中に写し込んだもの(点と点の間隔が7分)。彗星は右上から左下に動いており、インパクト後、明らかに増光しているのがわかる。

米アマチュア天文連合は国際宇宙ステーション(ISS)に望遠鏡を搭載してもらい、アマチュアによる遠隔操作で天体観測を行うことを目指している。関連サイトはこちら。【Sky&Telescope 07.05】

打ち上げから172日・4億3200万qの飛行を終え、日本時間4日昼、ディープインパクトから放出されたインパクターはテンペル1彗星の核に激突、表面をはぎ取ることに成功した。以下、その収録です。

ディープ・インパクト、インパクターの激突地点に関して、記者会見で次のような説明がありました。


左上の“Pre-release”と示された点は、姿勢制御を一度も行わなかった場合に通過していたであろうポイント、“Post ITM-1”は最初の軌道修正だけであったら通過していたであろうポイント。“Post ITM-2”は3回目の軌道修正を行わなかった場合に激突していたであろう地点を示し、“Post ITM-3”は実際にインパクターがインパクトした地点を示している。【JPL 07.05】

<追加情報 07.04. 2005>

激突の瞬間を動画にしたファイルが公開されています(ディープ・インパクト母船が撮影した画像をつなぎ合わせたもの)

http://www.nasa.gov/mov/121527main_MRI_impact.mov

日本時間5日午前3時、記者会見が行われた。以下その要約です。

03:00
NASA・TVに接続するが、画像が出ない。記者会見は始まっていると思われるので、オーディオストリームのみを聞くと、確かに始まっている。“Good Morning, everyone”という挨拶でスタート。“Twelve hours before we've make history”と挨拶。各ミッション担当者の紹介。

やがて、画像も流れ始める。これは数分遅れで配信されている模様。

03:05
各担当者の簡単な挨拶。その中で、この12時間の間にウェッブサイトに“ビリオンヒット”(10億!ホントか!?)のアクセスがあったことを披露。たぶん、億単位のヒットがあったのであろう。

インパクターがどこにインパクトする予定であったのか、そしてどこへインパクトしたのか、といった解説。インパクターから送られた画像をつなぎ合わせて作られた動画も披露。

核の温度分布に関する観測データを披露。まだ詳細はわからないとのこと。

核にはブライトスポット(輝点)、スムーズな地形、クレーターといった予想していなかった地形があるとのこと。

続いて、カギとなる重要な画像を披露。インパクトで生じた輝きと核の表面に生じた影が、どこにインパクトしたのか同定することができるとのこと。

続いて質疑応答

Q:インパクトによるクレーターはできて、それは捉えられたのか?
A:現在、画像処理中でまだ披露できない

Q:化学組成をどうやって調べるのか?
A:スペクトロメーターのデータを解析することで可能。

Q:核の成分は氷?はっきりしたことはわかったのか?
A:成分、組成の分析は時間がかかる。実験室での比較実験などを通しておこなわ   れるものであるので、簡単な実験でもないので、すぐ披露することはできない。

Q:インパクトにより彗星の軌道が変化しないのか?
A:それはない。

…など。

ディープ・インパクト、インパクターの衝突を、世界各地のアマチュア天文家たちも観測している。次のサイトには、各地のアマチュアたちがCCDで撮影した画像が記載されている(英語)。ちなみに日本はどこも土砂降りで、観測報告はない模様。。

http://deepimpact.umd.edu/amateur/gallery_action.cfm?type=CCD,%20CMOS

…近年では、CCDも高性能が安価に手にはいるようになりましたので、アマチュアとプロの境は殆どないと言われています。差があるのは、鏡の口径くらい・・でも、安価CCDといっても安くはなく、、普通にはちょっと買えません(笑)

米CNNはディープ・インパクトの大成功をトップニュースで伝えた(下はそれを伝える第一報の画面)。一方、英Reutersも科学項目トップで伝えている。日本は・・報道ステーションでちょっと取り上げられたくらいかな。。ちなみにロシアのプラウダ紙も片隅で小さく扱ったのみ。【CNN/Reuters/他 07.04】



JPL・ジェット推進研究所から、処理を施して見やすくなった画像がリリースされている。右は衝突60分前にインパクターが撮影したもの。

なおこの画像のキャプションには“…sixty seconds before it ran over…”(衝突60秒前)とあるが、たぶん、sixty minutes (60分前)のミスでは・・もしくはsix minutes (6分前)のミス?ホントにインパクターが撮影したものであれば・・

インパクターの激突した瞬間をハッブル宇宙望遠鏡が捉えた。左から日本時間14時51分、15時01分、16時20分に撮影。インパクトの瞬間から、チリが大きく拡散していく様子がはっきりわかる。

インパクトから1時間で飛散したスパンは約1800キロ。このことから、チリは時速1800qで拡散していると見られる。【Hubble 07.04】



1999年に欧州宇宙機構(ESA)が打ち上げたX線観測衛星XMM-Newtonも、インパクターの激突した瞬間を捉えた。

この画像から、拡散する物質の化学組成が詳しく分析できるという。今後もリリースは続くとのこと。【XMM-Newton 07.04】



日本がハワイに建設しているすばる望遠鏡でも、インパクターの激突を捉えた。下の画像は冷却中間赤外線分光撮像装置COMICSが撮影したもの。左は7月1日20時13分、右は7月3日20時50分(時刻はいずれも現地時間=日本時間−19時間)

 

ハワイのフォールクス天文台でも、インパクターの激突を捉えた。この天文台は科学の普及を目指し、複数の大学や研究機関が共同で運営している施設。【Faulkes telescope for schools 07.04】



ディープ・インパクト探査機から放出されたインパクターは日本時間15時前、テンペル1彗星の核に激突、大規模な爆発を起こすことに成功した(右は激突6分前にインパクターが撮影した画像。かなりほこりっぽいイメージがします)。

以下、NASA・TVをを視聴しながらのコメントです。

15:46
中継終了。記者会見は日本時間5日午前3時からの予定とのこと。

15:16 
州(?)議員たちがお祝いに駆けつけている。管制部を歩き回り、チームらに祝福をかけていく。メディアの取材クルーも大忙し。

14:59
ディープ・インパクト母船が核表面でのブラスト(爆発)をキャッチ、インパクターの激突を確認!!(下・左端) 管制部と見学者たちに大歓声が起こる。“WoW!ジィーザス!!”悲鳴とハグの嵐!アクセスが集中しているのか、ストリームがとぎれとぎれに(>_<)

 


14:55
インパクターから最後の画像が到着。解像度は約10メートルとのこと。みな、固唾を飲んで母船からのシグナルを待つ。
 



14:47
マニューバは順調とレポート!軽い拍手。

14:44
全ては順調とレポート!

14:40
最後の軌道修正が行われる。噴射時間は44秒。インパクターは核・下部の明るい部分へ向けて突進中。

14:23
最新の処理画像が披露される(核のこの形・・ピーナッツのような、セイロン島(スリランカ)のような。。なんか、でっかいクレーター(?)のようなものも見えます)。

14:17
第二回軌道修正(マニューバ)により、僅かな修正が行われた。もはや、ほっておいても確実に衝突するコースをたどっている。

14:08
インパクターからの最新画像が入信中。彗星の核に関するサイエンティフィックな解説が続く。

14:02
15分後に第二回目の軌道修正を行うと発表。

13:44 インパクトまであと70分弱。これまでのところミッションは全て順調。司会によるプロジェクトマネジャー、リック・グラミーア氏へのインタビューが続く。

13:32
第一回目の軌道修正は全て順調に終了した模様。管制部で軽い拍手。

13:25
スラスター噴射中。管制部からレポート。

13:20
インパクターの第一回目軌道修正がまもなく。約20秒のスラスター噴射予定

13:04
 「我々は最高潮の気分にいる」と語るのは、ミッションマネージャー、デーヴ・スペンサー氏(画面:左)。

13:00(日本時間)
NASA・TVによるカリフォルニア州パサデナのカリフォルニア工科大学所属・JPL/ジェット推進研究所からの中継が始まる。簡単なミッションの紹介があり、ディープ・インパクトから放出されたインパクターの衝突までのアニメーションの紹介。

実はいま知りましたが、インパクターは彗星核の正面に回り込み、追突される形でインパクトするのですねぇ・・これまでにリリースされていたアニメーションを見ると、背後から突っ込むイメージしかなかったのですが(^^;

彗星の進行方向正面にでて、そこで彗星が後ろから追突する形でインパクトします(下)。インパクターの減速マニューバが予定されていますが、どうして“減速”する必要があるのかいまわかりました・・「急ブレーキをかける“当たり屋”」ってわけですか(笑)



ちなみにテンペル1彗星はおとめ座(Virgo)のスピカの近くをうろうろしています。



グーグルで「ディープ・インパクト」を検索すると、

・・出てくるのはあのウマと映画ばかり(^^;爆

<追加情報 07.03. 2005>

いよいよ明日は、ディープ・インパクトの花火大会です!NASA・TVもチェックです!ところで、インパクターの激突として、本当にクレーターができるのかどうか、表面物質が飛び散るのかどうかはやってみないと誰にもわからないのだそうで・・ひょっとすると、「ズボッ!」とめり込んでエンド、ということもあるそうで・・(^^;

「ディープ・インパクト」から切り離されたインパクターに搭載されているカメラが最初に撮影したテンペル1彗星の画像がリリースされています↓



画像は先月21日にディープ・インパクトが撮影したテンペル1彗星(左)。ディープ・インパクトには赤外線分光計が搭載されており、右はそれで計測された彗星の“コマ”(核を覆うぼんやりとした気体)の化学成分。【Deep Impact 07.03】

…水蒸気(H2O)もさることながら、一酸化炭素(CO)が多いのが興味深いです。


米航空宇宙局(NASA)の無人探査機「ディープインパクト」は米東部時間3日午前2時7分(日本時間同日午後3時7分)、観測器(インパクター)の放出に成功した。NASAが発表した。

観測器は米独立記念日の4日午前1時50分(同午後2時50分)ごろ、テンペル1の中心部に当たる核に衝突する。衝突の規模はTNT火薬で約4.5トン分に相当するという。

衝突による彗星の変化や飛び散った物質は、ディープインパクトに搭載された高性能カメラや、ハッブル宇宙望遠鏡などで観測する。費用は約3億3300万ドル。

画像は分離後に母船が撮影したインパクターの姿(中央で輝いているのがそう)。インパクターにはカメラが搭載されており、衝突の直前まで撮影された画像は母船を経由して地球へと送られる予定。【時事/JPL/Spaceflight Now 07.03】

<追加情報 07.01. 2005>

インパクトまであと3日に迫った、「ディープ・インパクト」。この瞬間を、軌道を周回する各種宇宙望遠鏡、世界各国の天文台が追いかける。

ディープ・インパクトのインパクターが激突してから、母船が観測を続けることができるのは僅か13分。その間、搭載された高解像望遠レンズなどでインパクト部分の精細な撮影などを行う。

一方、インパクトと並行して、世界中の施設で観測が行われる。まずは地球軌道を周回する宇宙望遠鏡として、ハッブル、スピッツァ、チャンドラX線望遠鏡、銀河観測衛星GALEX(以上、NASA)、欧州宇宙機構のロゼッタ、カナダ・フランス共同開発の遠紫外線望遠鏡FUSE。しかもそれらに加え、10ヶ月前に本来のミッションを終えて“冬眠”していたNASAのサブミリ波望遠鏡SWASにスイッチが入れられた。

一方、地上では20の国で少なくとも60の天文台が観測を行う。それには世界最大の光学望遠鏡であるハワイ・ケック、名門の1つであるアリゾナ・キットピーク、スペインのラ・パルマ、日本のすばる望遠鏡(ハワイ)など様々。電波望遠鏡も稼働する予定とのこと。

インパクト予定は日本時間4日午後2時過ぎ。この時刻は、地上設備での観測可能時間帯なども考慮にいれて決められた。【Deep Impact/JPL/Spitzer/Chandra/Rosetta/FUSE/SpaceRef, et al 06.30】

  
     ハッブル           スピッツァ        チャンドラ

   
   ロゼッタ         GALEX            SWAS

  
     FUSE           ケック        キットピーク

 
   Calar Alto            すばる


 カラ・アルト、ラ・パルマ(スペイン)、 ボイデン(南アフリカ)  

<追加情報 06.25. 2005>

来月4日に迫ったディープ・インパクト衛星による、テンペル1彗星へのインパクト。それに備えた軌道修正が24日、無事に行われた。なお、テンペル1彗星にインパクターを打ち込むシーンの新作アニメーションがリリースされている(こちら)。【Deep Impact 06.25】



…担当者の話では、インパクターの激突は「747ジャンボに蚊が当たる程度に等しい」とのことです。そういえば先月でしたか、ロシアでは「インパクターの激突で、彗星の軌道が変わる。これは占星術に大きな影響を与える!」と、占星術師協会?の皆々様がご立腹という話がありました(笑)。プラウダに出てたのですが、最初冗談かと思いましたが、本当に怒っていたそうで・・

<追加情報 06.22. 2005>

来月4日、テンペル1彗星に最接近し観測を行う予定のNASA・ディープ・インパクト探査機が、その目標としているテンペル1彗星の「核」の姿をカメラに納めた。画像は、最接近に備えて重要な情報を与えると期待されている。

右は処理が施された画像であり、先月30日に中解像度カメラで撮影されたもの。このとき彗星までの距離は約2000万qであった。

画像処理が行われる前の映像は、核がチリやガスで被われた、通常見る彗星の姿。ぼんやりとしたその姿は「コマ」と呼ばれている。【Univ. of Maryland 06.22】

<追加情報 06.10. 2005>

来月4日、テンペル1彗星に向けてインパクターを打ち込む予定の「ディープ・インパクト」衛星は順調に飛行を続けている。地上管制部では、この“世紀のミッション”にむけて準備と広報に力が注がれている。

ところで、インパクトではぎ取られた表面を撮像する高感度望遠レンズが“ピンぼけ”を起こしていた問題(上リンク参照)で、NASAは、画像のボケを数値解析によって処理する見通しであることを明らかにした。

このピンぼけは打ち上げ後に発覚したもので、レンズが結露するなどの理由が考えられている。【Space.com 06.10】

…この元ネタ記事の、中程に“Kamikaze attack”とあります。文字通りインパクターの「特攻」を指すものですが…試しに英日翻訳ソフトで訳したら「カミカゼ飛び込み」と出ました(笑)まだまだ翻訳はムリですね、半導体には(^^; 

ちなみに「自爆テロ」は“suicide bomb”(自殺爆弾)。宗教的に、バラバラになればなるほど、天国へ行けるという思想なのだとか…だから、爆弾巻き付けて自爆するとのこと(汗)。イスラエルなどの市場で、つっ走ってやってくる者を見ると、みんな一目散に逃げ散るそうです。だから、何も知らずに小走りすると、誤解されることがあるとか。コワ。



<追加情報 05.14. 2005>

テンペル1彗星を目指して飛行中のNASAの「ディープ・インパクト」探査機は4日、95秒間のエンジン噴射を行い、軌道修正に成功した。

目下のところ、探査機の全ての器機はエクセレントで、全て予定通りに進んでいるという。【JPL Newsletter 05.14】

<追加情報 05.01. 2005>

今年夏、テンペル1彗星に接近し、「インパクター」を衝突させて表面を剥ぎ、内部を撮影する予定の彗星探査機ディープ・インパクトが、その目標としているテンペル1彗星の撮影に成功した。

現在約6400万キロの地点を飛行中で、画像は先月25日に撮影された。【Deep Impact Homepage】

<追加情報 03.28. 2005>

今夏、テンペル1彗星へ弾丸を撃ち込み、外層を破壊することで内部を観察しようという「ディープ・インパクト」衛星に搭載されている大型望遠鏡(写真)に、ややピンぼけがあることをNASAが認めた。だが、ミッションへ影響を与える程ではないという。



ディープ・インパクト衛星に搭載されたこの望遠鏡はこれまで深宇宙探査衛星に搭載されたどの望遠鏡よりも大きなもの。剥がれた彗星表面をズームで狙い、その詳細な状態を撮影することになっている。

調べによると、打ち上げの直前に何らかの理由で大気水蒸気が入り込み、それが結露しているという。レンズの温度を上げることで結露を取る試みが行われる予定とのこと。飛行そのものには影響はない。

なお同様の“症状”は、やはり彗星に接近して彗星物質を採取する「スターダスト」衛星(目下、地球へ帰還中)のカメラにも見られた。【Spaceflight Now 03.28】

<追加情報 01.23. 2005>

彗星の構造を探るため、米航空宇宙局(NASA)が独立記念日の7月4日に実施する「ディープ・インパクト計画」に、群馬県高山村の県立ぐんま天文台の河北秀世研究員(34)ら日本の研究者グループが地上からの観測で協力する。

計画では、1867年に発見された「テンペル第一彗星」の核に、探査機「ディープ・インパクト」から直径約1メートル、重さ約370キロの銅製の塊を撃ち込む。秒速10キロの速度で衝突させ、飛び散った氷の破片や露出した内部を探査機の赤外線カメラで撮影し、地上からも天体望遠鏡で観測する。

日本では、河北研究員が国立天文台(東京都三鷹市)の渡部潤一助教授らと、彗星に含まれるアンモニアなどの化学物質や氷の粒などを観測、分析する。実施時期が本州などでは梅雨の時期に当たるため、観測候補地として沖縄県が挙がっている。

NASAはハワイ・マウナケア山にある大望遠鏡を使った地上観測を計画しているが、河北研究員は「時差のある日本で観測することで、内部から掘り起こされた物質をより詳しく解明できるチャンスがある」と意欲を見せている。

河北研究員は大手電機メーカーの工場勤務時代から、趣味で彗星観測を続けていた。7年前に、ぐんま天文台に転職、本格的に研究を始めた。枠にとらわれない発想で彗星の氷粒検出に成功したことなどが評価され、昨年7月、宇宙空間研究委員会の「ゼルドビッチ賞」(月・惑星分野)を日本人で初めて受賞。NASAから地上観測の協力を要請された。【読売 01.23】

<追加情報 01.21. 2005>

地球から遠ざかる「ディープ・インパクト」彗星探査機がパロマー山・ヘール天文台の大型望遠鏡で捉えられた。写真は今月13日・日本時間21時(現地時間午前4時)に撮影されたもの。打ち上げから約15時間が経過した時点。露出10分の撮影で、探査機はおとめ座を背景に飛行している。

ディープ・インパクトは現在、地球から26万キロの地点を時速1万6000キロで、テンペル1彗星を目がけて飛行中。【Deep Impact HP 01.21】